【感想・ネタバレ】暁の珊瑚海のレビュー

あらすじ

井上成美が統率した日米、世紀の海空戦!

史上初めての空母対空母の決戦「珊瑚海海戦」の5日間の攻防。人間井上の戦略観を基底に日米文明の対決を描く。錯誤の海戦の全貌とは

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Posted by ブクログ

ネタバレ

珊瑚海海戦について丹念に調べ上げられている書。太平洋戦争における空母VS空母による初の海戦。日米両軍とも手探り状態であったが、偵察の質の差、各空母周辺の天候の差も両軍の被害の差となった。この海戦を研究しておけばミッドウェー海戦において日本海軍の惨敗は無かったかもしれない(日本軍なら1か月後では活かせないと思うが)。米軍の空母復旧能力にも驚かされる。対空砲火や直掩戦闘機による攻撃をかいくぐり果敢に攻撃する艦上攻撃機の乗務員の苦労も目に浮かんでくる。そのような中で正確な戦果を報告するのも難しいのであろう。

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2025年08月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

すぐれた戦記です。この本を読んで、井上成美に興味を持ちました。
珊瑚海海戦について思ったこと。
米艦は既に対空レーダーを装備していた。実際に5月7日の夜、日本機が旋回して消えた、すなわち着艦までが見えていた。
米艦隊は輪型陣を組み艦攻の進入が困難であったが、日本艦隊は、空母と重巡が数キロも離れていた
魚雷を抱えた艦攻の生存率が低い。97式は「艦攻としては」速いが、戦闘機、対空砲火に弱い。戦術としては艦攻より艦爆による爆撃の方が機能的だったのでは。
航空母艦戦では発艦、収容の決断が明暗を分ける。指揮官は夜間に母艦のそばまで戻った機体を見殺しにした。同様の事例はハワイでも、セイロンでもあったがこれが当たり前であった。
7日の薄暮攻撃は無謀であった。五航戦は接敵情報の確度を勘案している気配がない。戦果の確度が低く戦略に影響を与えた点も深刻。ただ、状況を考えると仕方なしか。
訓練から実戦に移行し、僚機が火だるまになることを目にする恐怖。冷静に考えると、必中攻撃は死の危険が高い。逃げたくなる気持ちもあっただろう。
被掩護機の艦攻隊からの見方ではあるが、「勝手に」空戦に入り、離れる戦闘機が多かった中、敵艦のそばまで艦攻隊の直上で直掩を続けた戦闘機の評価は高かった。
日本海軍は、初めて米空母と会敵。全力を使わないことも含め、米海軍をなめてかかっていた。インド洋で一航艦が英空母を沈めたという驕りがあったことは否めない。
日本の指揮官にヒューマニズムはない。兵員も必死に戦うが、ギリギリまで生きるという死生観が乏しい。
艦内で搭乗員が別格。その中でも士官は艦橋に出入りできる身分。士官は、エリート意識を持ち、戦いの先兵になる誇りとやせ我慢を培われたが、全員が立派だったかというとそうではなかった。階級が上の者を悪く言う、そういう話はなかなか表に出てこない。

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2013年05月26日

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