あらすじ
母親の死後、のどかな梅木旅館に引き取られて育った梅子。旅館の一人息子で元(?)天才ピアニスト・蔵之助のピアノを子守歌に育った梅子も、もうすぐ花の大学生。そこになんと音信不通だった、ドイツ人の父親が現れた…!! ナチュラルな感性とシャープなセンスで人気の勝田文。ざわついていた心を優しくフラットにしてくれます。
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Posted by ブクログ
読みきり連作です。
楽譜に例えるなら、組曲集みたいな感じ。
芸姑だった母を早くに亡くしたヒロイン・梅子と、ヒロインがひきとられた旅館の息子で、事故によりピアニストの道を立たれてしまった蔵之介を中心としたお話です。
音楽の話もたくさん出てきて話に絡んできますが、小難しいことは一切なしで軽いタッチで描かれています。
笑える要素もたくさん。お祭りの占いのくだりは爆笑してしまいました。
劇的な展開はないものの、よく考えてみたら凄くヘビーなものを抱えているはずの人たちを明るくさらっと描いています。
最終話の蔵之介の葛藤や決断、梅子の想いは、そんなに深刻そうな描き方をされていないのに、ぐっと来るものがありました。
ほのぼのとした物語の中に、やさしいものがたくさん詰まっていました。
この先、何度も読み返したい1作です。