あらすじ
「モンスターペアレントは森の人気者だ」「『ねんど』だ! 高校以来だから十年ぶりか。ものすごくいい女になってる。ああ、本名が思い出せない」――たった数行、冒頭だけの物語が面白い!! 続きは読み手のイマジネーション次第の、自由で新しい文学が登場。全国から集まった精鋭たちの作品から、『味写道』などで人気の鬼才・天久聖一氏が厳選。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
たった一文なのにいろんな発想や個性があってとても面白かった。ひと言コメントにもくすっとさせられ、帰りの電車で一気読みして満足した気持ちで帰宅。
個人的には妹部門と忍者部門がツボでした。
Posted by ブクログ
たった一文(もしくは数行)で、読み手の想像力が無限に喚起される。種田山頭火や尾崎放哉などの自由律俳句を読んでいるような、そんな気分にさせられる。説明はまさに蛇足であり、読み手にすべてを委ねた姿勢は潔く、そして、言葉の力、面白さを存分に味わうことが出来る。
私が好きな作品は以下6作品。
※ネタバレ含みます。
「メールで始まった恋は、最高裁で幕を閉じた。」
「子どもが母親にお菓子をねだっている。おばさんはカートを体のように扱っている。肉に半額のシートが貼られた。レジは空いている。私はスーパーでフラれた。」
「朝顔は咲かなかったし、君は来なかった。」
「父の七回忌に、私にそっくりな女が焼香に来た。」
「友人がそろばん教室に通っていた頃、私はビームを出す練習ばかりしていた。」
「プールに浮かぶ月は彼女のバタ足にゆらゆら揺れた。」
Posted by ブクログ
デイリーポータルZで連載されている企画が元。
こういう、自由律俳句的なものが好きなのですよ。
「小説の書き出し」という切り口だけど、
文章の断片からいろいろな妄想が広がる世界は同じもの。
これまでも『カキフライが無いなら来なかった』『偶然短歌』など読んできましたが。
こういう短い文章は、その置かれ方(空間、配置やフォントなど)と、
読む時の自分のコンディションにかなり大きく左右される。
ネタバレになるが、私のお気に入りは
「キンモクセイだけを嗅ぎたいのに、銀杏が肩を組んでくる」
「まだ謎は解けていなかったが、酔った勢いでリビングに全員を集めた」
「自家用ヘリで現れた新入社員は、すべての桜を散らしてしまった」(テーマ・桜)
「倒産寸前で、もう何も売るものがない我が社、今日の株主総会で、
取締役五人をアイドルグループとして売り出すことが決まった」(テーマ・アイドル)
「深夜、ストリートビューで佐々木さんの家へと向かった」(テーマ・中学生)