あらすじ
―誰も、わしの過去を知らない。わしのたどってきた茨の道を知らない。あまりにも恥深き半生だったゆえに、わしも、おのれの過去をことさら口に出すことはしなかった。病床に臥した仙がいの眼裏に、七十年近い昔の乞食旅をつづける雲水姿が浮かぶ。「大悟透徹した禅師」「無欲恬淡の風雅人」「童心をもつ洒脱飄逸の大和尚」などと評される仙がいだが、若き日に投身自殺まで図った苦悩の修行と悟りを重ね、たどりついた境地―八十八歳にして、新しい発見をする。日々、新しい世界がひらけてくる。死にとうないのう・・・。
※本作品は、紙書籍から表紙画像の一部が異なっております。あらかじめご了承ください。
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Posted by ブクログ
小説読むのが久しぶりだったが面白かった
月船門下の仙崖の兄弟子がみな暖かく、仙崖の気性の激しさを理解しながら見守ってるのがとても印象に残る
史実についてはもう少し突っ込んで知りたいところがあるけれど
あの時代に横浜から九州まで行脚されていたかと思うと距離感にくらくらする
"死にとうない"から始まって、"死にとうないに"戻ってくる感。
辞世の句としていい言葉。
出家したくなるような本。
ちなみに、この作者は知らない人だったのだけれど、
この本は過去直木賞の候補であったらしい。
Posted by ブクログ
「□△○」の揮毫や、ヘタうま系?ゆるゆる系?な戯画で有名な江戸時代の禅僧、仙厓義梵和尚の伝記、てゆーか小説。
いまわのキワの言葉が、タイトルの「死にとうない」だが、高僧に似つかわしくない未練の言葉。その真意に至る過程が凄いんである。高僧である以前に人間だもの、それはそれは煩悩と迷いにまみれた半生だったのである。そうした煩悩と向きあってこそ、見えてくるものがある。
胸打たれる生涯であった。