あらすじ
世界初のエヴェレスト登頂目前で姿を消した登山家・ジョージ・マロリー。謎の鍵を握る古いカメラを手に入れた深町誠は、孤高の登山家・羽生丈二に出会う。山に賭ける男を描いた山岳小説の金字塔が、合本版で登場。
※本書は一九九七年八月、集英社から刊行されたのち、二〇〇〇年八月に集英社文庫として刊行されました。その後、二〇一四年六月に角川文庫として刊行された上下巻を合わせて合本版としました。
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Posted by ブクログ
誰も成し遂げたことのないエヴェレスト冬季無酸素単独での西南壁ルート登頂への強く熱い想いを持つ羽生と、その生き様に惹かれる深町、2人の関係性がとても良かった
Posted by ブクログ
読むきっかけは、映画館で予告を観て 先に本を読もうと本を買いました。1076ページ時間はかかりましたが読み応えがありました。3月映画観にいきます。
Posted by ブクログ
1000頁をこえる作品。構想から20年、書き終えるまで3年。筆者をしてすべてを出し切ったと言わしめる、直球、ド・ストレートの作品。大作なんだろう。
命を懸けてエヴェレスト登攀にかける男たち。冬山の圧倒的な臨場感。何故山に登る?それは何故生きるという問いかけと同じ。答えは山にもない。
実在する伝説の登山家をモデルに書かれた物語は、羽生丈二の山に対峙する姿勢、厳しさ、孤独が余すところなく描かれ、読んでいるこちらまで凍死しそうな勢い。ライバルとして描かれる天才クライマー長谷部もまた素晴らしい。
ただ、残念なのはカメラマン深町。
主人公なんだけど、彼だけはフィクションであり、モデルとなる人物はいない。作者は強いていえば自分だという深町という男に魅力を感じられなかったことが私の中で、この作品の敗因。
現実の人生に閉塞感を感じ、昔の仲間と何気なくエヴェレストにのぼり、そこでかつてマロリーが遭難した時に持っていたというカメラを見つけたことからすべてが始まる。彼が再びエヴェレストに向かう動機もあいまい。昔の女に執着するその態度も女々しい。女に執着しながら、山で悶々とし、自分の行動に意味を見いだせず悩む。そうかと思えば、羽生の恋人が現れたらすぐそちらに気持ちを移してしまう節操のなさ。
何故、ネパールにまた来てしまったのか、本人が悩んでいるのだから、読み手も、何故彼がエヴェレストにこだわり、結果として羽生の邪魔をしているのかが納得できずじまい。
彼は彼なりに色々考え、最後には成長しているんだけど、作品的には羽生を中心に据えて書かれているほうがよかったのにと思う。
羽生が素晴らしく魅力的である分、深町のヘタレ感が際立ったのが残念過ぎる作品だった。
夢枕さん、これで新田次郎の座っていた椅子は狙えないでしょう。。。