あらすじ
幼い頃、吉原の男の廓「花降楼」に売られた椛は、まだ禿であるにもかかわらず大貿易相の御曹司・岩崎に見初められ、高価な贈り物や新造出しの世話まで約束されていた。両親を亡くして以来、誰も愛してくれる人などいないと思っていた椛は、可愛がってくれる岩崎に対し淡い思いを抱きはじめる。だが岩崎は、以前この見世の傾城だった蜻蛉を身請けしようとし、直前に奪われるという過去を持っていた。椛はそのよく似た面立ちから、岩崎が自分を蜻蛉の身代わりとして扱っているのを知り……。大人気・花降楼シリーズ第9弾!!
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Posted by ブクログ
読んだらなくなっちゃうから、かたくなに読むのを拒んでいたのですが、ついに読んでしまいました。
最初、一回目の心の動きって、一回目にしか味わえないので、それくらい大好きなシリーズです。
さて今回の主人公は、その昔、蜻蛉にいたく振られた岩崎さん。
かなりの時を越えてからの再登場です。
実は彼のことはかなり気になっていたので、もう一回出てきてくれて嬉しい。
けど、ツンツンしてる蜻蛉を引き取ろうというんだから、もう少しできた大人の人なのかと思ったら実は中身はあまり成長がなく……(失礼)
蜻蛉に似ている椛を見つけて、若紫計画をぶち上げてしまうような残念な人……。
まあ、それだけ蜻蛉の残してきた傷は深い……ということだとも言えると思うので、相変わらず、蜻蛉は罪だねえ……と。
まあ、そんな大人の思惑なんて知らない椛は、久々に優しくしてくれる大人が現れたことに大喜びで、あっという間に心の中が岩崎でいっぱいになってしまう。
けれど自分は、蜻蛉の身代わりにされているに違いない……ということに気がついて……
という椛側からしたら相当に切ない話。
でも、もちろん最後はハッピーエンドなので問題はありませんでした。
ただ、水揚げされてしまう前に、岩崎においしく持って行かれてしまったので、残念なことにあんまり廓っぽさはなかったかなあ……。
想い人はただ一人なのに、他の人にも抱かれないといけない悲哀……っていうのが廓ものの醍醐味だと思うので、ちょっと残念。
けど、こういう話もあっていいかなあ……とは思います。
Posted by ブクログ
2作目で、蜻蛉を身請け直前でかっ攫われた坊っちゃんが今回の攻。
蜻蛉のトラウマを抱えてるせいか、若干ヤンデレ化。
受は、前作の綺蝶と蜻蛉の宴の席に、禿として綺蝶に構われて
いた子、椛です。健気属性がまた来ましたが、魔性受も含んでます。
今回は結構せつなくて、きゅんきゅんしました。
というのも、私の好きな身代わりものです。
蜻蛉の面影を持つ椛を、幼い禿の時に見初めた岩崎が、今度こそ
自分が手塩にかけて育て、本物の蜻蛉のようにして手に入れる、
というとんでもない計画の犠牲者…。
まさに若紫を育てる光源氏のようです。
ハッピーエンドになってホント良かった。