あらすじ
葬儀店のひとり娘に産まれた森野、そして文房具店の息子である神田。同じ商店街で幼馴染みとしてふたりは育った。中学三年のとき、森野が教師に怪我を負わせて学校に来なくなった。事件の真相はどうだったのか。ふたりと関わった人たちの眼差しを通じて、次第に明らかになる。ふたりの間に流れた時間、共有した想い出、すれ違った思い……。大切な記憶と素敵な未来を優しく包みこんだ珠玉の連作集。
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Posted by ブクログ
神田と森野の話。「MOMENT」を昔読んで、「WILL」があることを、随分後になってから知り、そしてまた随分時が経ってから、本作があることを知った。
本当の意味での悪人が神田・森野の周りに存在せず、やさしい世界なんだが、それが嫌じゃない、そんな感じ。
森野のようになりたい、そう思うことが多々あり。特に本作の2話目。こんな風に人と接することが出来たら、いいなと思う。どちらかというと、自分は森野に嫌われている先輩みたいな感じだから。
お話としては「MOMENT」がダントツで面白いのだが、この二人がどうなっていくのだろう、と思っていたので、本作で結果が出てよかった。
神田だって、モテるのではないか、と思うが、森野のモテ話が多いのは、神田目線だから?
ちらっとだけ出てくる森野の両親が好ましかった。
多分、「MOMENT」「WILL」と共に、繰り返し読む。
Posted by ブクログ
記憶と思い出は、どこかで誰かとつながっている。
意図していなくても。
そんなテーマではないかな?
それぞれ別の主人公が動く短編が5作品おさめられているのだが、最後の「時をつなぐ」に向けた連作となっている。
本当の意味での主役はあまり表面に出て来ないが、読み進めていくうちに、彼らの成長を追うこととなり、主役ははっきり見えないものの、読後は穏やかな気持ちになる。
Posted by ブクログ
「MOMENT」「WILL」の登場人物、神田と森野を取り巻く人たちから二人を見た短編集。前の2作を読んで間隔があいたため、正直ちょっと話を思い出すのに時間がかかったが、概ね良かった。1話目の語り手は「女子〇〇」という言葉が出るまで女性だとは思わなかった。意表を突かれた感じ。5話目で、森野が中学生時代に起こした問題の真相が明らかになる仕組み。あわせて、神田と森野2人の恋の結末が明らかになり、良かった。この方の他の作品もチェックして読んでみたいと思う。感想はこんなところです。