【感想・ネタバレ】顧客の心をつかむ指名ナンバーワン企業のレビュー

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Posted by ブクログ 2010年09月01日

興味深い。常にお客様のほうを向いていて、何か光るものを磨いている会社が、支持され、存続しているということを改めて痛感。中小規模の会社の事例はやはり面白い。学ぶべきことが非常に多いオススメの一冊。

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【読書メモ】

●「指名ナンバーワ...続きを読むン」になる企業には、いくつもの共通点があります。

第1に、お客様を満足させる"得意ワザ"を磨き、自社のいいところを認めてくれるファンをつかんでいることです。「私は必ずあの店に行く」「あの製品を使い続けたい」と宣言してくれるリピーターを常に増やしています。

第2に、利益を確保する合理的な発想を持っています。だから、赤字覚悟の安売りで競争相手に対抗するような安易な商法に走りません。値引きよりも大事にすべきことがあると知っているのです。

第3に、仮説と検証によって事業を進化させ続けています。企業を取り巻く環境の変化を鋭敏に感じ取り、業界の常識や従来のやり方にとらわれずに、「今、取り組むべき新しい挑戦」を徹底的に考えています。


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(ヤマグチ/家電製品の小売店)

●朝昼晩、お客様の気持ちは絶えず変化する。そこを日々の営業活動からつかまえていくことが大事

●店舗の大型化と値引き競争が続く家電販売業界。ヤマグチは薄利多売ならぬ「厚利長売」という独自の方法で生き残りを図る。


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(アテーナホテルズ/ホテル)

●アテーナホテルズの"逆張り発想"
①×「客を絞りすぎて商売にならないはず」
 ○「むしろ逆。絞り込むほど利益が出る」

②×「スポーツ団体は一流ホテルか安宿しか使わない」
 ○「普通のホテルを利用したいスポーツ団体はある」

③×「初期投資が膨大になるに違いない」
 ○「むしろ建設費は安く抑えられる」

④×「スポーツ団体だけでは平日の稼働率が悪化する」
 ○「知名度が上がれば、ビジネス客も増える」


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(本多プラス/プラスチック容器の製造)

●「一寸法師の針」を磨く-小さくとも他社に負けない強みを磨く

●「タコノキ」とは、取引先の業種を広げ、需要を安定させること

●本多克弘社長7つの経営哲学
・他人のやらないことをやる
・「一寸法師の針」を磨く
・会社は放っておけばつぶれるようにできている
・台風でも倒れない「タコノキ」経営を実現する
・販売なくして事業なし
・自分で考え、自分で作り、自分で売る・
・給料は社長のものではなく、お客様からいただくもの


●本多孝充専務7つの実践
・提案の数と量、スピードを高める
・自分たちで作ったものを一番よい状態で見せる
・B to CのつもりでB to Bをやる
・企業の担当者にも「欲しい」と思わせる
・工場で働く現場社員も大切な営業スタッフ
・肝心なのは驚きを与える営業
・見せ方で顧客の反応は2~5倍変わる


●開発部門のブローラボに掲げられた標語
一、良いと思ったらすぐやるぞ!
一、悪いと思ったらすぐやめるぞ!
一、いつもと違うと思ったらすぐ報告するぞ!


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(武藤自動車/タクシー会社)

●乗務員の言い分をたっぷり聞く「クレーム討論会」-「自分や自分の家族が客でもそう思うか」を問いかけて、「じゃあ、どうすればいい?」と自分たちで「あるべき接客法」を考えるように促す。


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(メーカーズシャツ鎌倉/アパレル)

●「男性は女性に比べて目移りせず、いったん固定客になると、長くひいきにしてくれる」。「ファッションに無関心な男性」というライバルが見落としていたら顧客層は、実は、魅力的な未開拓市場だった。


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(マキオ/スーパーセンター)

●「先を見通すのは難しいが、日々の仕事の中で、お客様の動きをじっと見ていると時代の変化がよくわかる。そうして毎日気づいたことを少しずつ店の中に反映させていくことが、結果的に時代の波に乗るための早道ではないか」


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(あさひ/自転車店)

●経営者として最も重視する数字は、今も売上高や経常利益でなく、既存店来客数の対前年比の伸び率である

●たくさんのお客さんに来てもらえる店になるために下田社長が追及していることは、突き詰めれば3点に集約できる。
1.お客さんが入りたくなる店にすること
2.来てくれたお客さんに喜んでもらえる接客をすること
3.お客さんが納得してくれる安さを実現すること


●世の中から必要とされる会社になる3つの鉄則
1.整理整頓を徹底-商品の陳列や整理整頓が行き届いているかを絶えずチェック
2.社員を育てる-「心」と「技術」の両面から時間をかけてじっくり育成する
3.むだを取る-必要のないお金は1円も使わない


●下田社長が語る「日本一の秘密」
①整理整頓…陳列と掃除のプロになり「お客さんが入りたくなる店」にする
 ・ボリューム感のある陳列をする
 ・自分の姿が映るくらいピカピカに磨き上げる
 ・汚れやすい修羅場こそ整理整頓
 ・ハンドルの位置を揃え、試乗後はサドルの高さを戻す
 ・率先してあいさつ。プロ意識を植え付ける

②人材育成…「足らず」をなくしてお客さんを喜ばせる
 ・才能や資金はなかった。「考え方」だけあった
 ・人の成長があって店の成長がある
 ・合理的経営の基準はすべて「お客さんの満足」にある

③ムダ取り…パンク修理代を尺度にコスト意識を高める
 ・本部と店舗が強力してムダを取っていく
 ・出張も銀行への説明も自分1人で出かける


●売上の低迷などが原因で社員を起こることはありません。お客さんに対して、誠実にまじめに仕事をしているのか。お店で働く社員にとって一番大事なのはその点です。きちんとできていれば、お客さんの指示も間違いなく増えていきます。

●「Yes」という肯定的な考えをまず持つ。そこから今の我々にはまだできない課題を見つけいく。それを私は「できないことは、自分たちの『足らず』やと思ってほしい」という言葉で社員に伝えます。

●経営とは考え方を共有する社員をどう育てていくかだと思います。


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(カクヤス/酒類の小売り)

●成功パターンが一つできたことで「あとはこの積み重ねでいいんだ」と多くの社員が思うようになった。改革を進める時に社員の不安を解消する一番の特効薬は、叱咤激励ではなく、成功例をつくることなんだと感じた


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(鳥貴族/焼き鳥店チェーン)

●初めて居酒屋に行ったとき、お通しはタダでついてくると思いませんでしたか。しかし、お通しは有料なので、店の押し売りなんです。多くの店は、「お客様第一」と言いながら、お客様の期待を裏切っている


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(渡辺良機/東海バネ工業社長)

●東海バネ工業の「5ない主義」
1.価格競争をしない-値段でなく、品質で勝負する
2.値引き販売をしない-「高い」と言われたら仕事を断る勇気を持つ
3.大量生産しない-他者が嫌がる「微量」生産にこだわる
4.納期破りをしない-信用があるから適正価格を維持できる
5.機械に頼らない-社員1人ひとりのスキルを上げる


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(奥井俊史/ハーレーダビッドソン元代表取締役)

●経営者は通説をうのみにしてはいけません。ましてや、言い訳に使ってはいけないのです。

●私のように独裁的で、批判されることの少ない立場にある経営者は、絶対に忘れてはいけないことがあります。それは自戒と自己反省です。自分で自分を戒める。勝っても、負けても、必ず反省する。終わったらすぐ反省する。これを怠ってはいけない。悪いことは、誰かに言われなくても、悪いのです。反省材料には事欠かないはずです。


●社員の言い訳や思い込みを解消するための心得
・「常識を疑う」…社員の「できません」という説明をうのみにしてはいけない。特に「業界の常識」には、間違いや時代遅れなこともある。
・「事実をフェアに」…社会通念などに惑わされず、事実にフェアに判断する。事実とはとはエビデンス(証拠)により裏付けられる事柄。
・「三現主義」…事実を検証するために、現地・現物・現状を重視する。フレキシブルに実態に基づいて判断する。
・「反省」…勝っても反省。負けても反省。すぐに反省。反省は書き留め、次の機会にそれを生かすために見直す。
・「自戒」…凡事の非凡な徹底こそが経営革新の近道ということを忘れない。誰もがやれることを、他人にはできないレベルまで高めていく。
・「学ぶ」…競争相手からも学ぶ。違う業種からも学ぶ。異分野からも学ぶ。学ぶべき教材や人々はどこにでもいる。
・「信頼」…有言実行を徹底し、信頼関係を築く。大きな約束はもちろん大事だが、小さな約束こそ大切に守る。


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(宮武和広/心斎橋みや竹 店主・ウェブマスター)

●数あるネットショップの中で特色を出していく方法は、自分の専門性をいかにネット上に分かりやすく反映させるかという点に尽きると思います。

●「心斎橋みや竹」が専門性の高さをアピールしている方法
・商品説明に「生地の緑の仕立てがきめ細かい」など自分しか知らない知識を必ず盛り込む。
・自社サイトを素通りされてもいいので、傘職人のサイトへのリンクを目立つところに並べて「幅広い知識をもあった店」の証拠にする。
・カスタマーサポートのメール窓口を内容別に分け、「クレーム」「修理依頼」など対応内容がすぐにわかるようにする。特にクレームには迅速に対応する。


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(敦賀伸吾/ツルガ社長)

●特殊ネジの受注は、お客様ごとに細かい要望を伺う必要ある。人手を増やさずに業績を伸ばすために、インターネットで注文を受けてしまうねじの小口販売を考えた。電話での対応が必要ないように、一般的なネジ中心の品揃えを想定しました。

●ネット販売への進出で大事なことは、どんなお客様を狙い、どうすれば自社の強みを発揮できるかよく考えることです。ここさえ固まっていれば、物流や代金回収の部分は各種サービスが充実していますので、あまり心配する必要はないでしょう。


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(齋藤重正/アキュフェーズ社長)

●アキュフェーズのビジネスモデルを維持するうえで重要なのは値崩れを防ぐことだ。値崩れが起きて粗利が維持できなければ、次期モデルの開発費が生み出せず、立ちいかなくなる。このために齋藤が取り組んでのは、販売ルートをギリギリまで絞り込むことだった。「多くの店舗に置けば、いくらメーカーが気を配っていても、店舗間の競争で必ず値崩れが起きていく」という考えがあるからだ。(売りすぎない、作りすぎない戦略)


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(西山 敷/ダイシン百貨店社長)

●西山がこの老舗百貨店の経営を引き継いだのには「見るに見かねたこと」以外にもう一つ、理由がある。「ダイシン百貨店に通うお年寄りたちが、自分の母親と重なって見えた」というのがそれだ。


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(橘高勝人/キツタカ社長)

●ゼネコンの仕事は規模が大きい分、職人への手間賃や材料費など多額の前払い金が発生する。一方、ゼネコンの支払いサイトは長く、納品から入金まで半年から1年待つため、中小畳店がうかつに受注を続けると資金ショートしやすい。

●畳の仕事は今だって好きじゃない。じゃあ、何でやるのかって?この仕事をしていると、辞めそうだった社員が会社に戻ってきてくれたり、とんでもない悪ガキが立派な職人になって所帯を持ったり、うれしいことがたくさんあるじゃないですか。そのためにやってるんです。


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(アースダンボール/段ボール箱の製造)

●"元・ドンブリ勘定会社"に何が起こったのか?奥田社長が取り組んだのは、極論すればただ1つ。原価を正確に計算した-それだけである。…ずさんな収支管理であってもバブル期までは商売が十分に成立したことも、改革が遅れる背景となっていた。

●「原価オンチ」脱出3つのSTEP
1.一つ一つの注文の原価を正確に把握する
2.難しい計算は不要の仕組みを作る
3.「赤字の仕事は取らない」を徹底(黒字の仕事は前例がなくても積極的に取る)


改革後の姿
・赤字受注の撲滅、不良顧客の整理
・顧客満足度の向上
・新市場の開拓

●ある1つの数字を把握すれば、労務費や経費が簡単に導き出せる仕組みを考えた。その数字とは「機械の占有時間」だ。


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(シベール/洋菓子の製造)

●どんなにおいしい菓子を作っていても利益が確保できず、いつまでも小さいままの店の共通点は、払う必要のないカネを支払っていること。創業当初から、味の追求とともに、「ムダと思う費用」を見つけてはノートに書き、節約方法を考えることを習慣にしていた。

●「もっと廃棄率を下げる方法はないか?」
ケーキ中心の商品構成だと努力しても平均10%の廃棄率をどこまで下げられるかは未知数。フランスパンは売れ残ってもラスクに再利用できるので、廃棄率は極めて低い。逆転の発想でラスクを作るためにフランスパンを焼き、主力商品にしようと考えた。

●「もっと効率よく販促する方法はないか?」
「贈答品は高い商品力があれば、広告を出さなくても、口コミで自然と顧客は増えていく」と考え、異業種交流会などで交換した約300枚の名刺の中から、顔が思い浮かぶ100人に、ラスクのサンプルを送った。約3割が反応し、300個のお中元としての注文が届いた。さらに暮れには、最初の30人からお中元を貰った300人のうち、やはり3割が「今度はお歳暮にしたい」と新たな顧客として加わった。


●「代金回収の方法は何がいいか」
贈答品は需要では代金を"踏み倒す"客はまずいない。ならば、郵便振り込みより手数料が高いクレジットカードで代金回収する必要はない。


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(日本高純度科学/メッキ液の製造)

●渡辺流の管理では、確認すべき経営指標のチェック方法を簡略化するだけでなく、その数も可能な限り絞り込む。例えば、他の企業では必須になっている「売上高や利益率のチェック」も大幅に省略される。理由は単純で、「当社のビジネスモデル上、いずれもほとんど意味のない指標だから」だ。…メッキ液の原料は相場変動が激しく、こんな状況で売上高や利益率を分析しても、かえって経営判断を見誤ることになりかねない。

●原材料価格の把握から安全管理まで、徹底的な"簡単化"をすることで、会社の中の余計な仕事を減らし、経営陣も従業員も、生命線である開発力向上に集中する。日本高純度化学の収益力の源は、ここにある。

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Posted by ブクログ 2010年05月10日

デフレによる低価格競争で多くの企業が業績を大幅に落とす中、独自の手法で生き残りを果たした日本各地の「指名ナンバーワン企業」を紹介。共通する特徴として1.自社の長所の強化、2.値引き以外での差別化、3.仮説と検証による新しい挑戦が挙げられる。また、どの会社も消費者および顧客の目線に立った”おもてなしの...続きを読む精神”が徹底されており、差別化の原動力となっている。既成概念にとらわれない経営と新しい変化への対応も重要なポイント。

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