あらすじ
アメリカ・ユタ州山間部の洞窟で謎の爆発が起こった。現場の大地や岩盤は細かい砂と化し、火山の噴火を誘発してしまう。シグマフォースのペインター・クロウ司令官は、現場に居合わせたハンク・カノシュ教授らとともに、爆発の謎を追う。同じ頃、シグマのグレイ・ピアース隊長と女暗殺者セイチャンは、テロ組織ギルドの手がかりを求めて国立公文書記録管理局に向かっていた。トーマス・ジェファーソンら建国の父たちとアメリカ先住民との間の密約とは? 「十四番目の植民地」とは? 「大いなる秘薬」とは? それらは爆発と、ギルドの起源と、関係があるのだろうか? ニュートリノの謎の放出と、トーマス・ジェファーソンの書簡の内容を手がかりに、グレイたちはアイスランド沖合の島へと向かう。全世界で日本でベストセラーの歴史×宗教×科学のハイブリッド・エンターテインメント!!海外小説〈シグマフォース〉シリーズ第六弾!
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Posted by ブクログ
ジェームズ・ロリンズによるシグマフォースシリーズ第6弾の上巻。
本作ではメインの舞台が始めてアメリカ本土となる。これまで同様、他の国でも事件が起きるし、日本人科学者が大きな役割を果たすなど、インターナショナル感は引き続きあるが、建国の父や先住民との問題など、アメリカ特有のネタを盛り込み、そこに古代のナノテクノロジーといった話題を織り交ぜることで重層的な物語を構築している。
現実にはないだろうが、全てを原子レベルにまで分解してしまうナノマシンを古代の人々が開発していて、それによって過去の大きな火山活動などが引き起こされていたのかも、という着眼点や、先住民と古代ヘブライとの関わりなど、今回も色々なうんちくを織り交ぜながらどこまで現実でどこからフィクションかわからないリアルな世界が描かれている。
ギルドとの戦いも佳境に入り、真実に徐々に迫っていきつつ、相変わらず先を越されるもどかしい展開も。スピード感溢れる筆致はさらに冴え、読者を惹きつける展開もあざといまでに効果的で、とにかく先が気になって読む手が止められない。