【感想・ネタバレ】復員・引揚げの研究のレビュー

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Posted by ブクログ

戦後の混乱の中、戦地で終戦を迎えた将兵がどのようにして日本へ帰ってきたのかを解説した本です。

内容は、なぜ将兵が南方を始めとする島嶼に分散し、取り残されたることになったのか。終戦直後から始まった生存のための自活と連合軍との戦犯裁判を含めた捕虜生活の苦悩。いかにして復員が行われ、その後の人生を生きていくことにしたか。の3つの内容で構成されています。

ガダルカナルやペリリュー島での激戦、無差別爆撃である本土空襲の裏で、敵と一度も交戦することなく耕作をしていた部隊や、中国戦線で中国軍と互角に渡り合っていた部隊の話から、将兵による終戦の捉え方が異なっていること。捕虜収容所や戦犯裁判での各国連合軍の態度で、その国の人間の本性や、そのような本性を持つに至る経緯など、戦争のミクロの部分から日本軍と連合軍それぞれの将兵が持った戦争観を知ることができます。

また、全体を通して戦争の要である補給の軽視や、そもそもの日本における教育や制度、理想の置き方を解説し、連合軍の中心であったアメリカとの違いを明確にすることで、復員の苦労の根本を探ろうとしています。

特に自活しながらラバウルで終戦を迎えた陸軍第8方面軍司令官今村均大将に対する記述については感心するものばかりで、評価の高い将軍であった所以を知ることができます。

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2012年12月22日

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