【感想・ネタバレ】影媛のレビュー

あらすじ

物部家の巫・影媛は、神の声を聴くため翠鳥となって森を飛び回るうち、鹿狩りに熱狂する平群家の臣・志毘に出会い、恋に落ちる。しかし両家は対立する間柄、そして彼女はすでに皇太子に求婚されている身だった。特異な想像力と類まれな言語能力で描き切った、鮮烈な愛の物語。新潮新人賞最年少受賞の新鋭による待望の第二作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

最近よくある、歴史小説でオンナ主人公。わかりやすく、オンナとわかるタイトル。
失礼ながら、ネットによく散見される、とてもよくできたオリジナル歴史小説を自費出版したのかな、と思っていた。

現役京大生による擬古典的な文体、芥川賞候補作。第二の平野啓一郎を生みたかったのか。

物部の巫女媛が敵対する平群の後継ぎ、志毘と恋に落ちるが、聖徳太子に嫁ぐことを強いられ、父に恋人を殺される。ただそれだけの中編。題材がいいので期待していたが、構成力に乏しい。

格調高い文体を目指しているが、古語辞典から単語をひっぱって継ぎ合わせたようなちぎはぐさで、古文独特の柔らかさやリズムがない。やたらと「…の様に」を多用しているのが気になって仕方がない。平野はまだ文章になっていたのだが、これはなっていない。

鹿肉をやたらと解体するシーンだけ執拗にリアルに描写されていて、気味が悪かった。医学的興味からなのだろうか。

若さゆえの感性は鋭いと思うのだが、無理に古典的文体に挑戦せずに、現代語でのびのびと書いたほうが良かったのではないか。

若い頃に背伸びして擬古典的文体を真似て評価されたものの、その後、さっぱりという作家さんもいらっしゃるので、物語としての面白さを追求する技巧を磨いた方がいいように感じる。まあ、純文学でエンタメじゃないからこれでいいと思うかも知れないが。

あと聖徳太子の意地悪さが、某漫画っぽいと思ってしまった。

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2015年03月16日

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