あらすじ
ロングセラー『漢方小説』の著者が、中年期の身体や心模様を軽妙なタッチで描き、気持ちがほっこりなごむ傑作。総合病院のカフェを舞台に、不妊の夫婦、患者との関係を模索する医師などが、治療とは何かを問いかける。
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Posted by ブクログ
介護、闘病、不妊といった重いテーマを扱うところもあり、読んでいて心が沈む場面もあったが、最後には晴れやかな気持ちで本を閉じることができた。
病む者と支える者は、お互いにのみ込まれるべきではなく、むしろ両者の間に壁があるのは自然なこと。恐れる必要はないという考えに共感した。
たとえ別々の場所にいても寄り添うことはでき、それこそが病む者にとって何よりの「救い」になるのだと感じた。
闘病を乗り越えた自身の経験とも重なり、この解釈が深く心に刺さった。
院内カフェに集まる人々がそれぞれに抱えるストーリーやつながりが、物語が進むにつれて少しずつ明らかになっていく展開がとても良かった。
Posted by ブクログ
179ページの「自分が病めるときも、人を愛せるか?」という言葉に、軽く衝撃を受けました。
心身の不調や先の見えない治療という中にあって、他者を思いやり愛するという事は、とても難しい事のように感じました。
登場時には「げー」っと思わせられたゲジデントですが、読み進めていくと印象が変わって、胸の内に秘めた医者としての矜持を垣間見るようでした。
とても面白かったです。
Posted by ブクログ
院内カフェを訪れるお客さんや
院内カフェの店員さんなどさまざまな視点から
描かれた物語。
親の介護に疲れ、旦那さんが難病になってしまった朝子さんの視点から描かれたお話が好きでした。
誰も悪くないからこそ、
どうしていいかわからないやるせない気持ち。
自分の気持ちをどう伝えたらいいか、
わからなくなるときって誰しもあると思います。
自分がいっぱいいっぱいだからこそ、
どうしたいのかも分からなくなって
つらくなるのかなと感じました。
それぞれに悩みを抱えて生きているんだと
改めて思えた作品でした。
Posted by ブクログ
ご主人のご病気がタイムリーすぎて…笑
介護や依存、種の存続のお話はふむふむと思いながら読みましたが、途中うぅっと痛くなる瞬間もあり。
でも最終的にほんわかした雰囲気で終わってよかったです。
冬にコーヒー飲みながら読むのがおすすめかな。
Posted by ブクログ
病院内に併設するカフェを舞台に、入院・通院する患者、介護する人、見舞い客、医者・看護師等の病院スタッフ等々、総合病院を利用する様々な立場の人間模様を垣間見る連作短編集。
病院の中にあるけれど、そこは誰もが気軽に利用できる憩いの場。
そこに足を踏み入れた人は、医者も患者も関係なく、誰もが等しく「客」となり全く同じサービスを受ける。
病院内でありながら、中立的な立場で全ての「客」に接する貴重な場なのだ。
特に、両親と夫の介護に翻弄される朝子の話には身につまされた。
私も他人事ではない。
近い将来こんな苦労が待っているのかと思うと憂鬱になってきた。
ラストで朝子が感じたように、上手く割りきれればいいのだけれど。
また、持病のある、まだ幼いさやかちゃんが自分に別の名前をつけて現実逃避する気持ち、よく分かる。
それに合わせるさやかちゃんのお母さんも、また辛いよね。。
私も地元の総合病院内にも院内カフェがある。
どんなメニューがあるのかな…等と思いつつも、つい横目で素通り。
なんとなく敷居が高かった。
今度近くへ行った時に思いきって立ち寄ってみようかな。
なにしろ、院内カフェの飲み物はみんなカラダに良くて、元気になれるそうだから。