あらすじ
砂漠で生き砂漠で死ぬのも悪くない、そう思い始めた蔵人の前に勇者たちを乗せた船が現れる。謝罪や敵意が混濁する交流と衝突を経て、勇者たちと別れた蔵人はオアシスの街に居を移すがやはり平穏無事とはいかず……。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
表紙を見て蔵人さんが久々に黒髪に戻っているのを見て、やっぱりこっちの方が「用務員」って感じがでるからいいなぁと再確認しました。作業服の色合いもいつの間にか戻っていましたね。なんだか若返ったような気がしなくもないですが、内面は相変わらずのようで安心しました。
これまでの逃亡生活めいた放浪生活が、砂漠にたどり着いたことで定住に切り替わったようで。ちっとも安息できない灼熱の砂漠を定住の地に選ぶとは、蔵人さんのひねくれた反骨精神には毎度驚かされます。
日本人と異世界人、という異文化コミュニケーションを楽しませてくれる本作シリーズですが、この巻でも砂漠という環境特有の文化や因習、部族間抗争について深く考えさせられました。
「日本から異世界へ来た主人公が、日本の価値観でもってその異世界の文化や風習を破壊し作り変える」という強引かつ安直な展開にはならずに、ある程度は反発しつつ折り合いをつけて生きようとする主人公の存在が本作の魅力だと思います。
いい意味で、後を引く終わり方
一気に7巻まで読みました。
少しダークなファンタジー。
チートではない用務員さんが、もがきながらも自分なりの妥協点を探していく生き方が、とても現実的で共感できました。
最終巻となるこの巻も、終わり方が現実的で納得のいくものでした。
続きを見たいけどここで終わった方がスッキリするのではという、読者の想像を掻き立てる書き方で、私は好きです。
次回作を期待しています。