あらすじ
世界は滅びるべきなのか? その恐るべき問いの答えを得るために、妖精フィツは地上へとやってきた。最初に出会ったひとりの人間を九日間観察して判断することがフィツの使命。しかし、フィツがたまたま出会ったのは極めて性格の悪い少女ペチカだった……。単行本未収録の設定資料集が追加された文庫版を待望の電子書籍化、感動のロングセラーがついに登場!
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Posted by ブクログ
長いお話だった~。
序盤は主人公ペチカがいじめられたり殴られたりで、読んでるのもつらかった。
ペチカ自身生きていくのに必死で、子犬を蹴飛ばしたり、優しい気持ちを持つ余裕がなかったけれど、
そっと寄り添ってくれるおばあちゃん、愛情を注いでくれる夫婦に出会って
ペチカは少しずつ変わっていきます。
いじめっ子だったルージャンも改心してペチカを一生懸命助けたり、
じーんとするところはルージャンの場面だったりする。
読み終わったあとは優しい気持ちになれる一冊。
Posted by ブクログ
国産ファンタジー。貧しい少女、彼女を痛めつける悪いおばさん、悪巧みをするおじさん、良い妖精と悪い妖精、など人物設定はかなり王道だが、翻訳版があれば世界でもヒットすると思うほど、ワクワク、ハラハラ、ときに腹立ち、そして泣けてくる物語。そしてびっくりしたのが巻末の付記が細かく書かれていてるところ。とても上下巻で完結する物語とは思えないほど細かいプロットだ。
ペチカは暖かい家、温かい食事、優しいお母さんの元で幸せに育った。母を亡くし、家を失うまでは。教会に預けられてからのペチカは守頭をはじめ、少年たち、パン屋さん、だれもが彼女を虐げ、12歳になる頃にはもう誰も信じられなくなっていた。動物を蹴り飛ばし、親切な人から物を盗み、友人を騙し、すべての親切を拒否し彼女の周りには敵だけしかいないように映っていた。
だが目の見えないおばあさんの絶え間ない優しさ、ペチカのことを本気で心配してくれる妖精フィツと交流するにつれ、だんだんと優しい母と過ごしていたときのペチカを取り戻していく。
だがペチカに安らぎはない。住む場所もお金も身寄りもなく、何よりも常に恐ろしい守頭に追いかけられているからだ。隣町に逃げようとも、大きな森に逃げようともそこに守頭は現れた。ペチカは逃げるためにしかたなしに暴力を振るったが、怪我をさせられコケにされた守頭はそれを絶対に許さない。必ず捕まえるつもりなのだ。ペチカの家を平気で燃やす連中だ。もし捕まったら身寄りのない孤独な12歳の少女は簡単に殺されるだろう。
そんな中でも真っ直ぐな心を取り戻しつつあるペチカは大切な友に会うため助けるために身を投げうって行動するのだった。
Posted by ブクログ
主人公ペチカのこれでもかってくらい辛い出来事。
で、すんごく弱い被害者かって言うと、そうでもあるけど、ペチカもかなり根性曲り。そんなペチカとフィツのギャップ。
両者がお互いを体当たりで受け入れあう様子が、とっても激しい。
ほんっきでやり合うことが出来る相手と、再び話が出来たりするとき、そこにあるのははっきりした絆。
そこに本当に生々しいものを見る。
そういう経験が出来るって、とてもすごい。
なので、読んでいる間も、はっきり言って嫌な気分を味わう時が多い(笑)
Posted by ブクログ
上下巻呼んでの感想。
物語の世界観がよく練られており、想像力を掻き立てられる。
所々、展開が強引であったり、先が読みやすかったりするが、
童話・ファンタジーという括りで評価すれば、特に気にならない。
登場人物の心理描写に長けており、心に触れているような
気持ちになれ、最後は温かい気持ちで読み終えることが出来た。
時折、ハッとさせられるようなフレーズもあり、大人が読んでも楽しめる童話。
私が心に残ったのは下巻のフィツの言葉。
「永遠じゃないから変われるんだよ。ペチカもルージャンもみんな変わった。変われるって素晴らしいことなんだ。変われるってことはいつだって可能性があるってことなんだ。変われるってことは今日が駄目でも明日はうまくいくかもしれないってことなんだ。変われるってことは絶対あきらめるなってことなんだ。」