あらすじ
君が好きになったのは、――本当に<私>?気鋭青山景、待望の最新作だから書かなくてはならない。知るために。夜行列車で’過去’を書き続ける小説家浜崎正。大学時代に出会った<町田ミカ>は、映画のヒロイン桐島すみれにそっくりで......。現実なのか、夢なのか。『CONTINUE』での連載を経て、遂に待望の単行本化。交錯する過去と現在夜行列車が向かうのは、どんな未来か。
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Posted by ブクログ
付き合っている彼氏や彼女から、自分のことを「好き」と言われた時に、相手の自分への「好きになり方」に違和感を感じることがあるとしたら、それは自分が見て欲しいところを透過され、相手が自分の上に勝手に投影している自分の像のようなものを見ているような感じになる時だろうか? 好きな相手にこそ自分が評価されたいところを評価して欲しいという気持ち、相手に自分の都合のいい相手の像を投影してしまう気持ち。彼女との関係に挫折する主人公の姿を通して、ありのままに相手のことを見るということの難しさという、難しいテーマをとりあげた意欲作。明暗を意識した美しい映像的な画や、キャラクターの微妙な感情が表れた表情に、ついつい読み進むのを止めて一コマに見入ってしまう。
最後の手紙は、、、
青山景さんの少ない作品の一つ。
「SWWEEET」から、ストーリ、作画もアップして、
色々とやりたいこと詰め込んだ実験作。
これと並行していた、お金だけのためのマンガ
「チャイナガール」の原作に不満を持ちつつ、
こっちで、発散するって言うバランスを取る作品。
最後の手紙は当時付き合っていた娘の手書きになります。
※この娘、めっちゃかわいい。
個人的には、「よいこの黙示録」はちゃんとラストまで読みたかった。
ちなみに、朔ユキ蔵のアシ時代にあまりにも乳首のトーンを立体的に削れたので、
「乳首職人」という名称で呼ばれていたとさ。
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きれいにまとまった大傑作なのでは。
ヴォネガットや、「小池真理子が清少納言に影響を与えるような……」など、かなり整理されている。
セックスばかりというのもご愛敬。
いま知っておいてなんだが、作者の死は残念だ。
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まちがいなく傑作だとおもう。
一度目、とりあえず読んで流れと構成をつかむ。
二度目、一度目でつかんだ流れ・構成を、世界の階層を意識しながら読み込む。緻密に計算して描かれた世界の重なりに圧倒され、こちら側にもその世界がはみだして、一緒に流れているような変な感覚になる。
すごい。
一見ちょっと変わった構成の、サブカルにありがちな雰囲気青春漫画だ(その部分も楽しめる)けれど、きちんと作者の描画の意図を理解しながら読めれば、ここまで練り込まれたものを1冊の漫画として世に出せた作者に賛辞を贈るしかないのではないだろうか。
きっと20代後半の人間にはドストライク。
何度か読み終わった後、あいだあいだに挟まれる、両面真っ黒の何も描かれていないページがストロボライトのように見えてなんだか哀しいような変な感覚だった。
その死すら、間テクスト性の実践実験の延長線上なのではと、一瞬よぎってしまうくらいの作品でした。とても残念です。ご冥福をお祈りします。
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劇中の映画とリンクしつつ、物語は進んでゆく訳だが……。まぁネタバレはよそう。今敏の映画みたいだけど、また別の方向性へ進んでる。物語構成が凄い。「よいこの黙示録」もおもろいし。この人のファンになったわ。
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モノクロの中に色が付いているような。いやむしろ逆にモノクロだからこそ読み進めていくうちに色が付き、立体的にこの世界観を浮き上がらせているような、そんな感覚。淡々と、かつ劇的に物語は進行していく。現在、過去、未来。夢、妄想、空想。それらは互いに影響しあい、刺激しあい、”自分”と”彼女”を紡ぎだす。果たしてどこまでが現実で、どこからが空想なのか。読者としては”もしかしたらこの終幕すら空想なのではないか?”と思えてしまう絶妙なストーリー構成は好感度高し。
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ストーリーも絵も非常にリアルで面白い作品だった。間テクスト性という言葉が作中に出てくるが、過去の回想として進行していく物語の中で主人公を取り巻く感情が変化していくのが面白かった。1冊で完結する物語なだけに展開がテキパキ進んでいく。カットや絵にも色々な工夫が読み取れて良かった。
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何度も読み返したい作品なのだが、読み返すたびに辛くなってどんどん読むペースが遅くなる。1回目はさらっと読んだのにね。「帰って」のコマがお気に入り。
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前、読んだ漫画を
もう一度、読み直してみる巻 Vol.10
町田ミカさんも良いが・・・実和子が好きだなー。 久々に読み直したがこの漫画のストーリーもすごいな… またしても衝撃を受けました。
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青山さんの漫画は、個人的に好きな絵柄で、ちょっとエロいシーンがあったり。
青山さんの中で、一番のお気に入りです。
大学で、自分の好きな女優がいたら、楽しいだろうなー、と想像します。
決してハッピーエンドではなかったですが、いろいろ考えさせられる作品でした。
青山さんのご冥福をお祈りいたします。
Posted by ブクログ
とにかく、非常に緻密に作り込まれた構造のマンガで、読み返すほどに作品の奥深さを感じます。
全ての経験はテクストとして構造化されている。
そして、「林真理子が清少納言に影響を及ぼす」ように、現在のテクスト(経験)は過去のテクスト(経験)の解釈をいかようにも変えることができる。
作品の底流にあるのは、この経験の「間テクスト性」という考え方です。これを体現するための極めて実験的なマンガともいえます。
『ストロボライト』というのは断続的な速い周期で光を点しますが、人のひとつながりの経験はその一瞬一瞬のまとまったもの。
その一瞬ではつかみきれないその時の意味は、時間が経てば経つほどさまざまな解釈が可能になります。
主人公が7年経って、ようやく学生時代の恋愛に終止符を打つことができたのは、現在進行形で放たれてきたストロボライトの光を過去完了形としてとらえるに足る時間が経ち、当時と異なる解釈ができるようになったからだと表現されています。
ストロボライトを彷彿させる陰影や中扉があるのもにくい。
主人公(浜崎正)が冴えない小説家志望、ヒロイン(町田ミカ)が才能豊かな元女優という設定はお互いの立場を効果的に対比させているし、ミカの出演した映画をシンクロさせ、マンガ自体も映像のような進め方をしているので、1本の映画を見ているような気にもさせられますね。
終局で、夜行に乗って暗闇を走り続けるさまは過去の回想、回想する言葉が光となって集束していくうちに朝になって田舎の眩しい光景が見えるさまは過去からの脱出、つまり真の現在進行形であるという描き方にもなるほどなぁと思いました。
ミカのいる土地から正が帰るのも明るい時間帯です。
最後に「電車って、走ってる時にこうやって目をつぶると、どっちに進んでるのかわからなくなるよね。」と、学生時代のミカと正が目をつぶるシーンがありますが、これはひとまとまりの過去の記憶に自分なりの解釈を与え、物語の終わりを告げられた今、今度はまた別の、どちらともつかない方向へと新しい物語が始まり進んで行くということを示唆しているのかと。
気づくと、このマンガ自体が浜崎正の小説そのもの(回想録)であるというのも、にくすぎる。
本当に上手くまとめられていて、感嘆してしまいます。
Posted by ブクログ
トーンをつかわない絵、ストロボライトのタイトルに合わせた構成、雰囲気など好きでした。
主人公、アホな大学生、はじめてできた彼女とのセックスの描写、よかった。
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『よい子の黙示録』(未完)を読んで、この作者の並々ならぬ画力とストーリーのうまさに唸って、この作品を読んでみた。
自意識過剰かつ劣等感に苛まれる主人公の、焦りやら悲しみやら苦悩やら、そういったイタイ感情を丁寧に描いている傑作。
読んでいて、なぜか、とり・みきの短編「カット・バック」を思い出して仕方なかった。
自ら作り出した幻にとらわれた主人公が、7年経ってようやく初めに立ち返れたこと。終わりがはじまりを作ったこと。随所にカット・バックの手法を使いつつ、ほろ苦いラストで主人公が自分自身に巡り合うのは感動的である。
この才能あふれる作者の早逝によって、もはや新作が読めないのが残念で仕方ない。
Posted by ブクログ
ヒロイン町田ミカのかわいらしさと主人公浜崎正の痛々しさがよく描けています。切なく自意識過剰な恋愛劇に悶絶しそうになるほど。
文学を意識した演出が独特の雰囲気を醸し出していますが、メタフィクション的な仕掛けは必要なかったんじゃないかという気もします。
Posted by ブクログ
まだ1周しかしていないので正直な所完全に理解出来てませんが、大体のテーマというかそういうものはなんとなく感じ取れました。
話は過去と現在が交錯しながら進んでいきます。
現在の夜行列車に乗りながら、過去の恋人との出来事を1本の映画を軸に思い出していきます。
難しい手法とかそういうのはまったく分かりませんが、帯にもある「君が好きになったのはー本当に<私>?」という言葉がそのまま話になっているというかちょっと上手く言えませんが、どこか人間の負の部分であったり、自分の気持ちがわからなくなったりする部分は共感できました。
少し切なくてちょっぴり現実味のあるお話しです。
Posted by ブクログ
正直話だけなら☆3とかそんなもん。
すごいと思ったのは話の構成かなぁ。キーワードは「間テクスト性」?意味わからなくてぐぐったけど。でも作中の「近代のレンズで古典を誤読し得る」「林真理子が清少納言に影響を与える」て表現がしっくりきた。簡単に言えば大人になった主人公が自分の過去を小説として書き起こす事で過去を見つめ直し向き合う話。随所に挟まれる映画のシーンもなるほど、て感じ。最後は過去と現在が重なり合って夜行列車の旅は終わり。夜行列車を降りて今に至る、と。オチは弱かったかな?まぁオチよりもこの構成重視だったのかもしれないけど。
最後の「電車って、走ってる時にこうやって目をつぶると、どっちに進んでるのかわからなくなるよね」という言葉は、後になって振り返る事で(電車を降りる事で)、何処に行き着いたかがわかる、てことかな?自信無い。
それと最後にこれを読んだ誰もが持つであろう感情、女の子可愛い。これはガチ。カバーの黒い部分が全部斜線で色を付けててその気合に驚いた。おわり。
Posted by ブクログ
一本の短編映画の様な空気感と読後感が味わえる作品。時間の流れ方や視点の切り替わり方、登場人物たちの台詞ひとつひとつに役割が割り振られている演出が特徴的だった。映像化希望!と思わされた時点で、多くの読者の頭の中で既に素敵映像化されているに違いない。それだけ、作品自体が無駄なく作り込まれており、かつ更に想像を膨らませるのに十分な、深みのある世界観が描かれているということだろう。『CONTINUE』での連載全13話が一冊に収録されている。
Posted by ブクログ
じれったくなる、そのキャラも話しもだけど、
作者のスタイルに。
だけど久々に自分と重なってしまって
不思議な感情が湧いた。僕も何かを
描きたいのだ、と思った。
Posted by ブクログ
とってもよい!こういうマンガ好きです。
けどそれだけにストーリーのつくりの甘さがもったいなかったです。
もっと良い作品(自分好み)に仕上がったんじゃないかなーと思います。
Posted by ブクログ
作者がやりたいことがとても明確。
しかしプロットに全力出して終わってしまった感がある。
プロットによくある話を当てはめましたって感じ。
その分読みやすく分かりやすくてそれが良いのかもしれんが