あらすじ
格差拡大と貧困の深刻化が大きな問題となっている日本。だが、巨額の財政赤字に加え、増税にも年金・医療・介護費の削減にも反対論は根強く、社会保障の拡充は難しい。そもそもお金がない人を助けるには、お金を配ればよいのではないか――この単純明快な発想から生まれたのが、すべての人に基礎的な所得を給付するベーシック・インカムである。国民の生活の安心を守るために何ができるのか、国家の役割を問い直す。
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Posted by ブクログ
貧困を解決するための、ベーシックインカム。
現在の貧困を解決するための政府の政策は、ほぼ失敗に終わっている。
一つは、生活保護制度。現状、受け取るための水準が高すぎて、本来もらうべき収入の人々が貰えていない。これは、全国民にBIを給付することで解決できる。
二つ目は、収入を得るための職業訓練である。
魚を与えるのではなく、その魚の釣り方を教えなさい。という言葉があるけれども、今のところ、不正などが横行し、失敗に終わっている。
したがって、BIのように、直接給付つまり、ばらまき政策が、貧困に対する一番効果的な政策である。
Posted by ブクログ
日本では、約1000万人の人びとが、
年84万円以下の収入で暮らしているようです。
そういった貧困を無くすため、
皆が最低限の健康で文化的な生活を保障するための思いきった政策として、
著者はベーシック・インカムを提唱し、
経済や政治の分野での込み入ったところ、
細かいところまでを解きほぐす形で話を進めています。
それゆえに、ベーシックインカムは、
社会思想としてあるいは社会学的に語るだけのものではなく、
実践的な議論をするまでの段階に来ているのだなあと読めます。
雇用状況や所得状況の現実をみる第1章からはじまり、
第2章ではベーシック・インカムにいたるまでの、
そしてベーシック・インカムを支持するいろいろな思想や立位置、
つまり、コミュニタリアン(共同体思想)であるか
リバタリアン(個人自由思想)であるか、
はたまた、パターナリズム(家父長主義的)であるか、
反パターナリズムであるか、といったところからの考え方を紹介します。
僕にはこの章での、ジョン・ロールズの「マクシミン原則」がおもしろかったです。
これは大多数の幸福を優先する功利主義とは違い、
最下層の人々に対する効用を最大に考えるものでした。
そうやって、底上げすることでの社会的幸福があるだろうという考え方です。
最後の第3章ではベーシック・インカムを実現するための財源の確保を
著者なりに具体的に示し、さらにベーシック・インカムが実現することで
危惧される問題についても反論しています。
著者は、これまでいろいろよくないイメージをもたれているバラマキ政策だけれども、
目的と効果がはっきり考えられている点で、
たとえば高速道路無料化や児童手当、公共事業とは違うのだと主張しています。
これはこれで、もっともな考え方なのですが、
やはり財源を考えたときに、
そんなにうまくいくかなあと素人なりの疑問は残りました。
思った以上に政治家向けというか、
図やグラフであってもなかなかややこしく、
新書にしては専門的で入門書としては難易度が高めかもしれないです。
それでも、がりがりとがんばって読んでみれば、
この分野の知見が広まる読書になるでしょう。
貧困は大きな問題ですからね、
大きな舵取りだって必要なんじゃないかなと
僕は思いもしました。
Posted by ブクログ
日本では、990万人が年に84万円以下の所得で暮らしている。現行の社会福祉政策はあまりにも非効率で、貧困の解決には非常に限定的。それを、全国民に一律で大人一人月7万円、子供一人月3万円を無条件で支給することとし、生活保護や年金などと置き換える(なので財源確保可能)、そのうえで勤労意欲を削がないように、所得には一律30%の税を課す、というのが著者のおもな主張。
個人的には第3章が参考になった。2章は飛ばしてもよかったかも。
Posted by ブクログ
バラマキは正しい政策である。
誠にその通りなのだが、「控除から手当」の掛け声倒れ、実現しない。「バラマキ」嫌いの人が読んでもきっと納得しないだろう点を考慮して減点。