【感想・ネタバレ】虹ヶ原ホログラフのレビュー

あらすじ

こんな作品はもう描けないと思います浅野いにお 「虹ヶ原」という土地を舞台に、小学校の同級生たちの過去と今が交差する。子どもたちのうわさ、トンネルの中の怪物、家族の秘密、蝶の異常発生......あらゆる糸が絡み合い織り成す、新世紀黙示録。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

現実と夢と今と学生時代が交錯する話。
文字数が多いわけではないが、一冊でかなり読み応えがある。
それぞれ違う時間軸の多くの登場人物が出てくるため、何度も読みたくなる。

◎鈴木くん…転校生、父を見舞う、鈴木くんに木箱を渡す老人
◎小松崎…両親を早くに亡くしたいじめっ子、スーパー店長殺害・木村父を重症にする
◎荒川マキ…小松崎くんが好きなで有江に嫉妬する少女、日暮兄(カフェ店長)に揺れるバイト店員
◎木村有江…日暮兄からもらった日記を読み皆に話す、鈴木くんと兄妹?
◎木村父…スーパーで働く、離婚済
◎木村母…彼女がトンネルで亡くなるところから話が始まる鈴木くんの母でもある?
◎日暮兄…鈴木くんにネックレスを渡す、荒川を刺す、榊先生の目に怪我を負わす
◎日暮妹…鈴木くんが好き
◎高浜…いじめられっ子・性格が悪い、死体で発見される
◎榊恭子…当時の担任、有江を助けて怪我をする、羽鳥と離婚する
◎羽鳥…双子の親、榊と離婚する

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2023年12月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

登場人物たちが小学生だった時代と現在が交互に語られ、また物語を見る視点もいろいろな人に飛ぶが、断片的な話をつなげていくと、ストーリーが浮かんでくる。プロットは割としっかりしていて、冒頭の双子と、二つに割れた蝶が最後につながっていく。ずいぶんあっちこっちを見比べたが、それはそれで楽しい作業だった。

中心線は鈴木という少年で、彼は別の父親の元で育てられているが、屋上から飛び降りて、過去についてはぼんやりとした記憶しかない。様々なエピソードを経て、過去が明らかになる。双子とは、植物人間になって10年以上眠ったままの木村有江だった。有江は実の父親から性的虐待を受け続けているようで、それは植物人間になっても続いている。有江は病室で蝶となり、記憶をさかのぼるために故郷に帰ってきた鈴木の前に現れる。胡蝶の夢の引用が途中で出てくるが、明らかになる過去も、どこかぼんやりとしている。

いじめ、虐待、殺人など、出てくる話がみんな暗い。それぞれが抱えている弱さが淡々と描かれている。彼らにとって家族・学校・友人といった人間関係が互いに傷つけあうものだ。いにおが若い世代に人気があるのは、その生きづらさをきっちりとらえているからなのか。とするなら少々つらい。

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2018年12月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

もし浅野さんと同じ様に世界が映っていたら、
人の醜くて、浅はかで、卑しくて、絶望的なところに彼ほどに敏感でいたら、
とっくに生きるのが面倒になっていたんじゃないかと背筋が寒くなる。
そしてこれを描いている間、相当彼はしんどかったのではないだろうか。

4周ほどしてから、大まかな話の流れを理解したけれ
やっぱり細かい描写は正直理解できぬまま。

ただ彼が人の黒く淀んだ部分を描きたかっただけではないことははっきりしている。
でなければ、赤い夕陽にハッとするシーンは描かれなかっただろう。
老人アマヒコは少年アマヒコとの邂逅シーンで「強い意志を持ちなさい」とは語りかけなかっただろう。

ポジティブなエネルギーを吸い取られつつも、背中を前に押されるような不思議な漫画だった。

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2012年08月09日

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