あらすじ
迷走する日本人のこころと向き合う
二賢人から、渾身のメッセージ
東日本大震災後、あらためて問い直された日本人の死生観や宗教性。経済効率至上主義や個人主義が加速するなかで、置き去りにされた日本人の「こころ」の問題を、現代の二賢人が論じる。思想家として教育、医療、司法、宗教の倫理的立て直しを説く内田氏(第一部)、宗教者として日本的霊性のルーツに迫りつつ現代にふさわしい共生のありかたを探る釈氏(第二部)。どちらも自らの信ずる道を振り返りながら、社会を担う一員としての読者に、まっすぐ問いを投げかける。穏やかな笑顔からは想像もつかない、切実な問題意識に胸を打たれること間違いなしの力作。自分探しの「スピリチュアル」でもなく、特定の宗教・宗派にこだわるでもなく、人間が社会をつくり生き延びていくために根源的な支えとなる「霊性」をいま、問い直す。
※電子版限定 内田樹×釈徹宗対談「日本的霊性と大拙、そして私たち」収載
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Posted by ブクログ
子どもに教育を与えるのは、子ども個人の生活を向上させるためではなく、すべての世代を含めた集団維持のため、という理論に納得。
──学びというのは自分の手持ちの価値観では考量できぬもののうちに踏み入ることです。具体的な知識や技術を学ぶことではなくて「自分にはそれが何を意味するかわからないもの」に敬意と好奇心をもって接近する作法を学ぶことです。──
内田と釈の講義録だが、第二部の釈は鈴木大拙に関する概説という感じで、内田ほど独特の考察がない。しかし、グループホームの運営など社会活動家としては評価できる、学者肌でない。釈は対談を見るに、内田にあまり強烈なつっこみをしないので相性がいいのだろうな、と思った。