あらすじ
突然やってきた皇帝の使いに、花嫁として皇城に迎えられた青藍。ところが当の皇帝は、体に化け物を宿す半妖だった。皇帝は「醜い姿でも愛してくれる人間を見つけなければ解けない」呪いをかけられていて…? 【電子書籍版限定】その後の二人の幸福な日々を描いた書き下ろしショートストーリー「中庭にて」を特別収録!
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Posted by ブクログ
なかなかに面白く、読み応えのある本でした。
千年前に亡くなった恋人が転生するのを待ち続けた皇帝は実は幻獣をその身体に宿し、不老不死となった人だった―。
時は流れ、漸く転生した恋人(少年)を「正妃」として迎えた皇帝。
優しく穏やかな皇帝に愛され慈しまれる中に、妃として迎えられた青藍も皇帝を愛するようになる。
だが、皇帝には怖ろしい秘密があって―。
その秘密を知ってもなお、彼を青藍が愛し続けられるか? 幻獣使いの老婆が皇帝にかけた呪いを解くためには、青藍が決められた言葉を言わなくてはならない。だが、青藍がそれを知って口にしたのでは、意味はなく、知らずに言わなければならないのだ。
やがて、瀕死の皇帝がいよいよ幻獣に身体を乗っ取られようとした時、青藍が泣きながら口にした言葉こそが、皇帝を長い年月にかけて縛ってきた呪いから解放したのだった。
以上があらすじになります。
魔女にかけられた呪いを解くためには、お姫様の愛が必要という下りは、外国のさる寓話を思い出します。
皇帝炎火初め、青藍、更に建国の覇者である他三人の皇族(皇帝の親友、それぞれ呪いをかけられて幻獣を宿している)、登場人物のキャラは皆、好感が持てました。
皆を苦しめる憎まれ役? のはずの幻獣さえ、根っからの悪役キャラではなく、言ってしまえば、この物語りには「悪いヤツ」は一人も出てこないという気がします。
そこを少々物足りないと思うか、だからこそ良いと思うかは、読者の好みによって分かれるところではないでしょうか。
この話は幻獣が当たり前に出てくる世界観ですから、完全なるファンタジーです。私は今まで、ドラゴンや魔法使いが出て来る話というのは苦手でした。あまりに現実離れしているからです。
ただ、このお話はドラゴンが出てきても、そこまで非現実的な気はしませんでした。
舞台設定が西洋でなく、馴染みのある東洋・中華だからなのかもしれないけれど、その辺り、違和感なく作品世界に溶け込めた点も良かったです。