【感想・ネタバレ】エルサレムから来た悪魔 上のレビュー

あらすじ

1171年のイングランド。トマス・ベケット大司教殺害の衝撃もさめやらぬ王国を、ケンブリッジの町で起きた、子どもの連続失踪・殺害事件が揺るがしていた。事件はユダヤ人の犯行だとする声が強く、私刑や排斥運動が起きる。富裕なユダヤ人を国外に追放してしまえば国の財政は破綻し、かばえば教会からの破門は避けられない。進退窮まった国王ヘンリー二世は、シチリア王国から優秀な調査官と医師を招聘し、事件を解決させようとする。若き女医アデリアは、血に飢えた殺人者の正体をあばくことができるのか。CWA最優秀歴史ミステリ賞受賞の傑作。

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Posted by ブクログ

中世イングランドを舞台にしたミステリ。なんと、そんな時代にも女性の検屍官がいたとは!当然、魔女だの教会への冒涜だの、時代を反映した偏見や因習も出てきて、女性には大変な時代だったのだなあと思う。

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2014年08月28日

Posted by ブクログ

上巻。
12世紀のイングランドを舞台にしたミステリー。最初だけ人物を把握するのにちょっと大変でしたが、シチリアの検死医アデリアがイングランドのケンブリッジに到着する頃には、すっかりハマりました。
幼い子供が張り付けにされ殺された事件。死体を検分したアデリアは恐ろしい暴力の痕跡を見つける。

幼い子供が何人も犠牲になるかなり凄惨な事件ですが、事件そのものと合わせて歪んだ権力をもつキリスト教会やユダヤ人、ユダヤ教への民衆の歪んだ偏見が、牧歌的な風景の中にぶちまけられています。
主人公はユダヤ人に育てられた捨て子で医学へ身を捧げ、シチリアの最も優秀な医者であり、かつ女子力皆無の干物女。医者と言っても死体専門。

その彼女とシチリア王の側近のユダヤ人とアラブ人の召使、さらに個性的な登場人物達が邪魔をしたり、協力したりと賑やか。

上巻ではあまり捜査は進みませんが、驚きの展開もあります。

誰に何が起こってもおかしくないんだと、思い出させられて、面白いです。

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2014年06月21日

Posted by ブクログ

勧められて読みましたが、面白かったです。舞台は12世紀のイギリス。十字軍やユダヤ人との対立など、古い時代背景にありながら、法医学の女医が主人公となって、難問を解決するという物語です。最後に出てくる犯人は、ちょっと異常なのと、そうなった原因がよくわからないのが残念でしたが、一気に読んでしまいました。

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2010年12月07日

Posted by ブクログ

舞台は1171年のイギリス。
主役はアデリア。
イタリアからやって来た検死を専門とする女医です。
故郷のサレルノでは裕福な生活と地位が約束されていたのに、
王命により遠路はるばるイギリスはケンブリッジに来る羽目に。
そこは女性の地位が低く、医者であることも検死をすることもタブー。
発覚すれば魔女の烙印を押されて死刑もありえる。
ひとりで散歩していたらレイプされてもおかしくないという、
現代人には信じられないようなスリリングな状況に陥ります。
そして仕事は子供ばかりを狙った連続殺人事件の被害者達の検死。
この時代に科学捜査はありません。
ハエのたかる腐乱死体と格闘しながら状況証拠を積み重ねていきます。
読んでいくと誰も彼も疑わしく感じられますし、
宗教裁判などで誰でも簡単に犯人にされそうな怖さもあります。
アデリアも正体が知られたらと思うとドキドキしました。

上下巻に分かれているのでまだ犯人は分かりませんが、
最初の1節に巡礼者たちがケンブリッジに帰ってくる場面があって、
早くもその中で「そのうちの1人が犯人だ」と明言されています。
まあ状況証拠だけだと範囲が広すぎて絞りきれませんからね。
お陰で容疑者の範囲は限られています。
さて犯人は誰か、期待して下巻を読みたいと思います。

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2017年10月14日

Posted by ブクログ

ミステリーとしての構成も良いし、歴史的な背景にも萌え。歴史小説としても違和感なく楽しめる。作者がもう亡くなっているのは残念。

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2013年08月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

詳細な当時の様子が分かり、また国というか都市によって特徴があるのだなというのがよく分かりました。
イタリアやスペインから見れば、当時のイングランドは田舎というか野蛮といってもいいぐらいなのですね。
迷信がはこびつつも、実は庶民の一人一人は、事実を見据えている、逞しい状況が分かります。
残酷な描写もありますが、ヒロインと騎士の最後のやり取りがほっとさせられます。
シモンは最後まで活躍してほしかった。(というかシリーズとしてコンビが続くのかと思っていた)
犯人は中盤見当がついてしまいましたが、共犯者が意外で、最後まで分かりませんでした。

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2011年11月27日

Posted by ブクログ

楽しみな歴史ミステリのシリーズが始まりました!
12世紀のイングランドを舞台に、検死のできる女性アデリアを主人公とした歴史もの。
CWAの歴史部門であるエリス・ピーターズ賞の受賞作。
ケンブリッジで起きた、子供を狙った連続殺人。
磔のような姿だったために犯人はユダヤ人とされて、暴動が起きる。当時、ユダヤ人が復活祭にキリスト教徒の子供を殺すという噂があったのだとか。
ユダヤ人すべてをケンブリッジ城内に匿ったまま1年、犯人はわからず…
事件の調査を依頼されて、シチリア王国から調査員と死体を検分することの出来る医師が派遣される。
マチルダ女王の時代18年間続いた内乱も治まり、その息子ヘンリー2世の元で、国が平和になりつつある時代。
容疑者を水に落として溺れなければ無罪という審判法はなくなったとか!
つまり、ちょうど修道士カドフェルのすぐ後に続く時代なのですね。
とはいえ女性の医者など異端として殺されかねないという野蛮さ。
知的に進んだ国際都市であったサレルノでは尊敬を受けていた若いアデリアは、仕事に身を捧げた飾り気のない女性。サラセン人の従者を医者に仕立てて通訳兼調剤助手として同行、居心地の悪さを感じつつ、腕を発揮していきます。
調査官のシモンは穏やかな人柄で最初は驚愕しつつもアデリアを認め、バーンウェル修道院長のジェフリーも治療を受けてアデリアを信頼するようになります。
愛想はいいが謎のある王の税官吏ロウリー・ピコウ卿に不審を感じたアデリア。やがて彼に惹かれていき…?
十字軍で数年間、村を離れていた男たち数百人が、戻ってきている時期。
ヘンリー2世というと王妃はアリエノールですからね。次回登場?!
シチリア王国のサレルノには、1050年から医科大学があったのだそうです。
そこでは女性も学び、資格を取ることが出来た!
ちょっと修道女フィデルマのよう?
(7世紀のアイルランドでは女性弁護士がいたというけど~医者はいなかったのかしら…??)

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2010年07月15日

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