あらすじ
『自分は母親に好かれていないのかもしれない……』 中学二年の木嶋夕子は悩んでいた。常に優先される姉と、我慢をする自分。それは進路問題にまで発展していく──。 そしてある所では、母親の顔色を窺いつつ、二人で助け合っている兄と妹がいた。だが二人の絆の中で広がっていくすれ違い。やがて負の想いが膨らんでいった時──。 彼女達が悩みの末に出会うのは、時槻風乃という少女。風乃は闇に溶け込むかのように、夜の中を歩いていた──。 「シンデレラ」「ヘンゼルとグレーテル」など、現代社会を舞台に童話をなぞらえた恐怖のファンタジーの幕が上がる。
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Posted by ブクログ
断章のグリムの番外編…のようなものデスね。
断章のグリムに登場していた時槻雪乃の姉の風乃が主人公の短編集です。
最後の話だけ、断章のグリムの金の卵を産むめんどりに掲載されていた話ですが、それ以外の2篇は描き下ろしとなっていました。
断章のグリムを知らなくても、楽しく読むことの出来る作りになっております。知っていればなお面白いのですが。
ジャンルとしてはホラー…なのかな?
童話をモチーフにした、というのは断章のグリムと同じですが、あちらとは違いバトル要素はなく、物語自体も救いのない話です。
後味は…まぁ良くはないかな?
シンデレラの話は、あぁ、こんなこと言う親はいるだろうなぁ、と思わされます。まぁ、私個人としては父親というのがどんなものか分からないんですけどねw
ヘンゼルとグレーテルの方は若干のグロ要素があります。
まぁ、甲田学人氏の作品に慣れてる方なら、全く気にはならない程度デスけどね。
どちらも話も、断章のグリムでもモチーフとして使われていた題材ではありますが、こうも違うものになるのかー、と感心。さすがだなぁ。
短編集として、この1冊で終わってしまうのが勿体無いと感じられる1冊でした。
断章のグリムを知っているので、コレも規模は小さいながらも泡禍なんだな、というのは分かるのですが、コレはコレで面白い。
結末的にはあちらに繋がる以上救いはないのですが、できればもっと読みたいなぁ、と思いました。
初めて甲田学人の作品に触れるのにもよい1冊だと思います。