【感想・ネタバレ】九尾の猫〔新訳版〕のレビュー

あらすじ

次から次へと殺人を犯し、ニューヨークを震撼させた連続絞殺魔〈猫〉事件。すでに五人の犠牲者が出ているにもかかわらず、その正体は依然としてつかめずにいた。指紋も動機もなく、目撃者も容疑者もまったくいない。〈猫〉が風のように町を通りすぎた後に残るものはただ二つ――死体とその首に巻きついたタッサーシルクの紐だけだった。過去の呪縛に苦しみながらも、エラリイと〈猫〉の頭脳戦が展開される! 待望の新訳版

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Posted by ブクログ

ネタバレ

共通点の無い連続殺人事件の被害者たちの深まる謎の数々。姉が殺されたことにより財産分与が多くなる二人の人物の事件への関わりでまたもや深まる謎。
エラリー・クイーンの推理力と洞察力により微かな手がかりを見つけるが、おとり捜査による失敗。
真犯人と思われる人間を拘束した後のエラリー・クイーンの懊悩…
古典とも言われるこの一冊だけれど、何故だか犯人の異常性に現代も納得させられる一面もあり、長編なのにページを捲る手が止まらなかった。

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2022年08月24日

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ネタバレ

『十日間の不思議』事件でダメージを受けたエラリイが復活するまでが割りと早い。あまりウジウジされても困るので良かった。事件解決後に再び心にダメージを受けたエラリイに与えられたセグリマン博士の言葉が良い。事件の展開は面白い。被害者たちの共通点が明かされるあたりから盛り上がってくるな~。他のクイーンの作品も新しく読みたいな。

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2025年09月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ニューヨークで発生した連続絞殺事件。被害者に共通点はなく、捜査は難航する。そんな中、市長直々に特別捜査官の任務を拝命するエラリー。一人また一人と犠牲者が出る中、分かったことはターゲットの年齢がどんどん若くなっているということだけ。
遅々として進まない捜査に業を煮やした市民は自警団を結成、混乱状態に陥ったニューヨークはさながらゴッサムシティ。
エラリーはついに、犠牲者たちがみな同じ産婦人科医カザリスによって取り上げられていたことを突き止める。カザリスは、犠牲者の近親者として警察に接近していた人物でもあった。逮捕されたカザリスは全てを自供するが、実は一つ目の事件の際にはアリバイがあった。カザリスは妻を庇っていたのだった。カザリス夫妻は二度、子どもを分娩室で亡くした過去があり、そのときの産婦人科医はカザリス自身だった。夫人は子どもを失ったショックから、「なぜ夫は他人の子どもは取り上げることができるのに、自分たちの子どもはできなかったのか」という思いに囚われるようになり、カザリスが取り上げた子どもたちを順に殺害していくようになったのだった。
クイーン作品は限られた範囲内に容疑者候補がいて、論理的な推理と消去法を駆使して犯人を突き止めるのが基本スタイル。なので、このような劇場型無差別連続殺人は珍しい。ある大御所作家の名作を想起した読者も多いはず。実際に、この作中でもその法則について言及されている。
犠牲者の女性はなぜみな独身なのかという点が、カルテと電話帳を照らし合わせてターゲットを探す際、結婚すると姓が変わり見つけられなくなるから、というクイーンらしい論理的な推理には脱帽。
犠牲者やその近親者は無辜の市民で、それだけに事件に巻き込まれ悲しみに暮れる様子に胸が痛む。登場人物を単なる推理の駒以上に描くエラリー・クイーンの技量がなせる業。
犠牲者の近親者であるセレストとジミーも魅力的なキャラではあるものの、自分から申し出ておいて自分勝手なことを言うジミーは正直あまり好きになれなかった。

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2025年03月11日

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ネタバレ

レーンシリーズより面白かったと思う。
カザリス逮捕の時点で7割ほどの進捗だったのでこの後どんな展開かと思ったら、セレストとジミーの結婚、動機の追求、そして真犯人解明と最後の最後まで楽しめた。

ただ、犯人が女性だったが、細い紐で抵抗されず男を殺せるものだろうか?そう考えてカザリス夫人を犯人候補から退けていたので、やや疑問が残った。

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2021年09月07日

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ネタバレ

作者の代名詞である理詰めのロジックで勝負する物語ではなく、事件の背景にある関係者の心理分析に力点が置かれており、真相の意外性もあるし、物語としての深みを感じさせる作品であった。

(以下、物語のあらすじに触れています。)
<猫>と名付けられた犯人による連続殺人事件が5件続き、エラリイに出馬が要請され、捜査に当たるものの、さらに4件の殺人が続き、なすすべもなく、焦燥に駆られるエラリイ。一見、無差別連続殺人と思われた事件だが、エラリイの分析によって、その特徴が次第に明らかにされていき、物語の約半分ぐらいのところで、被害者間の意外なつながりがわかり、重要な容疑者が浮かび上がる。
無関係と思われた被害者がつながる条件や、女の被害者がすべて未婚だった理由はなかなか面白い。残りのページ数から判断して、このままで終わるわけがないと思い、根拠はなかったが、容疑者以外の別の犯人を想定してみた(結局はずれで、犯人は別の人物であったが)。
エラリイは、容疑者逮捕後も真相を見誤っており、ある事実を知ることで自分が間違っていたことに気づく。前提が崩れたことで、容疑者の取った行動や容疑者の過去の出来事を再検討し、心理分析を行うことで新たな動機を発見し、その動機と、犯行の実施可能性から真犯人を特定する。
精神病医との対話の中で語られる犯行の動機、その背景にある関係者の心理分析は読み応えのある内容であった。
また、エラリイが自分の探偵としての無力感に捉われるラストの場面も印象的であった。

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2018年05月09日

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ネタバレ

出だしから既に5人も亡くなっていてその後もどんどん殺されていき、題の通り9人殺されるのだろうかと面白かったのだが、真相が微妙だった。
この人が怪しいと見せかけてからの、実はこの人と最も親しい存在のこの人!というやり方は良かったが、これだけ長編な割には、もっと犯人の考え方や生い立ちなどをがっつりと説明して欲しかった。

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2025年04月13日

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ネタバレ

2作続けて苦い終わり方だ…と思ったら救済もあった

今作は人間ドラマ的な面とミステリのバランスがあんまり好きじゃないかも
おもしろいから読めるんだけど

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2023年02月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『十日間の不思議』で辛い挫折を味わったエラリイが、NYに帰ってきて、父クイーン警視や市長たちに請われて連続絞殺魔と戦う。
ライツヴィルという田舎でのじっとりした人間関係の中の殺人と、ニューヨークという世界屈指の大都会で、被害者同士の繋がりさえ見えてこない連続殺人。
一人で推理し戦ったライツヴィルと、警察組織がバックにつき、警視やヴェリーや、途中からは被害者遺族まで加わって捜査にあたるニューヨーク。
いろんなことが対照的でとても面白かった。

ミッシングリンクものは、たくさん死ぬ割にその繋がりを探すというところでどうしても足踏みしがちで、読んでいて途中だれてしまった。
被害者の数もちょっと多すぎるような…でもだからこそ面白い真相でもあり…。
最後の事件のあとは息もつかせぬ面白さで、やっぱり論理的な解決、伏線が綺麗に回収されていく爽快さは素晴らしかった。

エラリイの挫折と癒しについては、うーん、どうなのかなぁ、という気持ちも少し。
このあとは何に繋がるのかな

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2021年09月07日

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