あらすじ
ロトで連続大当たり。2回連続で雷に打たれる。3大会連続でホールインワン達成。暗殺の夢を見たあとに暗殺されたリンカーン。10万年に1度しかないはずの金融危機……到底ありえないと思われ、実際に起こると新聞記事になるまれな出来事だ。しかし、統計学者に言わせると、こうした「ありえない」出来事は、じつはけっこう頻繁に起こっているという。どうしてそういうことになるのだろう――ハンド先生がそこの事情を〈ありえなさの原理〉の名のもとに、実例をふんだんに盛り込んで解説してくれます。統計的な考え方は直感では理解しにくいから、現代人必携のリテラシーとしてしっかり身に付けて起きたいもの。奇跡なんてうさんくさい。あるいはカモられたくない・騙されたくないあなたに捧げる確率・統計解説。
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Posted by ブクログ
イギリス人っぽいのか教養が溢れてて上品な気持ちになりました。例えば8章の始まりはケインズを引用して、「正確に間違っているよりは、あいまいに合っている方がいい。」そして随所に銀河系ヒッチハイクガイドの引用。どうやら職業柄シンクロニシティが大嫌いみたいで、ユング好きとしてはちょっと彼を弁護したくなるくらいに徹底的に傷めつけてます。100万年に一度のことがしょっちゅう起こる仕組みはなにか?とかを数式なしで教えてくれる。みんな読んだほうがいいんじゃないかな。これ。まあ、オカルト、シンクロニシティばかじゃねえのって感じではあるんだけど、僕の弁護としては、人間の意識が合理的でない想定を置くということも含めてシンクロニシティって概念を構成するんじゃあないかなと思いますけどね。まあ統計的には馬鹿じゃねえのってのは理解します。
Posted by ブクログ
ものすごく珍しい、そんなのありえない、と思える出来事もよくよく考えてみたらそんなに珍しいことでもなく、説明がつく、ということについて。
我々が生きていくうえではボレルの法則に基づくべきだが、著者が「ありえなさの原理」と呼ぶ5つの法則のため、実際には確率が過小評価されやすい。
10^10光年のかなたで電子を一個取り除いたら、1億分の1秒後に地球上ので酸素分子の振る舞いがすっかりかわるとか、明らかな間違いと思われる記載が散見され、その他の説明も強引なところが多く、すんなり頭に入ってこない。
・ボレルの法則:確率が十分に低い事象は起こりえないものとして行動すべき。100万分の1の事故を恐れて家に引きこもるのは合理的でない
・迷信とは、因果関係がないところに因果関係があると信じこむことで、例えばクラップスをする時にサイコロにキスしてから投げると6のゾロ目が出やすいなど。儀式と望ましい結果に偶然の結びつきがいくつかあると、その結びつきを強化しない出来事が多数発生しても儀式は確立され維持される。因果関係があるならば、そこには必ず時間的な前後関係があるが、時間的な前後関係があるからというだけで因果関係があるとは限らない
・コインを100回投げて、表が60回出る確率は2.8%だが、コインが歪んでいて表が出る確率が0.50でなく0.52であった場合、60回表が出る確率は6.6%となる。
1.不可避の法則:起こりうるすべての結果を一覧にしたら、そのうちどれかが必ず起こる。ただし、どれが起こるかはわからない。宝くじは誰かに必ず当たる。
2.超大数の法則:十分に大きな数の機会があれば、どれほどとっぴな物事も起こっておかしくはない。(ちなみに大数の法則は、大きなサンプルの平均値は小さなサンプルの平均値よりゆらぎの幅が少ない、ということで全く別物)
機会が本当はたくさんあるのに少なそうに見えることがあり、確率を低めに見積もりやすい。同じ誕生日の人がいる確率を50%以上にするためには23人で足りるという例など。
3.選択の法則:事後に選べば実際よりも確率は高く見える。矢を射って、当たったところに的を描く。大災害の後や911の後で、ことが起こる前に色々前兆があったと主張したり。自然選択はうまくいった変異を残す(選択の法則)ことと超大数の法則の組み合わせで精緻なメカニズムを作り上げている。
著者によると、平均への回帰もこのカテゴリに属する。平均点50点の試験で40−60点のグループと20−80点のグループがあれば、最高点をとるのは後者のグループである可能性が高い。しかし、二度目の試験では最高得点でない可能性が高い。
4.確率てこの法則
確率の見積もりが間違っていると、極めて珍しいと思っていたことが実はそうでもない。
正規分布を想定すると、10σの現象は1.3X10^23分の一だが、世の中に正規分布をとる事象はあまりない。これが正規分布でなく実際はコーシー分布であった場合、32分の1となり、比較的ありえる現象となる。マーケットの暴落など。
5.近いは同じの法則
十分に似ている事象を同じものとみなすこと。
同じ時期に同じ町を旅行していたら偶然の一致と思うかもしれないが、同じ県だったりしてもそう思う。聖書の暗号でHLPEという綴を発見してHELPとの一致と認めていたら、こういう暗号がたくさん見つかる。