【感想・ネタバレ】保科正之の生涯 名君の碑のレビュー

あらすじ

将軍家光の異母弟として悲運の生をうけながら、忠勤と民への慈愛身をつくした、この稀有なる会津藩主の歩んだ清洌な生涯を辿る

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Posted by ブクログ

ネタバレ

10数年ぶりに、読んだ。やはり保科正之が主人公とあって、秀忠の妻お江与が悪く書かれすぎるのが気の毒としかいいようがない。その点を除けば、本当に読み出したら止まらない作品。今回読み直して、島原の乱の際に、保科が家臣に不備な点を問いただしたり、武家諸法度のここがいけないという点を将軍家光に進言したりと感心しきり。
あと、高遠、山形、会津とお国替えするにしたがって、引き継ぎされていった家臣の処遇に関して、藩主としての心がけというものはこんなものだと勉強になった。

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2016年02月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

会津松平家初代藩主である保科正之を主人公とした作品。

保科正之という人を私は「天地明察」で初めて知った。この作品の中での彼は、私のイメージしていた所謂「大名」とは全く違っていた。私の中の大名って、なんかこう民百姓のことなんかどーでもよくて、徳川ラブ!お上ラブ!みたいな上を見て尻尾ばかり振ってる的な…漠然とそんな感じだった。

ところが、保科正之は全く違った。島原の乱を契機に、何故一揆が発生するのか?何故民は飢えるのか?何故こんな事が起こるのか?と考え続け、その結果様々な善政を実行し、会津藩の安寧を実現する。まだ大阪夏の陣どころか関ヶ原からもそんなに経っていない時代。多くの大名はいわゆる「武闘派」で、民百姓のことなんざ屁とも思ってない。そんな時代に、もう戦いで世を治める時代は終わった、これからは文政で民を守り慈しみ、その結果藩政を豊かにし、ひいては徳川幕府の安定につなげる。こんなものの考え方をして実行した大名がいたのか?!と猛烈に惹かれた。ちなみに同作中の水戸光圀もグレイジーオヤジっぷりを遺憾なく発揮していて、こっちは冲方丁氏が別の作品で大暴れさせてるらしいのでそっちを読みたい。つか冲方先生お願いだから保科正之の本書いて!

他にも江戸城天守閣が明暦の大火、所謂、振袖火事で全焼したあと、再建しようとする案に反対。理由は昔は必要だったけど今は戦も終わってるし戦闘要塞としての天守閣なんか必要ないよね?だったらその金で江戸の町を再建した方がいいよね?というもの。このあたりの考え方が時代の先行き過ぎ。さらに玉川上水を作って江戸の町を潤そう!という案に対して「江戸への水路作ったらそこから進軍されちゃうじゃん!」という反対意見にも「誰が攻めてくるの?」と至極まっとうな意見で一蹴。他にもそれまで常識と言われてきたやり方を変えていき、成果を出していく。

それまでの常識にとらわれず、何が問題で、どうしたらその問題を解決できるのか?を常に学び、考え、実行し続けている。そして目的・目標がぶれていない。一に徳川家のため、二に民のため。やっぱりブレない軸って大事だよね。

勿論将軍の異母兄弟であり、叔父であり補弼役でもあり、ちょっと特殊な立場だったというのもあると思うけど、それにしてもやはり凄い。変えないのは楽。偉くなればそれは尚更じゃないかな?それを改革を続ける行動力。凄いよねぇ。

ここまで無理だとしても、この姿勢は見習っていきたいものだなぁ

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2014年05月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

死せる保科正之、会津藩の運命を変える
会津藩家訓の事です
既視感しかないのは「将軍の子」を読んだから
でも昔死ぬ前に自分の業績を全て焼き尽くした
ため事績を示す古文書が少ないと読んだ気が?

母親の生き様から丁寧に書く事で、小説家らし
く「あの制度」を作った動機「あの判断」を下
す基になる経験・感情を描き、腑に落ちた感を
読者に与えてくれる(偉大な作家さん)

700ページ近い分厚さで背広に入りません(笑)
通勤本にしたけど話は頭に入りました♪
山崎闇斎とのくだりは参考になった
どうしても思想史は遠ざけてしまうので、この
ような物語の断片に出て来ただけで興味湧くし

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2020年10月28日

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