あらすじ
テロリストの爆弾でピッツバーグが〈終末〉を迎えてから10年。仮想現実空間上に再現された街アーカイヴでの保険調査に従事するドミニクは、亡き妻との幸せな記憶が残るアーカイヴに入り浸る毎日を送っている。だが調査対象の女性が殺されている映像と、何者かがそれを消そうとした痕跡を見つけたことから、彼は真実と幻影、過去と現実が交錯する迷宮へと迷い込んでいく……。新鋭の鮮烈なデビューを飾る近未来ノワール。
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Posted by ブクログ
途中、あまりにもバンクシーなキャラの描写に読む気が失せかけたが、最後まで読めばこれはこれであり。舞台もトリックもちゃんとサイバーでポスト・アポカリプスだけど、「都市と都市」やプリーストみたいなぶっとんだ志向性はなく、読後感は「ああノワールだった・・・」。バロウズやディックの味わいは薄く、ギブスンがきっちりノワールな長編を誰かと映画用に合作した…みたいなかんじ。仮想空間の描写にひと工夫あれば、ポスト・ブレードランナーの第一候補になるかも。デ・パルマ監督で観たい。
Posted by ブクログ
ミステリでもあるので一応未読の方はご注意。
細かい部分は面白かった。
この世界のいわゆる「電脳」であるところの「アドウェア」をはじめ、拡張現実、虹彩決済システム、無人で人を運ぶタクシー、都市の記憶である「アーカイブ」などのテクノロジーの描かれ方、そしてGAPやアメリカンアパレルなど実在するファッションブランドやチェーンの飲食店、ミュージシャンやTV番組、SNSなどが作品の手触りをよりリアルにしている。わたしがいる今こことの地続き感。頻繁に出てくるHOHOSとかいうチョコレートロールは思わずGoogleで画像検索したり。
でも正直、事件の真相に至っては「ああ、またこういうのか……」という感じがしなくもない。男たちの異常性欲が引き起こした凄惨な事件。しかも宗教がらみ。そういうの、うーん。
あと気になったのは、前出のテクノロジーは詳細でリアルなのに、ピッツバーグが消し飛んだ原因である核爆弾?についてがなんだか曖昧だったこと。………なにか読み飛ばしてしまったのだろうか……。
どこが、というのが説明し辛いけれど、大変に惜しい作品だった。自分にとっては。面白くなかった訳ではないので、スウェターリッチの他の作品も読んでみたい。