あらすじ
華やかな歌舞伎座の楽屋に、藤娘の衣裳を着て現れる女形の幽霊。唐子の着物をほめてくれた混血の美青年が戦時中にたどった運命。夫と息子に先立たれた老女が黙々と織る越後上布。男に翻弄されたホステスが遺した大島。老境を迎えた辰巳芸者の着物への執念。畳紙に包まれ密やかに時を刻んでいた着物が、繙かれ鮮やかに語り始める……。縦糸と横糸のあやなす、美しく残酷な11の物語。※新潮文庫版に掲載のイラストは、電子版には収録しておりません。
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Posted by ブクログ
着物にまつわる11編の短編集。
語り口調で書かれている文章がとってもきれい。
もともと着物には興味があったのだけれど、母の着物も、叔母の着物も全て譲ってもらえたらどんなにいいだろうな……とかいつの間にか考えてしまっている。
扉の着物の写真にうっとりしてしまったり、読んでいる間にだんだん自分も着物に執着を持ってしまう感じがしました。
ほとんどの話に死がからんでいたり、読後はすこし重苦しいです。それでも着物、着物と思うのは、着物には人を魅了する力があるんだなと思います。
1番頭に残った話は「その六 姉妹」
戦時中、着物道楽の姉と、姉とは正反対に真面目な妹。
着物に親のお金もつぎ込む姉の箪笥の中身が見てみたい、着てみたいと思います。(でもこの姉の身勝手さはいけすかなかったり)
いろいろ苦労した妹より自分勝手な姉の方がいい結婚をした時は悔しかったです。