【感想・ネタバレ】ミニチュア作家のレビュー

あらすじ

1686年秋、アムステルダム。18歳のネラは、裕福な商人ヨハンネス・ブラントの妻としてこの繁栄する都市へやってきた。新生活への期待に胸をふくらませつつも、待っていたのは、婚家の富に戸惑い、辛辣な年上の義妹マーリンに反発し、不在がちの夫に落胆する日々だった。しかし、夫からの結婚祝いである豪奢なドールハウスがそんな生活を変えた。なぜか新しい家族に生き写しの人形たちに導かれるようにして、屋敷が抱く秘密を知ったネラは、行く手にひそむ危険に気づくが…。黄金時代のオランダの光と影を描き上げ、刊行前から世界の出版界の話題を独占した驚異のデビュー作。全英図書賞受賞作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ネラ・オールトマンはアッセンドルフトの古い屋敷からアムステルダムに出てきた。裕福な商人の妻となるために。しかし迎え入れられたのは冷たい屋敷。義姉であるマーリンは冷たく、夫たるブラントは家に帰ってこない。ようやく帰ってきた夫は彼女と夜を共にしようとしない。そんな花嫁にと夫は豪華なドール・ハウスを贈り物とした。そしてそこには精巧な家具だけでなく自分たちと同じような小さな人形が送られてくる。それも細分もたがわずに似せられた人形が。このドール・ハウスの作者は自分たちの生活を覗き見しているのかとも疑われるほどに。そして作者の作ったものが自分たちの運命を暗示しだしたとき、ネラは若い何も知らない花嫁から、一家の秘密を探る道へと知らずに歩みだしていた。

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2018年10月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

描かれているのは1686年10月から1687年1月まで。
没落した名家の18歳の少女ネラ(ペトロネラ・オールトマン)が
豪商ヨハンネス・プラントに嫁ぐところから物語は始まる

ネラを顧みない夫、癖のある義妹、使用人との生活で孤独を
感じながら、正体不明の作家によるミニチュアに導かれ
彼女は成長してい

ミニチュアハウスという可愛い小物からは
かけ離れた重厚な雰囲気の漂う小説

大きなテーマにがっつりと取り組む元女優の作家さん
2作目も楽しみです、ドラマがヒットして日本で放送されないかなー…

この年代のオランダは馴染みがなくて
どうしよう…と思ったけどフェルメールが
17世紀でした(^ ^;)

主人公ネラの活躍が少なくて個人的には
義妹マーリンと使用人コルネリアのほうが
魅力的な人物に思えるのが残念

****************************************
ペトロネラ・オールトマンは実在の人物
ただし経歴(前夫から莫大な財産を相続し
ヨハンネス・プラントと再婚)を見る限り
本作はほぼフィクション

(裏表紙から)
英国書店チェーンの2014年ブック・オブ・ザイヤーに選出され
全英図書賞の新人賞と最優秀賞に輝く、TVドラマ化が決定

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2015年09月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

VOCとかキャビネット型のドールハウスとか17世紀のアムステルダムとか、なかなかにときめく要素が多かったです。
ミニチュアに夢中になってしまう気持ち、わかるわー…。
読み終わって、また冒頭を読み返してしまいますね。
解けない謎や気になるその後が多すぎるけど、これはこれで良かったかも。

訳者あとがきで紹介されてたこれも読んでみたいなぁ。やっぱり17世紀オランダが舞台。
・チューリップ熱 デボラ・モガー

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2017年05月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

イギリスの作家ジェシー・バートン、2014年発表の小説。1686年、繁栄するオランダ、アムステルダムの裕福な商家を舞台に、18歳の新妻の成長と自立を描いた作品。面白いです。

オランダの田舎町の零落した名家の娘ネラはアムステルダムの裕福な商人、20歳年上のヨハンネスと結婚します。しかし、期待と希望を胸に訪れた新居では、優しいけれど留守がちで寝所を訪れることも無い夫、冷たく居丈高な義姉、図々しい使用人、等々に戸惑うばかり・・・。
ドロドロの昼メロのような舞台設定ですが、そうはならず、一家の危機を前に家族の絆を強めて行く、という物語。ミニチュアハウスやミニチュア作家がミステリアスでオカルティックな小道具として登場するけれど、本筋にミステリー的な仕掛けはありません。ミニチュアはネラを自立へと導く鍵であり、登場人物の心を映す鏡のような存在でもあるのですが、そのオカルト趣味は基本リアリズムの物語の中でちょっと浮いていると思います。
繁栄と自由を謳歌しているようなアムステルダムで、しかし宗教的社会的くびきはまだ人々をしっかりと捉えており、そんな中でネラの一家は崩壊して行く・・・ネラは今後強くたくましく生きて行くのだろうと思えるエンディングではありますが、結局の所誰も救えず、誰も罰せられることもない物語。面白いけれど、虚しさを感じる物語でもあります。それが歴史のリアル、なのかもしれませんが。

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2015年07月14日

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