あらすじ
標高3,193mを誇る北岳の警備派出所に着任した、南アルプス山岳救助隊の星野夏実は、救助犬メイと過酷な任務に明け暮れていた。苦楽を分かち合う仲間にすら吐露できない、深い心の疵に悩みながら──。やがて、登山ルートの周りで不可解な出来事が続けざまに起こりはじめた……。招かれざるひとりの登山者に迫る危機に気づいた夏実は、荒れ狂う嵐の中、メイとともに救助へ向かった! 【解説】細谷正充
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Posted by ブクログ
初めましての作家さんです。
フォローさせていただいている方のレビューがきっかけで手に取りました。
主人公は、南アルプスの山岳救助隊に着任した夏実と、山岳救助犬のメイ。
夏美は、色を感じるという特殊な能力がある。
そのせいで心に深い傷を負っていた───
とにかく夏美とメイの「強い絆」が素晴らしかった。
脚にピストルの弾が貫通するケガを負いながら、
夏美の元へまっしぐらに走っていくメイ。
とび色の大きな瞳が、暗闇で二つの青い光になる。
やっとメイと再会できたのに、また別れなければならない場面、
またもや自分の元から離れるように命ずる「GO!」
もうこらえきれず泣いてしまいました。
メイの瞳が、鮮やかなコバルトブルーに染まった瞬間、
見上げる天空に広がる美しい青──
乗り越えるのが無理なら背負って生きよう──
生きていることは素晴らしい──
この最後のシーンに胸が震えました。
夏美とメイのこれからが、とても楽しみです。
余談ですが、メイを見ていると愛犬を思い出します。
いつも、澄んだまんまるのやさしい瞳で見つめてくれて…
ちぎれそうになるほど尻尾を振ってくれて…
ただひたすらに私を信じてくれて…
ワンちゃんに限らず、動物はみんなそうですよね。
与えられている時間は、人間よりはるかに短い。
だからよけい、懸命に働いているコを見ると無性にいじらしく思えるのです。