あらすじ
片手のない、孤児の少年「そばかす」は、リンバロストの森で番人として働きはじめる。厳しくも美しい大自然の中で、人の愛情にはじめて触れ、少年は成長していく。少年小説の傑作。
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Posted by ブクログ
「リンバロストの乙女」を読み始めてから、こちらが先だった、と気づき、慌てて電子図書で購入して同時並行で読んだが、どちらも良かった!
主人公のそばかすはシカゴの孤児院で育ち、独り立ちするために材木屋に自分を売り込む。片手がないことから、支配人マックイーンは断るつもりだったが、そばかすの真っ直ぐな心意気に胸を打たれて森の木を盗賊から守るため見回りをする仕事を与える。誰もいないリンバロストの沼地をたった一人で守るのは大変だったが恐怖に打ち勝ち、次第に美しい自然に魅せられていく。また、素晴らしい自然の生き物の写真を撮る鳥のおばさんやその姪であるエンゼルと出会い、ますます仕事に精を出すようになる。リンバロストの森には高級家具に使うのにぴったりの木が何本もあり、盗賊に狙われていたので。
リンバロストの自然の素晴らしさが何度も描かれ、動物や鳥、昆虫などの様子が詳しく描写され、行ってみたいと思わされる。
一番大事に描かれているのは、そばかすの孤独とエンゼルへの思慕、愛する気持ち。当時としては絶望的なほどの身分違いの恋心が切ないほど描かれ、泣きそうになる。また、あまりにもそばかすが正直でいい人なので、マックイーンも彼を息子として愛おしむ。
読者は誰もが、そばかすには幸せになって欲しいと願うのではないか。こんなふうに生きたいと思わせる。ぜひ中学生前後の若い人に読んで欲しい。
Posted by ブクログ
アイルランド人の孤児である“そばかす”と呼ばれている少年は、アメリカのインディアナ州にある湿原にて雇ってもらう為、材木商の支配人マックリーンに願いでる。片手を失っている上やせっぽちで、とても自分の仕事には向かないと思ったマックリーンだったが、真っ直ぐ熱心に頼み込む青年に負け、誰も仕事が続かない、森の番人をやってみることを許す。(高価な材木を狙って泥棒がくるため)
それからそばかす君は信じられないほど真剣に働くのだが、彼の純粋さはいろんな人を感動させていく。
著者ポーター夫人はリンバロストの森を愛し、自身も研究者となったらしい。自然への描写が多く、愛を感じる。あとがきによると元々の題名は『舞い落ちた羽根』だったそうで、確かにそっちの方が印象的でありロマンティックだと思う。大人の事情でこの素敵な題名とラストを書き換えなければならなかったらしいけど、それでもとても素晴らしいストーリーだったことには変わりないと思う。
訳者村岡花子氏の繊細な訳もあいまって、キラキラした森の表現と、そばかす君の想い人“エンゼルさん”への一途な気持ちがこれでもかと表現されている。それはもうクドイほどにw
今現在のリンバロストの森はどうなのかと、グーグルマップで見てみたが、全く何もなかった。開けていて街になっていた。(リンバロストとという地名も無いのかな?)
この本を読んだ人間の心にだけ、リンバロストの森と沼地は存在するのだなーと思う。
Posted by ブクログ
子供向けの物語。といっても子供騙しというのではなく
子供に正直さや誠実さや善良であること、
自分が主人公でなくても、主人公の側の脇役としてでも
他者への愛情について感じてもらいたいから子供向け。
完全に勧善懲悪であるけど、意外にも悪の化身にも
愛嬌があり、と思ったら思いがけない報いが・・・
また主人公は純粋・高潔すぎるに加え、生い立ち、
肉体のハンディキャップが足かせとなり、面倒くさい
くらいにブレーキがかかり、ヒロインは自分の魅力を
上手く使える現代的な小悪魔な面を持ちながら、
現代の自由奔放とはいかない枠組みを持ち、
まどろっこしいったらありゃしない。
けど、読み終わったら幸せな気持ちになれると思う。
スタートの設定から結末の180度回転は読めていても
その間を宝石に詰めるなんて、素敵じゃない。
それを理解してくれる人がいるなんて、さらに。