あらすじ
大手広告代理店を辞め、「珠川(たまがわ)食品」に再就職した佐倉凉平(さくらりょうへい)。入社早々、販売会議でトラブルを起こし、リストラ要員収容所と恐れられる「お客様相談室」へ異動となった。クレーム処理に奔走する凉平。実は、プライベートでも半年前に女に逃げられていた。ハードな日々を生きる彼の奮闘を、神様は見てくれているやいなや……。サラリーマンに元気をくれる傑作長編小説。
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Posted by ブクログ
理不尽な人事異動、自社の美味しくない商品、ちっとも役立てることのできない"お客様の声"。涼平を取り巻く環境はもう最悪で、よく直ぐに辞めずに働いたなと思う。
クソみたいな上司に、そもそも会社のトップ経営陣が腐っている状況が自分の状況と重なっていて笑える。私は涼平のような反骨精神も努力もないので諦めながら働いているが、涼平は違う。
失うものはない(実際は2ヶ月分の家賃が払えないから最初は会社に居続けるしかなかった)涼平は、最後見事に逆転劇を遂げる。ああ、スッキリした。
自分が美味しいと思えない商品を擁護しなければいけない立場、心苦しいどころではないだろう。
食品会社のようなところでは、悪質クレーマーと本当の相談者との見極めが難しそうだ。
毎回、涼平と組んでクレーム処理をする篠崎の手腕に唸らされた。参考にしたいが、これは彼にしかできないだろうな...。
ラストはスッキリするのだけど、見方によっては、やはり肩書きが上の者には逆らえないという事実があって勤め人としては少し気分が沈む。トップがまともな人であれば、救われるのだが。トップがまともでない会社は淘汰されていくのだろうが、私の勤め先はこのままだと大丈夫か怪しいものだ。
Posted by ブクログ
女性に対する視点や世間話の延長線に出てくるジョークがかなり昭和のエロオヤジ臭のする小説。笑
言葉に品が無くて苦笑いした部分もあったけど、20年前の本だからあらゆるハラスメント全部乗せってかんじで、そりゃ今の感覚とは違ってあたりまえか。笑
とはいえ、いち社会人として普段関わらない業界・部署が舞台になっていたこともあり、勉強になった部分も多くある。
「お客様相談室」に左遷された主人公が、謝罪のプロ 兼 離婚危機を抱える賭博大好き中年上司から相手の怒りに応じた謝罪の作法を学ぶ、というストーリー。
さすがにここまで苦情くる食品会社ってやばくないか…と思いつつ、ありえん話ではないかもしれない。
自分が言いたいことをそのまま主張するようなタイプだった主人公が、毎日反省文を書かせるもロクに見ずに捨てる組織のクソ上司や、ロリコンオタクや人を品定めする愛人などひねくれ曲がった人間たちと人間関係の渦に巻き込まれながら、人生終わったと思いながらも、形式的に日々「仕事」をきちんとこなし、低姿勢に叱りや文句を受け止めて何か自分にとってのミッション的なものに気づき走り出す姿はドラマを見ているようだった。
最後はチームプレーによる逆襲をみているかのようで面白かったな!