【感想・ネタバレ】危機の二十年 理想と現実のレビュー

あらすじ

政治に対する倫理の優位を信じ望ましい政治秩序を構想する、変革の思想としてのユートピアニズム。現実を分析し、そのユートピアニズムの偽善を暴くリアリズム。戦間期二十年の国際政治に展開した理想主義と現実主義の相克と確執に分析のメスを入れ、時代と学問の力動的関係を活写する、二十世紀国際政治学の記念碑。(新訳)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

危機の二十年における二十年とは、1919年のヴェルサイユ条約締結(第一次世界大戦終結)から、1939年の第二次世界大戦勃発までの期間をいう。
何故、この時期を危機としたのか。
それは、ユートピアニズムから誕生した国際連盟が崩壊し、リアリズム(現実的な権力政治)へ転換した大戦期間であるからだ。

人類は何故、第一次世界大戦を経験しながらも、第二次世界大戦へと向かったのであろうか。その理由を考えた名著であると考える。
しかしながら、個人的にはE・H・カーは毎回の著書は非常に読みづらい。w

【ユートピアニズム】
・世論万能説(人類は過半数以上は正解を選択する)
・利益調和説(個の利益は、全体の利益になる)
・進化論(強者が常に生き残る)
果たしてユートピアニズムは正しいのか?
リアリズムはユートピアニズムに対して、問題を提起する。
・世論万能説
→国際連盟はその役割を機能できず、大国(権威)が決定をしている。
・利益調和説
→産業革命時のイギリスはそうであったが、大国しか勝つことができない。
・進化論
→正義の価値観は国によって異なるではないか。

ただし、リアリズムでいることが正しいのか?
リアリズムは何も新しいものを生み出すことはしない。

つまり、ユートピアニズムとリアリズムのバランスが大切なんだ。
常に新しい理想を掲げ、それをリアリズムが解析し、また新しい理想を掲げていく。
それの繰り返しが必要なのではないか。

出版されて80年以上が経つが、未だに終わらない国際問題。
国際連盟が機能をしなかったように、今の国際連合も機能をしていないではないか。
それは結論、国際連盟も大国の価値観によって働くものであるからではないか。

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2026年04月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【121冊目】これを読まずして◯◯なんか語るな、っていう本はたくさんありますが、主権を持つ者としてあまり本を読まずに選挙に行くことは仕方のないことですね。民主主義社会っていうのはそれでいいんだと思います。

さて、政治、特に国際政治を語るにはこれを読まないと資格がないよっていう名著中の名著、クラシック音楽の「第九」、歌謡曲の「川の流れのように」に当たるのがこの本です。イギリス外交官だったE.H.Carrがケンブリッジ大学教授時に書いた国際政治の本。戦間期の二十年を、理想主義が支配した前半と、その敗北によって一気に現実主義の前に陥落した後半によって構成された期間だったと看破します。「危機の二十年」というタイトルですが、第一次世界大戦や第二次世界大戦に至るまでの過程についての描写はCarrの主張を支えるための例示程度にしか出てこず、どちらかと言うと、理想と現実が(国際)政治において果たす役割について、深い洞察を持って描かれています。hindsightをもってすればCarr自身がとんでもない理想主義に陥ってることはクライマックスで一目瞭然なのですが(Marxismに影響を受けていたことは有名な話)、それを補って余りある理想主義と現実主義の相克に対する考察。

結論を言ってしまうとすごくありきたりな話で、現実を直視する冷静さと誠実さ、だけどそれだけではなく、我々を勇気付け前に進めようとしてくれる理想や夢、その両方が必要だよねってことみたいです。

こちらで読む本のほとんどがそうですが、西欧世界からの視点に終始しているのが残念なところ。

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2014年12月14日

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