あらすじ
中国大陸の東の海上1500マイルに浮かぶ、小さな島国――ニッポン。そこは、巨乳とアイドルをこよなく愛し、世界一お尻を清潔に保ち、とにかく争いが嫌いで我慢強い、幸せな民が暮らす国だった。海外生活歴十数年の著者が、近くて遠い故郷を、溢れんばかりの愛と驚くべき冷静さでツッコミまくる、目からウロコの新ニッポン論。アッパレ、ニッポン!
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『テルマエ・ロマエ』の作者・ヤマザキマリさんのエッセイ集。
ご本人をして「ちょっとばかり特殊だった」とおっしゃる家庭環境の紹介で始まる1つめから怒涛の28エッセイが楽しめます。MANGAにトイレ、ビールに結婚式…とあちらこちらに話題が飛んでいるように見えて、実際は、17歳で絵画を学ぶためにイタリアへ留学して以来ずっと海外暮らしの筆者が、改めて祖国である日本について「再確認」「再発見」したことがつづられています。
海外には旅行をしたことがある程度で住んだ経験はない私でも、海外に出たからこそ気づいた日本のあれこれはありますが、やっぱりヤマザキマリさんの視点は非常におもしろくて、「なるほど!」「そういう見方があるのか…」「そんなことある!?」など、さまざまに感情が揺さぶられます。また、エッセイの間に挟まれているイラストも最高ですので、ぜひ読んでみてください。
ちなみに、私は「その二十六」がお気に入りです。
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Posted by ブクログ
名前はよく耳にしていたけど作品を読むのは初めて。
『日本だけが世界じゃないから』
が口癖で、紆余曲折の人生を送ってきた母を持つヤマザキマリさん。
日本に窮屈さを感じて日本と距離を置いてきたのに、時間の経過とともに様々な日本の味わい深さを感じられるようになったという。
表紙と目次を軽く眺めただけで、何とも興味をそそられる。
以下、目次を一部抜粋。
*ぼっとんの闇が生んだ、世界最高峰トイレ文化
*同化しようとするカメレオンたちのストレス
*キレることが苦手な一億総「おしん」
*全世界から憧れの眼差し、電化製品のドラえもん
*血みどろにならない敏腕歯医者
*子どもの物欲を煽りまくるメディアに注意せよ
*しゃがむ
*驚くべドSな吹き替えに脅かされる民
シリア、イタリア、ポルトガル、アメリカ…と、様々な国で暮らした経験のある著者ならではの着眼点がおもしろい。
それに加え、ヤマザキさん自身の体験をまじえて語られているので面白おかしい。相槌を打ったり驚いたり、スキマ時間に読めてクスッと笑えたのも良かった。
知らなかった日本の一面を知りながら異国を感じられる。
こういう本、大好きです。
Posted by ブクログ
幻冬舎のセールで買っておいたもの。
テルマエより前に、イタリア家族のコミックエッセイで知った作家さんだったので、このエッセイは割と面白かった。比較文化論というか、著者の熟知しているイタリアだけでなく、他の国との比較もあって、興味深かった。ブラジルでの話や、中国辺境の旅の話は楽しい。
秀逸だな、と思ったのは、第二章のフィギュア。
はにわ、ローマ彫刻、現代日本のフィギュア…
うん、そっか。その時代の男性の好みなんだw
そういう見方もあるんだ、と目からウロコ!
Posted by ブクログ
「テルマエ・ロマエ」の作者によるエッセイ。
イタリア人と結婚していることは知っていたし、「テルマエ・ロマエ」だし、てっきりイタリアにお住まいなのかと思ったら、シリアやポルトガルに住んでいたこともあり、いまはアメリカにお住まいらしい。
油絵の勉強のために17歳でイタリアに留学してから旅行も含めると、本当に世界中あちこちに出かけている。
で、日本人が思っているようなダンディかつ女たらしのイタリア男性ってほとんどいない、だの、日本のビールが一番おいしい、だの、シリアの女性用下着の不可解さだのが軽妙な文章で冷静に分析されている。
これが面白くないわけがない。
本心をなかなかあらわさない、外国人からすると得体の知れない日本人だが、ヤマザキマリは、欧米人の、とにかく自分のいいたいことをまくし立てるだけではなく、日本人のように人の話を聞く姿勢がコミュニケーションには大事と言う。
日本からも外国からもひとしく距離を置いて立っていられるのは格好いいよなあ。
ところで、しゃがむのってアジアの文化なの?
欧米の人、南米の人、アフリカの人たちはしゃがまないの?
人間として体のつくりは同じはずなのに。
すごく不思議。