あらすじ
地球を中心とする航空宇宙軍と外惑星連合が戦った第一次外惑星動乱から四十年。タイタン、ガニメデ、木星大気圏など太陽系各地では、新たな戦乱の予兆が胎動していた。第二次外惑星動乱の開戦までを描く七篇を収録。著者のライフワーク、二十二年ぶりの最新巻
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
劈頭から、懐かしのタイタン航空隊を即思い出させてくれるザナドゥ高地。
その後も、ヴァルキリーだったりサラマンダー、サルベージ業者、仮想人格などと
旧作の読者に向けた航空宇宙軍史世界巡りが続く
続編を待ち望んでいた読者たちへ、作者からの祝儀のようなものだろうか
しかしどこか不自然な気もする
偽物の世界を見せられているような胸騒ぎがする
叙述トリックを仕掛けられているような気がする
罠に嵌められ、実は死地に置かれてしまっていることに気がついた登場人物たちの焦りに似たもの不気味さを感じる
特に後半、慌ただしく旧作キャラの縁者だと明かしながらも
だからといって何が起こるでもなく気がつくと死んでいる
ギルガメッシュ要塞
ほんとうに彼らは死んだのか?
それとも手品師のように肝心なところを隠して読むものを欺いているのか?
表向きこの本は、旧作読者向けのサービス濃厚な連作短編で
旧作読者へのメッセージを無視して読めば全体として一つの
ストーリーを書いているようで、
実は全く別の伏線としてこれ自体が存在しているんじゃないのか?
ネットで書評を読んでいて思い出したけど、この本には
星の墓標のような無慈悲さが全然ない
その辺りが、航空宇宙軍史らしからぬ感じを与えているのかもしれない