【感想・ネタバレ】【電子特別版】東京侵域:クローズドエデン 03.人類の敵VS人類の敵のレビュー

あらすじ

決死の“東京”侵入で、“スポット”と“ハーメルン”への手がかりを失った蓮次たち。活路を求める叶方は最後の手段――人気アイドルKANATAとして救務庁に潜入する。しかし、“奪還派”の起こしたクーデターに巻き込まれ!? 一方、別行動を取る蓮次にも救務庁の刺客が迫り、決死の逃亡劇が始まる。全世界を敵に回しても走り続ける蓮次。命をかけて希望を繋ぐ叶方。送る者と征く者――二人の魂と絆をかけた戦いが始まる!!

【電子特別版】として、岩井恭平先生描き下ろしの特製ショートストーリーを収録!

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Posted by ブクログ

異界と化した東京へ進入する非合法のレイダーである少年少女の物語。超高難度ダンジョン探索型ボーイミーツガールの今作は敵である救務庁への潜入というケタ外れに難易度の高いミッションが主となっている。相変わらず危機的状況を描くのが非常に上手い。今作のピンチの骨子はひた隠しにしていた身元の発覚と、別行動による孤立無援で、文字通り絶望的である。また舞台がクリティカル・エリアではない現実世界だからこその行動制限や能力の限界などもあり、かろうじてしがみついていた日常が崩れる恐怖があった。非日常の恐怖を描いた前作とは対になっているのが良い。サブタイの人類の敵vs人類の敵というのもかなり示唆的で、さらわれた人を助けるはずの少年たちが、国家や一般市民からも犯罪者扱いされ、文字通りの人類の敵になるというのは皮肉である。全世界を敵に回すというのは決してレトリックではない。そんな混乱の中離れ離れになる少年少女。新たに救務庁へと就任した少女と、想い人の妹へ秘密を明かし、小屋へと隠遁した少年。そんな二人がまた相まみえるのはクリティカル・エリアという地獄なのだろう。パートナーが敵対的立場に回るというのは王道ではあるが、そこに行くまでの展開が非常に理にかなっているのが良かった。現実での立場を活かしてのプロパガンダというのは面白い。またささやかではあるが、少女の協力者という伏線を活かしたタイミングが非常に素晴らしかった。ここまで物語で読ませるラノベはなかなか無い。この展開で続刊が出ないかもしれないというのはもったいなさすぎる……。

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2019年05月28日

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