あらすじ
東京麹町の古い屋敷に暮らす女ばかりの五人。昭和初め生まれのお嬢さん気質の抜けない家付き娘・富子さんも、ロリータファッションの孫娘・真由に振り回される平成の現在。富子さんと長年ともに暮らしてきた大正生まれのおきくさんが高齢出産で得た娘の紀美ちゃんもいて――世代様々、微妙な関係。変わりゆくもの、変わらないもの、それぞれの人生を温かくみつめる長編。
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Posted by ブクログ
初めて読んだ作家さん。
表紙の装丁に魅かれて手に取った。
麹町のお屋敷に住む亥年生まれの5人の女たち。
猪が三代揃うと、その家は栄える、という言い伝えがあるようだが…5人集まると…⁉︎
母娘の関係と、そうでない関係、年代も中学生から最年長は昭和10年生まれ。それぞれの間柄を整理するのに、初め少し手こずったが、読み進めるとのめり込んだ。
ストーリーは静かに進行し、5人はそれぞれに抱えるものがあり、それぞれの人生を生きている。
ちょうど東日本大震災が起きる頃までが描かれていて。
麹町、普段自分が暮らしていて、通過するばかりで、立ち寄ることがほとんどない街。
一度、この街を自分の足で歩きたいと強く思った。
半蔵門や四ツ谷、外堀通りや内堀通り、お堀端などの風景描写を、自分の目で確かめてみたいと思い、読み終えた。
Posted by ブクログ
牛島富子 74歳、娘 美智子、孫 真由の三代の家に、きく 86歳と娘 紀美が何故か同居して、5人の女達が繰り広げる物語だが、場所は東京のど真ん中の麹町.ただ、田舎の風情が漂う古い家が舞台.男はところどころに出てくるが、あくまでも脇役だ.女だけだからこの様な物語が成立するのだろう.美智子の友人のアブの話しが面白かった.
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(波2014.11紹介)家族。日常。亥年。2010~2011年。寄る年波、1年の間に家族や友人にいろんな変化があって、そこには辛いことも不安なことも書かれているのに、優しい空気で包まれている。
Posted by ブクログ
亥年の女5人が集まって暮らすにぎやかなこの感じは谷崎潤一郎の『細雪』みたいな様相。特に何が起こるわけでもなく日常。日常が非日常へと瓦解していくのがラストだ。そこから新たな物語が始まりそうなまま終わる。