【感想・ネタバレ】知ろうとすること。のレビュー

あらすじ

福島第一原発の事故後、情報が錯綜する中で、ただ事実を分析し、発信し続けた物理学者・早野龍五。以来、学校給食の陰膳(かげぜん)調査や子どもたちの内部被ばく測定装置開発など、誠実な計測と分析を重ね、国内外に発表。その姿勢を尊敬し、自らの指針とした糸井重里が、放射線の影響や「科学的に考える力の大切さ」を早野と語る。未来に求められる「こころのありよう」とは。

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Posted by ブクログ

情報があふれる現代社会の中で、何を信じて、何を選びとればいいのかとても難しい。糸井さんの言葉で、なによりも、なにをするにも起点になるのが「事実」というのが、とても印象深い。
事実を知る、知ろうとすることが、いかに冷静で正しい判断ができるかの鍵となる。

水素原子が138億年前にできたこと。
私たちの体を構成している個数の多いのは、水素原子であること。
138億年前の水素原子が私達の体をめぐりにめぐって今も存在していること。
すごいことなんだな、
と遙か昔の地球誕生を思って胸が熱くなってしまった。
良本でした。

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2025年03月08日

Posted by ブクログ

対談。
原発のことなどが、分かりやすく語られている。
字が細かくぎっしり…ということもないので、「知りたいけど、難しすぎる本は敬遠する」人にはおすすめ。
納得できたし面白かった。

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2019年05月07日

Posted by ブクログ

震災後から2014年くらいまでの早野さんの活動と結果がよくまとまっています 「マイナスをゼロに、そして未来に」つなげていく仕事を着実に積み重ねていく早野さんの姿勢に心を打たれますし、これを「尊い行い」と言うのだな…と感じました。当時の混乱した状況のなか、早野さんは地道に着実にデータを集め、根拠をもって安全だと言えるようにしただけでなく、住民たちの心に寄り添い「安心」をも確保していきました。データを提供するところまでは科学者の責務と言えると思いますが、人々の安心というものはもっと先にあるものです。科学だけで解決できない問題に、科学者としてどう関わっていくべきかについて非常に多くのヒントをもらいました。

福島の現状についてあまり知ろうとせずに生きてきましたが、データの蓄積の結果いまわかっていることをまとめて知る機会になったのもよかったです。住民の内部被曝も外部被曝も、流通している食べ物の線量も全国の他の地域と比べて全然問題ないと言える根拠がすでにあって、査読論文も出ています。

差別や風評被害をゆるく生きながらえさせてしまうのは、少し離れたところにいて、知識が震災直後の煽り記事の印象のまま止まっている人たちなのではないかと考えました。無意識のうちに差別に加担したくないのなら、知ろうとしなければならない。これは他のあらゆる差別、偏見にも当てはまるように思います。

本書には、あるものごとについて詳しい人とそうでない人が建設的に歩み寄るにはどうしたらいいか、についてのヒントがちりばめられています。科学技術と社会のさかいめで何が問題となるかとかにもちゃんと触れられています。科学コミュニケーションに興味がある人にもおすすめ。対談形式でさくっと読めるし430円+税だし全人類におすすめです。

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2017年12月02日

Posted by ブクログ

福島の人たちの被ばく量が十分に低いと確信できた。それは逆に言うと、被ばく量が高い可能性はかなり高かったということで。
その数値的な危機感は、当時のメディアの馬鹿騒ぎみたいなものからは全く伝わってこなくて。
この本を読んで改めて、福島の人たちが無事で本当によかった、と思う。

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2017年11月19日

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科学的な見地に基づいて、原発から飛散した放射能はやみくもに怖がらなくていいということがようやく理解が出来た。

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2017年07月24日

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ネタバレ

子どもの体内被曝を図る「ホールボディカウンター」。
いかつい機械だったので、デザイナーにデザインを依頼。

「これは科学的には必要のない機械」だけど、安心感やコミュニケーションのためのツールとして活用。

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2017年06月16日

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自己啓発系の書籍かと思ったら、全く別の内容でした。
ただ、普段手に取らないタイプの書籍だったので、書いてある事全てが新鮮で、とても楽しい読書体験でした。
福島の原発事故についてのお話でした。

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2017年05月11日

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言葉は平易だが、メッセージは重要だ。

糸井重里があとがきでまとめているが、混乱時こそ事実にもとづき冷静に判断し、行動しなければならない。

先般の原発事故に関連して人々が被曝した放射線量では健康に何ら影響をもたらさない。
福島県民は健康だし、福島県産の作物は安全だ。

某新聞のように事実に傾きを付けてデマゴークとなるのはたやすい。
子宮頸がんワクチン被害も同類だろう。

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2016年12月12日

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震災のあと、放射能に関する風評が多く出され、今でもそのことを原因としたいじめや、誤った甲状腺ガンの発生状況の報道がなされたりしている。
本書では、科学的なデータに基づく知識と評価がとても大事で、リスク0などを求めることのバカらしさを説く。
実際、放射能がどれだけ怖いか、あるいは怖くないかを身をもって実感している広島人としては、当時大騒ぎをすることにとても違和感を感じたものでした。
今がどうかは知りませんが、子供のころの広島では夏休みの宿題で原爆に伴う被害や影響を知る機会があり、冷静な判断を行うのにとても役立った。
文系理系問わず、事実を知るためのセオリーがわかりやすく解説してくれている良い本だと思いました

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2016年11月24日

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きっかけは小さくても、自分を発信し続けることで想像もできない未来が広がることもあると、早野さんの話を読んで思う。そこには誠実さが一貫してあるからこそ、人が集まるのだろう。自分もそうありたい。

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2016年09月08日

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買ったまましばらく読めていなかったのをやっと読んだ。
いや~これは読んでよかったです。早野先生のツイートは事故直後からだいたい読んでいたけれど、どんどん忘れてしまうので、大きな流れと肝になる重要な活動などを時系列でまとめて読めたのはよかった。
事実として確かめられたこと、確かめられないことを選別し、確かめる手段を考案し、ときには山のように書類を書いたり、こまめに福島に足を運んでいろいろな人と会って、必要とあらば説得もして。サイエンティストで行動者の早野氏には頭がさがるし、それを押しつけがましくなく、わかりやすく伝えようとする糸井氏は、ほんとうに自分の役割をよくわかっている人なんだと思う。

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2016年06月11日

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福島第一原発事故後からさまざまなデータを冷静にツイッターで発信したり、内部被曝の調査を自ら行ったりした早野龍五氏と、糸井重里氏がさまざまな情報が錯綜する中で科学的に正しい情報をいかにして見つけるかを対談形式で語る。
科学的に正しい情報を伝える重要性と共に、怖がっている人を安心させる重要性にも触れているところが、大切だと思う。

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2025年07月27日

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福島の原発事故と放射線について、
事故から3年半がった今だからこそ語れること。
ツイッターで事故後早くからデータを収集しツイートしていた早野先生と、
事実を科学的に見たいと思って彼をフォローし見守り、
その後、いろいろな行動を起こした糸井重里さんの対談本です。

つい一昨日、この本を読むにあたって合わせて読んだ方がなおいい、と
いうようなツイートを確か糸井さん本人がされていたのを目にしていたので、
『いちから知りたい放射線のほんとう』を読みました。
そこで、相当に、今ではこれだけはっきり分かっているという
放射線の知識を得ることができましたし、それまで読んでいた本の内容も
頭の中で整理されたかのようで、クリアになった気分すらしました。

そして、満を持して、この対談集を手に取った。
そこで見えてくるのは、糸井さんがあとがきで書かれていることにも繋がるのですが、
事故などの危機に対する「姿勢」なんですよね。
「姿勢」であり、どこを向いているかという「視線の向き」でもある。
そういうのが学べると思いますよ。
いわば、北極星を教えてもらうような本とも言えますね。
近代になって科学が発達するまで、航海してるときに目印にしたのは北極星です。
「北極星を見る」というのは、イコールこのような災害の場合での
「姿勢」を知ることであり、「視線の向き」を知ることでもある。
他の星を目標にしてさまよってしまうがごとく、
科学的事実に拠ろうとすることをしなければ、きっと、この災害の本当のことは
いつまでたってもわからずに、さまよい続けてしまうことになるでしょう。
さらにいえば、自分だけさまようのではなく、
さまよいながら人を傷つけたり迷わせたりもしてしまう。
そうはならないように、最小限どこを向いたらいいよ、と促すような本だと思います。

糸井さんと早野先生のツイートのやりとりで知りましたが、
この本のタイトルの『知ろうとすること。』には、
「素人がすること」というような意味も込められているようです。
素人がすることは、知ろうとすることで、それは「姿勢」を手にすることなのだと
僕はそうとらえました。

事故からの取り組みとその経過が比較的詳しくわかりますし、
わかることで、安心を得られたりもします。
単行本で出てもいいような本なのに、最初から文庫本で発行されて、
ワンコイン500円で買えてしまいます。
知ろうとする、その気持ちが少しでもある人は、ぜひに。

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2025年06月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ



震災当時、小学生だったので原子力発電所が大変なことになっているということくらいしか知らないまま大人になってしまいましたが、今になってでもどういう研究が行われていたのか知ることができて良かったです。
放射線の実験をする研究室で、高い反応が出たから機械に異常がないか探したら外から放射線が持ち込まれていたという話、興味深かったです。
目に見えないので、あっても気づかないし、無くてもあるのではないかと不安になることがある。
そういう伝えづらいものに対して、しっかり検査してデータとして真実を伝えてくれた人がいたということの有り難さをとても感じました。
声を大きく上げる人は信用できないという話もたしかにと思いました。慌ててしまう時にこそ冷静に判断していきたい。

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2022年01月27日

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ネタバレ

事実の積み重ねと組み合わせによって、今なにをすべきかがわかるようになってくる。

あとがきから
事実はひとつしかありません。事実はひとつしかないけれど、その事実をどう見るのか、どう読むのかについては幾通りもの視点があります。
よくわからないけれど、大変なことが起こった。そんなときに、「野次馬」が暴れまくると「事実」がどこにあるのかわからなくなってしまうのです。大変なことが起こったら、それが、どういうことなのかという事実をたしかめて、それに対して時には慎重に時には大胆に対処せねばならないわけです。

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2020年03月29日

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この本の大事なところは、科学的にデータを追って正しいと言えることだけを正確に伝える大切さもそうだけれど、そうして出した結果にさえ検証を忘れないで居続けることを忘れないように、ってことだと個人的には思います。

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2019年03月29日

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知ろうとしないと、見えないし聞こえない。
流れるニュースで「なんとなく」うろ覚えて、更新されない「なんとなく」が汚泥のように積み重なると、事実をねじ曲げてどこかで誰かが傷つく。
きちんと、知る。
自分のことと、認識する。
そこからだ。

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2019年02月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

東日本大震災が起きた日、自分は愛犬の待つ家に早く帰りたくて
職場から歩いて帰りました。
携帯のバッテリー消耗が不安でセーブしつつ使って、帰宅してからはテレビをつけっぱなしでずっとTwitterを見ていました。
だから、糸井さんが「ぼくはテレビをつけっぱなしにして、ツイッターに一日中張り付いてました。」というのにはとても共感しました。
なにが本当なのか、自分には知識がなさすぎてわからない。
いろんな人がいろんな立場からいろんなことを言っている中で、
冷静に事実だけをツイートしているというのは心強く感じます。
「安心して」というのではなく事実をひたすらツイートするというところが信頼されたのでしょう。

震災後から、原発についての話も政治と近いタブーさや派閥の様相を呈してきました。
早野さんが勉強会で話すときにも、「原発に反対なのか、賛成なのか。まずそれを明らかにしてくれないと話は聞けない」という方がいるそうで
なんだか複雑な気持ちになります。

早野さんがご自身のご病気や実験の経験から被ばくのリスクについて真剣に考えたことがあったというエピソードに
説得力がありました。
核分裂で降ってくるフォールアウト(放射性降下物)は、広く薄く散らばるのではなくごろごろと地上に粒で残る、しかし洗い流せば落ちるというのは知りませんでした。
医療被ばくと事故による被ばくは同列には扱えないけれど、体にとってはどちらも同じ被ばく。
確かに全くそのとおりです。
だからこそ被ばくのリスクを個人の事情に合わせて考えることが重要、というバランス感覚が素晴らしいと思います。

当時、大学の物理学科の学科長をされていて、授業をどうするかというときに
校舎が壊れて授業ができないという東北大生を
東京近辺の人は4月は東大の授業を受けられるように手配するというのも先生の人柄や感覚を表わしているのだろうなと思いました。
東大の工学部が4月は授業をしない、理由ははっきり言わないけれど、原発でさらによくないことが起こった場合に、首都圏が混乱に陥る可能性がゼロではないという認識を持っていたから、というのはぞっとする話です。
当時東大の工学部がそういう認識を持つような状況だった。自分はただ不安に思いながらも日常を送っていたときでした。

ショッピングセンターで内部被曝を計測してその結果を記者会見しようとしていたとき、
その結果の数値がおかしいと気がついて止めたというのが本当にすごいです。
止められて待ってくれたというのもすごいです。
もし誤った数値のまま被爆してるとして発表されていたら、福島への風評被害ももっと恐ろしいものになっていたことでしょう。

早野さんが文科省に「給食まるごとセシウム検査」を提案したとき、文科省が「測ってみて、もしも給食からセシウムが出たらどうするんだ」と拒否したというのも
とても怖い話です。
それで諦めずインターネット上でアンケートをとって保護者の大多数が検査に賛成だということを証明して、
まずは自腹で始めたというのも早野さんのすごいところ。

5万円の財布のたとえは目からウロコでした。
6000円使って残り4万4千円。
使いたければ使ってもいい。
一年5万ベクレルは被爆しても良いという考え方。
確かにこれは全員に「5万ベクレルまでは食べて安全」と伝えるものではなくて
アルコールを控えろと医者に言われた患者が
「晩酌のビールをコップに1杯だけなら?」
と訊いてきて、医者が
「薦めないけどまぁそれくらいならしょうがないね」
というような、医者と個人の間の話というたとえに
とても納得しました。
その人が親しんできた食文化を否定するほどの量じゃない、という考え方が
本当にそこで生活している人のことを考えています。
山菜や野生の猪を食べるなというのではなく
「ここまでなら食べていい」というやり方。
とてもそこで暮らす人たちに寄り添っています。
いままままでの生活を続けたいという欲求と、今事故が起きてしまってそこに危険物があるということとの間でどうやって折り合いをつけるか。

「マーケットバスケット」というやり方で食料を検査していて数値がかなり低かった。
だから政府の委員会で、「別に500ベクレルのままでもいいんじゃないか。規制値を100ベクレルにしなくても、いま流通している食べ物は十分安全」と発言した方が叩かれた、というエピソードも、複雑な気持ちになるものです。
1キログラムあたり100ベクレルというのは、世界的に見てもとても低い規制値です。
でも、国が不正をしようとしているかのように叩かれていました。
実際規定が厳しくなったときに、日本人はそれを真面目に守るというのが、日本人らしく感じます。
基準が決まったなら厳密に守って、そのためにみんなが努力した。
これは本当に、確かにすごいことです。

ガラスバッジの話も詳しく知らなかったので興味深かった箇所でした。
実際にそこで生活している人に1時間ごとの線量がわかるD-シャトルをつけてもらうというのは
大変良い案だと思うのに、線量を空間や地面で測って国が管理するのではなく、個人で管理させるのは
国の手抜きだと当時は叩かれた。
でも、空間線量だけでは原因をつきとめることは難しいでしょう。
例えとして、自分の子どもにつけたガラスバッジの線量が高いと、両親は外が危険だと思い
通学路の線量が高いのではと車で送迎し、外出しないようにと子どもに言う。
しかしD-シャトルで測ってみると、実は家にいるときの方が線量が高いことがわかり
屋根の除染が不十分だったことがわかるという話がありました。
二週間の1時間ごとのデータを見て、数値が高いけれどこのときはどこで何をしていたか、
低いときはどこにいたかをチェックしていくことで
原因を見極めることができます。
このD-シャトルも、開発メーカーに掛け合い、開発されていなかったデータ読み出しソフトを作ってもらい
自腹で50個購入してスタートさせたというのですから
驚きです。

一年間記録できるガラスバッジの代用品として使っている人に、1時間ごとのデータを読み取れるソフトをメーカーの人が渡したけれど誰も使わなかったという話も
怖いなと感じます。結構人間はそんなところがあるものでしょう。
使う人の意識次第なのです。

それと近いもので、
きちんと測定してデータが十分にあるからこそ安全だと断言できる状態と早野さんたちが確信していても
データが嘘だと言う人もいます。
耳を塞いでいて聞こうとしない。そんな人たちにはいくら良かれと思って話しても伝わらないどころか
騙そうとしているとすら思われてしまいそうです。

ベビースキャン稼働時の記者会見で早野さんが「これは科学的には必要のない機械です」と言ったのが
糸井さんの印象に残っているそうですが、確かにそのとおりです。
科学的には子どもは安全なのですから。

ホールボディカウンターって4トンもある鉄の箱で、
その中に赤ちゃんを寝かせて測ると不吉な感じになる。
測るだけならイメージはどうでもいいし、
もっと言えばハリボテでも構わないくらいなのに
この機械が何のために必要なのかをきちんとわかっていた早野さんは
測って、お母さんたちの抱えた心配を取り除くのが理由だから
っていうことが重要。だからデザイナーが必須だと思い
優秀な工業デザイナーを口説いてくる。
行動力と判断力が素晴らしいです。

高校生をジュネーブへ連れて行ったという話も同様です。
外国の人にとっては、「生きている人間が福島から来た」というインパクトがあった点、
そう思われていたことの複雑さと、高校生たちが参加した意義を感じます。
このときの発表を広げていって、「高校生線量計プロジェクト」に発展させるというのも素晴らしいです。
「世界の他の地域と比べて、福島はこんなに放射線量が低いから安心」という結果を導くためのものではなく
同じ装置で同じ測り方で世界中の高校生を測ってみて、そのデータを高校生がどう分析してどう結論づけるか
という未来に向けてプラスになる研究としてのプロジェクトであるところが重要です。

歴史を振り返っても、なにか酷いことがある度に思うことは
人の愚かさと人の素晴らしさです。
とんでもないことをする人もいれば、酷い状況の中でも地に足をつけている人もいる。
早野さんのような人たちがいるからこそ、そこで立ち止まらず人の世界は続いていくのだと思います。
なにかあったとき、自分の専門分野を生かして冷静に動けるような人間で
自分もありたいと感じました。

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2018年05月13日

Posted by ブクログ

対談をまとめた感じの作品のためか、
最初は福島の原発の話をしているのですが、
後半は早野さんの研究の話や化学の話になっていました。

最初の方の話がシリアスなテーマなだけに
「何を知ろうとすること」がこの本の主題なのか
と思いましたが、結果的には、気になることは
「掘り下げて知ろう」という話だったのかなと思いました。

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2017年11月28日

Posted by ブクログ

来月福島に行くので、その準備の一環として読んだ。事実との向き合い方を教えてくれる。
新幹線の中かどこかで、もう一回読む。

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2017年11月13日

Posted by ブクログ

津波は人ごとではないと思った。海辺に住む人間だから。けれど放射能のことは、身近に感じていなかった。
3.11 あの津波を忘れてはいないけれども、原発のことは考えてもわからないから、考えるのをやめていた。
あれから6年。もう一度確認してみたいと思った。読んで良かった。

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2017年09月16日

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東日本大震災に起因する福島原発の事故の影響についてはこれまでセンセーショナルに扱われてきた側面も強い。しかし、事実はどうなのか、ということについてこの本を読むと、「そうだったのか」と目を開かされる部分が多くあった。文中でも述べられているが、当事者の知識は前に進んでいるものの、離れた地域にいるわれわれは事故が起きた当時とそれほど事実認識が進んでいないというのが本当のところなのだろう。

とりわけ早野先生は、この問題に専門ではないにもかかわらず、当初から基本的な知見やデータ分析のツイッターによる拡散や、その後も福島の人々に対する内部被ばくの調査など深くかかわってきた人だが、研究者として事実を誤りなく伝えるということに力を注いできたことがよくわかる内容だった。

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2017年05月07日

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ネタバレ

きちんと根拠を持って恐れなければならない。
知ろうとする努力を怠ってはいけない。

例えば、週刊誌を買う場合、一番上にあるものではなくて、ついその下の2冊目を手にしちゃうことがある。一番上の本が汚れていれば別だが、明らかにきれいな本があるときにも、2冊目をとってしまう。これは誰でも経験があることだと思う。また、絶対切れない振り子で、10m先までは届かないような振り子の先に包丁をつけて振り子を揺らし、その10m先にたつ。なんだか立ちたくないと感じる。地上に置いてある20cm幅の平均台はどうってことなく渡れるのに、地上100mのところに20cm幅の平均台をおかれると、やはり渡りたくない。
これら、非科学的なことは、我々の中に普通にあるし、それを否定できるものではない。
福島県産とそうではない野菜があったときに、科学的には福島産でも大丈夫なのに、まぁ違う方を買っておこう、と言う行動と良く似ている。だから、そういう風評被害とか、差別につながりそうなことを自分もやらかしそうだという自覚をしっかり持った上で、できれば大切な判断の時には、『汚れていないなら一番上の本を買う』と言う行動をとりたい。で、正しい方を選ぶっていうときに考え方の軸になるのは、やはり科学的な分析・知識だと思う。
科学的に大丈夫だからって安心できないっていう気持ちは必ずある。でも、そんな時でも科学的に正しいことを選びたい。

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2016年09月29日

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物理学者の早野龍五さん×糸井重里さんの福島第一原発をテーマにした対談集。
一度持った疑いを晴らすのは本当に難しい。でもその疑いの種はどこから来たものか。その種は自分の考えを動かすほど信頼に値するものか。根拠のない声に踊らされないようにしなければと思う。
「大丈夫です」「安心です」その言葉も、いつか科学的に覆るかもしれない。お二人の会話でもっても明確な結論は出ないけれど、情報に常に更新していくことが大切だという。情報が溢れすぎて何が正しいのか分からずつい蓋をしてしまっていただけに、少し踏み込んで自分のなかの原発関連の情報を更新してみよう。

巻末の糸井重里さんの「もうひとつのあらすじ」は近年の情報化社会すべてにあてはまるように思う。
「人というのは、おもしろい生きもので、野次馬というやつをこころのなかに飼っています。」
十人十色様々な視点や考えがあることは良いこと。但し事実が曲げられたり膨らまされていないか見極め、時に柔軟に、時に良い意味で疑り深く情報と付き合っていこうと思った。

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2017年05月02日

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この本を読んで、震災から3年半が経った今でも、自分は放射能の実態について理解していなかったんだなと思った。
もう、何が本当かわからないから、もしかして、ものすごい深刻なレベルで福島近辺の住人は内部被ばくを受けてしまっているんじゃないかという疑念があったのだけれど、この本は、事実とデータに基づいた観点から、内部被ばくは完全に安心をしていいレベル、と言い切っていて、そのことにとても安心した。
いまだに、放射能についてはいろいろな意見があるけれども、この本を読んで、早野さんの意見を信用しようという気になった。これを読んでから、「美味しんぼ」の鼻血の描写などを思い返すと、たしかにもう一度風評被害を蒸し返す、酷い話しだったんだというふうに思えてしまう。
自分も、スーパーで野菜を買うときにはどうしても福島産のものは敬遠をしてしまうけれども、そのことをさして、糸井重里が、「なんとなく本屋の雑誌で上から2冊めを取ってしまうようなもの」と言ったのは、とても的確なたとえだと思った。たしかに、自分は、特に深い意味はないけれども上から2冊目を取ってしまう人間だ。

いまの時点で明らかなのは、さまざまな調査や測定の結果、起きてしまった事故の規模にたいして、実際に人々がこうむった被ばく量はとても低かった、ということです。とくに、内部被ばく(おもに食べ物や水によって、体内に放射線源を取り込んでしまったことによって起こる被ばく)に関しては、実際に測ってみたら、当初想定したよりも、かなり軽いことがわかった。「もう、食べ物については心配しなくていいよ」と言えるレベルです。(p.20)

何か大きな問題が起こったときに、大きい声を出したり泣いたりして伝える、っていう手法は、歴史的にずっとあったわけです。戦争中もあったし、学園紛争の中でもあった。でも、本当に問題を解決したいと思ったときには、やっぱりヒステリックに騒いだらダメだとぼくは思うんです。「大変だぞ!」「死んじゃうぞ!」って、でかい声を出している人は、何か落ち着いて説明できない不利なことがあるのに、それはひとまず置いといて、とりあえず大声出せばみんなが来ると思ってやっているんじゃないかと思う。だから、どんなにいい人でも、叫びながら言ってることは注意深く聞かなくちゃいけない。(p.46)

福島原発の事故の規模に対して、福島の人々の内部被ばくや外部被ばくの量は、幸いなことにかなり低い。原爆、チェルノブイリの事故、それから1960年代の核実験による放射性降下物からの汚染、さらに自然被ばく量が多い地域の放射線量など、さまざまなデータと比較しても、これは明らかです。現在、福島の方々が住んでいるところの線量はきわめて低い。(p.101)

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2020年07月15日

Posted by ブクログ

どなたかのエッセイか何かに出てきてメモしていたもの。タイトルだけでは何かわからないけど、福島の原発事故にかかわる科学的視点からの事実認識の話。
糸井重里さんと物理学者の早野龍五さんによる対談形式で読みやすい。

一般人の感覚からすると、普通に生きていても自然から被曝していることは意識の外に行ってしまう。さらに、人体の中にもカリウム40という放射線を放出するものが存在していて、人間は必ず内部被曝しているということは知らなかった。
また、人間を構成する一番多い原子である水素は、138億年前に宇宙誕生と同時にできた水素原子がリサイクルされたものだということもとても驚いた。もう自分の思考の範疇を超えた話だけど、なんかすごくロマンがあるし、物理という学問も壮大で面白いと思った。

コロナ禍でも通用することだけど、データなど科学的根拠に基づき「正しく恐れる」ということに尽きるなー。

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2021年03月08日

Posted by ブクログ

表紙の写真から、高校生を交えての対話かと期待したが、著者二人だけの対話だった。風評被害は間違った事実認識から、避けられた被害を導く。福岡原発事故直後もしかり。特に災害時には事実を正しくつかむ冷静さをもとう、という趣旨。マスコミはニュース性のある事柄を取り上げる傾向にあるので踊らされることなく、冷静に事実認識に判断、告知できる機関が必要である。2920.11.5

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2020年11月05日

Posted by ブクログ

原発事故後の放射線の影響について、糸井重里さんと東京大学大学院理学系研究科教授の早野龍五さんの対談。
福島原発の事故について知りたいと思った素人に、取っ掛かり易く二人で説明してくれている。
三回読んだけど理解したかどうか怪しい。

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2019年08月04日

Posted by ブクログ

東日本大震災の直後の早野氏の冷静なツイッターを元にした内容。推測や感想ではなく、事実を淡々と伝えることの大切さと、多くの推測に惑わされないことが重要という話。

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2019年06月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

我々の体には、138億年前の水素が入っている。それから地球誕生前にできたか理由も40も入っている ウランは半減期が44億6,800万年。つまり長い時間をかけて最終的には鉛になる 遠くにいて、ニュースだけでしていることと、実際の現場は全くかけ離れていることもある 人というのは、面白いもので、野次馬と言うやつを心の中に飼っています

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2017年02月15日

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