【感想・ネタバレ】アンティゴネーのレビュー

あらすじ

「私は憎しみを共にするのではなく、愛を共にするよう生まれついているのです」――祖国に攻め寄せて倒れた兄の埋葬を、叔父王の命に背き独り行うアンティゴネー。王女は亡国の叛逆者か、気高き愛の具現者か。『オイディプース王』『コローノスのオイディプース』と連鎖する悲劇の終幕は、人間の運命と葛藤の彼岸を目指す。新訳。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

■ 要 約
・テーバイの王位に就いたクレオンは、テーバイに反逆し、兄弟であるエテオクレースと相討ちに果てたオイディプスの息子ポリュネイケースの埋葬を禁止するお触れを出した。
・オイディプス王の娘アンティゴネーは、死者、特に親族の亡骸の埋葬は神々の掟であるとして、王の命に背いて兄の亡骸を埋葬し、クレオンにより生きたまま石の洞穴に閉じ込められる。
・アンティゴネーは首を吊り、婚約者であったクレオンの息子ハイモーンも自刃した。息子の死を知ったクレオンの妻エウリュディケーも自刃してしまい、クレオンはその悲劇に絶望する。

■ 核心テーマ
→正義は単一の基準に統一されるとは限らず、異なる原理に基づく複数の正義が不可避的に衝突しうる。

■先に読んだプラトンの 『国家』と比較した感想
 プラトンの国家では、善のイデアはひとつである。正義が複数存在する(と感じられる)場合は、善のイデアではなく善の似像を見ている状態であり、認識が向上すれば、たったひとつの善のイデアを観得し、正しい判断力に到達できる事になる。
 アンティゴネーでは、クレオンとアンティゴネーの二つの正義がぶつかる事になる。クレオンの正義は、王としてテーバイ国の秩序=正義を守るために、国家の反逆者に対し毅然とした扱いをするという意味で必要な正義である。また、アンティゴネーの正義は、親族の亡骸は正しく埋葬されなければならないというテーバイ国では誰もが認める宗教的原則=神々の掟(正義)に則ったものであり、テーバイ国民の宗教観からして自然な心情・行為と言える。
 この二つの対立は、国家を正しく維持しなければならないという、社会的人間(国家の一員としての人間)の立場の正義と、死者の扱いは神々の掟(宗教倫理)に従わなければならないという宗教的人間(神々の下にある人間)の立場からの正義の対立であり、異なる次元の人間観からくる対立であり、容易に調停し得ないものである。
 現代人の感覚からすれば、権力者としてのクレオンが死者に対し寛大な態度を示し埋葬を許すことで、政治的安定を図るという解決が考えられる。しかしこれは現実的な妥協であって、国家の法と神々の掟のいずれを優先すべきかという問題そのものを解消するものではない。
 したがって、善のイデアに基づき正義は最終的に一つに統一されるとするプラトン的前提に対し、『アンティゴネー』は、異なる正義が不可避的に衝突する状況において、その統一が必ずしも可能ではないのではないかという問題を突きつけるものである。

→先に読んだプラトンの国家と比較しつつ読んだ。次は、アリストテレスの政治学を読んでみて、アリストテレスはこれらをどう考えたのか?について読むことができたらと思う。

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2026年03月31日

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