あらすじ
テニス少年の底抜けに明るく切ない青春物語。
ウルトラ体育会系だけれども活字中毒でもある文学少年、侃(カン)は、高校に入り、仲良くなった友だちに誘われて、テニス部に入ることになった。初めて手にするラケットだったが、あっという間にテニスの虜になり、仲間と一緒に熱中した。テニス三昧の明るく脳天気な高校生活がいつでも続くように思えたが……、ある日、取り返しのつかない事故が起きる。
少年たちは、自己を見つめ、自分の生き方を模索し始める。
「恐ろしいほどの感動が、俺を圧倒した。若く溌剌とした魂の輝きがもし目に見えるとすれば、朝の光の中できっと俺はそれを見たのだ。
瞬くように過ぎ去るからこそ、二度と戻れないからこそ、このきらめくような瞬間はかけがえのない一瞬だった。」(本文から)
少年たちのあつい友情と避けがたい人生の悲しみ。切ないほどにきらめく少年たちの日々の物語。
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Posted by ブクログ
活字オタクの主人公、侃があるきっかけで、高校のテニス部に入る。初心者のため、最初は思った通りに出来なかったが、練習に練習を重ねてどんどん上手になっていく。
憧れの女子、三角関係、ライバルとの競争、高校生の部活ならではの話題は、懐かしさ、胸キュン、いろんな思いが溢れてくる。
あるとき、自分の不注意で部活の大事な友達に怪我をさせてしまう。そこからテニスが続けられなくなり、侃は心を閉ざしてしまう。
そのとき、侃が辿り着いた場所は田舎に住む自分の祖父の家。認知症なのかどうなのか微妙な態度のお祖父ちゃんと暮らし、田舎の子供たちと接し、改めて、自分としっかり向き合うようになる。
美しい田舎の風景は、読んでいて、どんどん想像できた。
緑色の木々、広い海。これらが、侃のカチカチに凍った心を少しづつ溶かしていく。
中学生や高校生が読むと、自分と重ね合わせ、無理難題にぶつかったときに、自分の心の栄養剤として、とてもいい本だと思った。
大人が読んでも、当時のしょっぱさ、甘酸っぱさが味わえる、ザ・青春がたくさん詰まった本です。