あらすじ
映画がまだ輝いていた頃。雄さんは故郷を捨て東京へ飛び出した。しかし――歳月は流れる。銀幕への夢に破れ、病んだ彼は、生地に戻り死を待つのみだった。一言だけセリフを貰った一本の映画。人生の最後に、もう一度、雄さんに夢(シネマ)を見せようと、小学校三年の私は幻の映画を探しはじめる(「ラストシネマ」)。傑作と名高い掌編「中村正太郎さんのこと」を併録。
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Posted by ブクログ
主人公が小学生の頃、癌に侵されて東京から帰ってきた雄さん。その雄さんが一度だけ端役で出た映画を最期にもう一度見せてあげたい。
淡々したペースで進んでいくものの、ストーリーの空気感が独特で一気に読んでしまった。
最後に主人公が語る、悪人を書けない理由、自分の書きたい物語のくだりがとても、とても良かった。
このラストシネマは正にその通りの物語になっているし、私はそういう話を探しているんだなと思った。
語り手の主人公含めた登場人物すべてが、読んでる人の気持ちを暖かくしてくれる名作。