あらすじ
灘、開成、筑駒……東京大学合格者数ランキングの「常連校」は数多く存在する。しかし、50年以上トップ10に名を連ねる麻布の校長は「東大入試のために6年間も使うのはバカバカしい」と断言して憚らない。校則もなければ、大学現役合格にもこだわらない。いわゆる「進学校」のイメージを裏切り続ける麻布。独自の教育と魅力を解き明かすべく、現役の生徒から図書館司書、保健室の先生、麻布が輩出した各界OBの証言までを徹底取材!【目次】はじめに/第一章 中学受験の難関校・麻布の内側/【麻布のOB その1】与謝野 馨さん(政治家、元財務大臣)/第二章 麻布の生徒は何を考えているのか/【麻布のOB その2】山下洋輔さん(ジャズピアニスト)/第三章 教員が見た麻布/【麻布のOB その3】橋本大二郎さん(元高知県知事、キャスター)/第四章 岐路に立つ麻布/【麻布のOB その4】中条省平(学習院大学文学部フランス語圏文化学科教授)/【麻布のOB その5】古川 亨さん(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授)/第五章 ある麻布の校長先生/【麻布のOB その6】河東泰之さん(東京大学大学院数理科学研究科所属)/おわりに
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Posted by ブクログ
社会人になってから麻布を知った人の書いた本で、外から麻布がどのように見えるかがわかって面白かった。
麻布出身者の書いた本で麻布についても書いたものを読んだことがあるが、他の中高一貫校との対比がされているものの、各校の持つカラーの一つとして麻布の独自色が示されているだけで、それぞれの突出の程度がわからなかった。
公立校で育った筆者から見て数ある首都圏の一貫校の中で突出した特徴を持っていたからこそ俎に乗った、ということがわかった。
現代の麻布に取材したものだから自分の時代とは違うところもあるだろうが、一番印象的だったのは、麻布の教員が実によく生徒個々人に気をかけているということ。言われてみればそうに違いない。
対照的に、「似たような私立校」が問題行動をとる生徒を退学にするという話が引用されていて、それには衝撃を受けた。それは粛清ではないか?
そして、「麻布卒」でやって行けるだけの教養を授けるという方針に納得する。
その一方、進学成績と人間形成の「二兎を追え」と言われたのは意外であった。進学は「やりたければやれば」と放任されていたように感じていたから。
Posted by ブクログ
「自由に生きよ」それが御三家進学校:麻布学園の普遍的価値観である。あなたは「自由」に生きられていますか!?自由を知っていますか??
自由に生きるなら、責任も持てる人間にならなければならない。それを麻布学園では経験できて、学べる。子供の裁量に任せた教育。
しかし、子供が「社会化」してきている今、それも通用しなくなってきているという。新しい「自由」を学ぶための教育方法の研究が必要だな。
やっぱ大人が勇気を持つしかない。勇気をもって子供の好き勝手させてあげよう。そして、間違えたら論理的に間違いを叱ってあげよう。
Posted by ブクログ
東大進学者も多い進学校として知られる「麻布学園」が、いわゆる進学校というだけではないことが分かる。中高一貫の6年を通じて自由と自主自立の人間教育を追及し、生徒と教師が6年のスパンで向き合い、さまざまな個性が認められていることが印象的だった。それは入試の段階から校風に魅力を感じた優秀な生徒が集まり、進学のための学力よりも総合的な知力を引き上げるようなカリキュラムが行われ、学園祭などの生徒の自主的な取り組み、髪や服装、遅刻なども生徒の自主的な考えを尊重しているなかで培われたものだろう。そうした中でも考える力の低下や受験勉強重視の親の考えなど、時代の変化を受けて、それでも受験も人間教育もと二兎を追う姿勢に信念を感じさせられた。
14-199