あらすじ
君が好きになったのは、――本当に<私>?気鋭青山景、待望の最新作だから書かなくてはならない。知るために。夜行列車で’過去’を書き続ける小説家浜崎正。大学時代に出会った<町田ミカ>は、映画のヒロイン桐島すみれにそっくりで......。現実なのか、夢なのか。『CONTINUE』での連載を経て、遂に待望の単行本化。交錯する過去と現在夜行列車が向かうのは、どんな未来か。
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最後の手紙は、、、
青山景さんの少ない作品の一つ。
「SWWEEET」から、ストーリ、作画もアップして、
色々とやりたいこと詰め込んだ実験作。
これと並行していた、お金だけのためのマンガ
「チャイナガール」の原作に不満を持ちつつ、
こっちで、発散するって言うバランスを取る作品。
最後の手紙は当時付き合っていた娘の手書きになります。
※この娘、めっちゃかわいい。
個人的には、「よいこの黙示録」はちゃんとラストまで読みたかった。
ちなみに、朔ユキ蔵のアシ時代にあまりにも乳首のトーンを立体的に削れたので、
「乳首職人」という名称で呼ばれていたとさ。
Posted by ブクログ
青山さんの漫画は、個人的に好きな絵柄で、ちょっとエロいシーンがあったり。
青山さんの中で、一番のお気に入りです。
大学で、自分の好きな女優がいたら、楽しいだろうなー、と想像します。
決してハッピーエンドではなかったですが、いろいろ考えさせられる作品でした。
青山さんのご冥福をお祈りいたします。
Posted by ブクログ
とにかく、非常に緻密に作り込まれた構造のマンガで、読み返すほどに作品の奥深さを感じます。
全ての経験はテクストとして構造化されている。
そして、「林真理子が清少納言に影響を及ぼす」ように、現在のテクスト(経験)は過去のテクスト(経験)の解釈をいかようにも変えることができる。
作品の底流にあるのは、この経験の「間テクスト性」という考え方です。これを体現するための極めて実験的なマンガともいえます。
『ストロボライト』というのは断続的な速い周期で光を点しますが、人のひとつながりの経験はその一瞬一瞬のまとまったもの。
その一瞬ではつかみきれないその時の意味は、時間が経てば経つほどさまざまな解釈が可能になります。
主人公が7年経って、ようやく学生時代の恋愛に終止符を打つことができたのは、現在進行形で放たれてきたストロボライトの光を過去完了形としてとらえるに足る時間が経ち、当時と異なる解釈ができるようになったからだと表現されています。
ストロボライトを彷彿させる陰影や中扉があるのもにくい。
主人公(浜崎正)が冴えない小説家志望、ヒロイン(町田ミカ)が才能豊かな元女優という設定はお互いの立場を効果的に対比させているし、ミカの出演した映画をシンクロさせ、マンガ自体も映像のような進め方をしているので、1本の映画を見ているような気にもさせられますね。
終局で、夜行に乗って暗闇を走り続けるさまは過去の回想、回想する言葉が光となって集束していくうちに朝になって田舎の眩しい光景が見えるさまは過去からの脱出、つまり真の現在進行形であるという描き方にもなるほどなぁと思いました。
ミカのいる土地から正が帰るのも明るい時間帯です。
最後に「電車って、走ってる時にこうやって目をつぶると、どっちに進んでるのかわからなくなるよね。」と、学生時代のミカと正が目をつぶるシーンがありますが、これはひとまとまりの過去の記憶に自分なりの解釈を与え、物語の終わりを告げられた今、今度はまた別の、どちらともつかない方向へと新しい物語が始まり進んで行くということを示唆しているのかと。
気づくと、このマンガ自体が浜崎正の小説そのもの(回想録)であるというのも、にくすぎる。
本当に上手くまとめられていて、感嘆してしまいます。
Posted by ブクログ
まだ1周しかしていないので正直な所完全に理解出来てませんが、大体のテーマというかそういうものはなんとなく感じ取れました。
話は過去と現在が交錯しながら進んでいきます。
現在の夜行列車に乗りながら、過去の恋人との出来事を1本の映画を軸に思い出していきます。
難しい手法とかそういうのはまったく分かりませんが、帯にもある「君が好きになったのはー本当に<私>?」という言葉がそのまま話になっているというかちょっと上手く言えませんが、どこか人間の負の部分であったり、自分の気持ちがわからなくなったりする部分は共感できました。
少し切なくてちょっぴり現実味のあるお話しです。