あらすじ
名探偵エルキュール・ポアロは友人であるミステリ作家のオリヴァ夫人から、田舎の屋敷グリーンショアに呼び出された。祭りの余興である犯人探しゲームで、何か不穏な事態が起こりつつあるようだ。なんとか事件が起きるのを防いでほしい――原稿が完成しながらもある事情から発表されず、近年になって発見された幻の中篇がついに登場!
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Posted by ブクログ
短くても面白いなあ。
やはり、ポアロはいいなあ。
おまけにオリヴァ夫人までいるし。
母親として、子供に対しどのように行動するかを考えさせられる。どうしたら良かったのか、母親からの問いかけに、ポワロの「殺人者にとって終わりはないのです」
子供にとり、終わりのこない課題を親が肩代わりし続けることはよろしくない。
「春にして君を離れ」でも母親がテーマになっていたように思うが、通じるものあった。
お母さんとしてのクリスティの葛藤を勝手に感じられて嬉しい。
Posted by ブクログ
オリヴィア夫人に呼び出されたポアロ。ジョージ卿の屋敷で行われる推理ゲームで実際に殺人が起きる予感がするオリヴィア夫人。元の屋敷の持ち主で現在は番人小屋に住むフォリアット夫人。フォリアット夫人が教育したジョージ卿の妻パティ。ジョージ卿の財力で生活する少し知恵の遅れたパティ。ポアロに屋敷には今でもフォリアット一族が住んでいると話すマードル老人。推理ゲームで殺害された少女マーリーン。事件後殺害されたマードル。消えたパティ。パティの元を訪れた従兄。
Posted by ブクログ
旧知のミステリ作家アリアドニ・オリヴァ夫人から、相変らず一方的に呼び出されたポアロ。
聞けば田舎屋敷グリーンショアのお祭りの催し「殺人ミステリ推理大会」の優秀者の表彰をして欲しいとのこと。
オリヴァ夫人はこの催しのプロデュースを任されていたのです。
満更でもない気持ちで引き受けたポアロだが、読者の予想どおり“本当の殺人事件”が起きてしまう。
中編作品のため、一冊分の枚数を稼ぐためか、関係者による序文が2つ、解説が2つあった。
本文124頁に対し、これらが37頁。
多少うんざりしたものの、解説にあった、クリスティ本人のプロットメモには興味をそそられた。
クリスティがどういうポイントでミステリを組み立てていたのか、に多少触れることができ、大変興味深かった。
誰が何をする、どこに行った、誰と会う、使用人達は誰もみていない、誰が姿を消す・・・。
という具合に、ミステリなのに心理描写やトリックより先に、
人物の行動でストーリーを紡いでいる点が特徴かなと思う。
確かに クリスティ作品は、発想の秀逸さもさることながら、人間ドラマで魅せることが多い。
クリスティ作品の特徴だろう。
この物語は、知恵遅れでおとなしく、愛情深く、人の言うままになる
魅力的な女性ハティ・スタッブスを中心に回ります。
屋敷の主人であるハティの夫、若くハンサムな建築士、屋敷の秘書などの思惑が渦巻きながら祭りを迎えます。
そして起きた殺人事件。気付けばハティが失踪していました。
そのまま迷宮入りしたかに見えた事件は、2か月後、意外な事実を知ったポアロによって解決されます。
「実に素晴らしいお屋敷ですな。 ただひとつ邪悪なのが・・・お屋敷のご主人です・・・。」
「でも、実の息子なのです・・・。悲劇は どこで終わるのでしょうか。」
「殺人者にとって 終わりはないのです。」
由緒ある勇敢な家系の老婦人はまっすぐ顔を上げた。
「ありがとうございます、ムッシュ・ポアロ。
そろそろ一人にしていただけますか?一人きりで立ち向かわなくてはならないことがありますので・・・」
クリスティ中編作品の佳作。