【感想・ネタバレ】山怪 弐 山人が語る不思議な話のレビュー

あらすじ

ベストセラー『山怪 山人が語る不思議な話』(2015年6月・山と溪谷社)、待望の続編、ついに刊行!

今回は、東北から中国・四国地方まで新たに取材を敢行、山里に埋もれつつある興味深い体験談を拾い集めた「現在形のフィールドワーク」である。
「新たなる遠野物語の誕生」としてさまざまなメディアで絶賛された前作からさらに拡張する、山で働き、暮らす人々の多様な語りは、自在にしてエキセントリック。
「語り遺産」ともいうべき、失われつつある貴重な山人たちの体験に、読む者は震撼しつつ、深い郷愁の念にとらわれる。

民衆の記憶を渉猟して築かれた新たな物語の誕生!あるいは、現代と近代の境界を漂う不定形のナラトロジー!


<目次>
第I章 胸騒ぎの山 八甲田山/真夜中の行軍/怖いモノは無視せよ!/落ちた火の玉/仏おろし/同じ夢を見る/夢で呼ぶのは/神様の孫/マタギの里で/狸もたまには騙す/蛇に魅入られた男/秋山郷の謎の火/森の大笑い/青い服の女/山の中で聞こえる音は/御嶽神社/大菩薩女/通じなかった祈り/蛇の鳴き声/駆け巡る笑い声/まとわりつく鈴の音/鷹が見たもの/闇に笑う男/犬を入れた訳/降りてくる山の神/山盛りの内臓/霊感は伝染する?/昨日の友達

第II章 彷徨える魂 切りたくない木/峠に集う者/続・楽しい夜店/山の日の出来事/二度と行かない小屋/白日の火の玉/狐の嫁入り/座敷わらし/幻の巨大石塔/止まるチェーンソー/最新科学と交差する謎/天に昇る煙/小さな帽子/線香のにおい/悪いモノ/見知らぬタツマ/虫捕り/立ち上がる光柱/ミミズ素麺/山寺の騒ぎ/オオカミと蛇/十津川村/行者の世界/チャクラ全開の人/回峰行/遭難者が見たモノ

第III章 森の咆哮 軽トラの待ち伏せ/行ってはいけない/消えた友人/黒い山/一人だけに聞こえる/不気味な声/手相見の警告/おろちループ/呪い神/拝み屋と憑きもの封じ/ヒバゴンの里/爺婆の茶飲み話/神船/良くないモノ/エクソシストと丑の刻参り/森とみそぎ/遍路ころがし/大蛇は寝ている/招くモノ/悪狸/犬神家/ヤマミサキ/婆と侍/雅な調べ

後書き― 怪異との付き合い方

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

マタギを取材するフリーランスカメラマンが採録した山の怪異。
最近流行りの所謂実話怪談などのように派手な話はほとんどなく、人魂の話、野焼きされる遺体の話、山に呼ばれて行方不明になった話などが飾らない筆致で語られる。怪談というよりは民俗学でいうところの世間話の方が近く、取材先が実名で登場するなど資料として貴重である。読者を怖がらせてやろうというケレン味がないだけにリアリティも高い。

山で見た人魂を、あれはきっと蛍の塊なんだよと説明する話者を前に筆者は考える。山が生活の場になっている人間にとってそこは日常である。そこで起きたことは説明がつくことでなければ生活の足元が崩れてしまうと。
本文中にもそうやって自らが体験した怪異を日常に落とし込もうとする話者はたくさん見られた。
日本人の境界意識の中で山は異界であり、人里とは決定的に異なる。そこに隣接して暮らす人の思いと覚悟に平地人である自分はただ戦慄するしかない。

0
2023年09月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

狐や狸、目に見えない何かなど様々な話がありましたが、火の玉についてが特に印象に残りました。

本作にも書かれている通り、科学的に火の玉は獣の死骸もしくは遺体から発生したリンが発生したものだとされています。
語り部として登場された方々もただの自然現象だと捉えている方もいらっしゃいました。
しかし読み進めるうちに、『山』という空間では
人知の及ばない不可思議なことも起こり得るのではないか、そう思えてしまうようなお話ばかりでした。

山に入ることを日常とされている方々にしか分からない感覚や経験のお話もあり、とても興味深かったです。

0
2021年10月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「犬を入れた訳」というタイトルがなんかすごく良かった。

地味に怖い山の話がつらつらと並ぶ。もちろん謎が解けるわけではなく、ただただ色々な人が体験した色々な不思議な話が並ぶだけ。

内容としては良かったのだが、霊感があるとかないとかいう話をされると一気にうさんくさくなるから、語る人が言うのは仕方ないとしても著者まで乗ってくるのはやめてほしかった。

0
2020年07月04日

「小説」ランキング