【感想・ネタバレ】マクドナルド 失敗の本質―賞味期限切れのビジネスモデルのレビュー

あらすじ

外食産業の雄・マクドナルドは永遠か? それとも賞味期限切れ寸前か? 十年追いかけてきたマーケティング業界の第一人者が徹底分析する。

【主な内容】
第1章 迷走するマクドナルド
第2章 マクドナルドはどう誕生し、世界最大の外食チェーンに成長したのか
第3章 マクドナルドのビジネスモデル
第4章 原田マクドナルドの経営改革
第5章 原田マクドナルドの戦略転換
第6章 悪夢の3年:客はどこへ消えたのか?
第7章 マクドナルドに未来はあるのか?

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Posted by ブクログ

ネタバレ

著者は法政大学経営大学院の小川教授。

感想。よくわかる。マクドナルドのことがよくわかる。
ただ、「賞味期限切れのビジネスモデル」という副題に代表されるような、「失敗した」というスタンスを貫かれている感じは棘がありすぎる。そんなに嫌いか?

備忘録。
・マクドナルドの中長期的課題、①為替、②高齢化、③食文化の和風回帰、④後継者不在の経営、⑤安価で良質な労働力の確保。
・歴史
1971年:米国本社と藤田商店の50%ずつ出資で設立
1972年:競合のロッテリアとモスが誕生
1977年:競合のファーストキッチン誕生
1978年:クォーターパウンダー販売(原田時代に再登場)
1980年:競合のウェンディーズが上陸
1993年:競合のバーガーキングが上陸
1994年:バリューセット販売
1995年~円高を利用したディスカウント路線
2001年:BSE問題
2008年~直営⇒FC店経営へ
2011年:米国本社へのロイヤルティ料率が2.5%⇒3.0%へ

・JCSIという日本版顧客満足度指数あり。マクドナルドは2013年度には調査対象24社中最下位。
・直営店の高収益の理由①QSC+Vの徹底、②食材の大量調達、③セット販売
・日本は家賃が高く、賃貸契約期間が短いことから、米国とかよりもFC店の収益率が低い。
・戦略シーケンス(順序)。ブランドを立て直すにはある程度の時間が必要で、打ち手も同時に行うのではなく優先順位をつける。
・米国本社へのロイヤルティ料率は、藤田田退陣後3徐々に3倍へ
・マクドナルドの競合は、他のファストフード店や牛丼、ファミレスよりも、コンビニ

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2016年03月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

マクドナルド 失敗の本質
賞味期限切れのビジネスモデル

著者 小川孔輔
束洋経済新報社
2015年2月12日発行

ビジネス書の類はつまらないものが多く、読んでいる時は興味をそそられても、読み終わると何も残らないものがほとんど。あることで成功した経営者が他の企業の成功や失敗を自分なりに分析したり、ユダヤ人はだからえらいんだみたいな話をしたり。

この本もタイトルだけ見るとそんな本に見えるが、法政大学経営大学院教授でマーケティングの専門家である著者が、マクドナルドがなぜいまピンチなのか、そして未来はあるかについて分析している。
ご存じのように、日本マクドナルドは2014年12月期、上場以来初の赤字で最終損益は218億円、今年は380億円の赤字が見込まれている。そして、米国マクドナルドもまたピンチで、著者の予想では2015年暮れにも深刻な経営危機を迎えそうだとのことである。

さて、この本の前提は下記の通り。
・マクドナルドの現役関係者へのインタビューを意識的に行わなかった。
・執筆のための情報は、一般に公開されている資料とデータに限定。
・マクドナルドに関して議論するときに取り上げられる「倫理的な問題」については、主要な論点としては、原則取り上げないことにした。

著者の視点の秀逸さは、日本マクドナルドを創業した藤田田氏が社長だった最後の10年間、1993年~2002年と、その後、V字回復させてまたダメにした原田泳幸CEOの10年間、2004年~2013年を比較している点。売上グラフを見ると、見事に一致、同じ曲線を描いているのである。どんどんと売上が伸び、8年目にピークを迎え、9年目10年目ですとんと落ちてダメになっている。

では、二人は同じ轍を踏んだかというとそうではない。むしろ対照的だったと分析している。マクドナルドは米国流のマニュアルがびしっと整い、それに厳格に従いながら経営しているように思うが、藤田氏は日本流を取り入れてきた。雇用にしても、フランチャイジー(FC)にしても。FCオーナーと契約を交わす際に、相手によって契約内容を変えていたことが知られているそうだ。一説によると、少なくとも67種類のパターンがあったとのこと。

藤田氏は最後の10年、平日ハンバーガー65円などディスカウント路線と拡大路線で成功し、デフレの勝ち組と言われた。しかし、ディスカウントによるブランド力低下と2001年のBSEさわぎで息の根が止まってしまった。

アップル出身の原田氏は対照的に米国流を推し進め、QSC(品質、サービス、清潔度)の回復を図ることからスタート。店舗改装してMFUという設備で作り置きせずに手早くハンバーガーが作れるようにし、品質の向上とともに作り置きによるロスを減らした。そして、直営をFCへと変えていった。マクドナルドのFCは、土地や店舗をマクドナルドが買ったり借りたりし、それをFCへ再リースする方式。賃料は歩合制でFC売上高の8.5%。これに、3%のロイヤルテイが上乗せされる。ハンバーガー事業と並び、このファイナンス事業が大きな柱で一番多い時には全体の80%だった直営店を次々にFC化していけば、その分、ぐっとファイナンス事業で収益を上げることができる。

また、プロモーションと新製品投入で売上は伸びていった。
しかし、緩やかな値上げでお値打ち感がなくなり、コンビニなど新たな敵の出現もあって急速に勢いをなくし、レジ前メニュー表の撤去や砂時計を使いビッグマックを出すのに1分以上かかったら無料券を配るという悪あがきも実らず、原田辞任。次のカサノバ氏が就任すると鶏肉期限切れ問題が起きて大きな赤字に。

著者は藤田、原田両氏の失敗の原因を共通のものと分析する。
①マーケティングの失敗
②サービスのトライアングルの崩壊
③画期的なイノベーションの不足
①は値下げや新商品投入など小手先のマーケティングに注力しすぎた。②は企業、従業員、顧客の三者がつくるトライアングルが崩れてしまったということ。そして最も深刻な③は米国で創業してから約60年間、抜本的なイノベーションは起こらず、いまやマクドナルドのFCシステムは、古びたモデルになっている。それを目先の価格やプロモーション戦略で切り抜けようとした点。

つまり、マクドナルドの商売は日本もアメリカも賞味期限切れだということだろう。
マクドナルド、もしかしてビジネスとしてもう終わっているのかもしれない。マクドナルドに興味のない私などは、そういう分析を読んでも興味がわかない。もちろん、若い頃は行ったことがある。しかし、私にとって、マクドナルドそのものが何年も前に既に終わっている。


ちょっと興味深い話。
藤田田氏は銀座に1号店を出し、翌年には日商222万円を記録して売上高で世界新記録を達成。その後、順調にビジネスをのばして成功し、自らを「銀座のユダヤ商人」と豪語して「拝金主義者」と思われていた。
ところが、成功して50才も過ぎているのに、新聞配達をしていた。「銀座界隈の100軒ほどに新聞配達をしているよ」とある人に打ち明けたという。実は、新聞配達で得た現金は、そのまま封を切らずに、知り合いの交通遺児に渡していたという。
藤田氏は実は善人だったのではないか、とも言われている。

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2021年03月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

日本マックの生み&育ての親である藤田氏と、低迷していたマックを再度浮上させた原田氏。それぞれの時代の背景とおその時々に取った戦術を重ね合わせながら、マックの栄枯盛衰についてまとめられた一冊。

両者ともに時代の流れに沿った施策を打ち、一時的に売上を大きく拡大させるも、無理な拡大に足元固めがついて行かず、結果時代の変化に振り落とされ、失墜する。

藤田氏は価格訴求&急激な店舗拡大で売上倍増も、消費が頭打ちになると逆回転が始まり、ブランド価値を下げ、不採算店舗を増やしてしまった。

原田氏は、直営からFCへの急激な転換によるESの急激なダウン、競争力の源泉であるQSCが崩れる。更に、24時間営業、マックカフェにより、低単価・低回転の招かざる客が大幅増、コアターゲットであるファミリー層の離反を招いてしまう。

確かに「マックがなぜ凋落したか」は分かり易くかかれているが、後知恵で批評するだけでなく、どうすれば良かったのかを抽象的なコメントだけでなく、具体的に提言があると良かったな。

いずれにせよ、我が家はマックのヘビーユーザーなので、更に良い企業になるよう応援してきたいと思います!

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2016年05月30日

Posted by ブクログ

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日本マクドナルドのこれまでの財務状況や藤田・原田の戦略比較等の概略をわかりやすく解説している。
身近な商品だけに興味深い。

一部日本語が分かりにくい表現があるのと,今後の展望に触れられていないのが,残念。

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2015年06月10日

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