【感想・ネタバレ】新選組 幕末の青嵐のレビュー

あらすじ

身分をのりこえたい、剣を極めたい、世間から認められたい――京都警護という名目のもとに結成された新選組だが、思いはそれぞれ異なっていた。土方歳三、近藤勇、沖田総司、永倉新八、斎藤一……。ひとりひとりの人物にスポットをあてることによって、隊の全体像を鮮やかに描き出す。迷ったり、悩んだり、特別ではないふつうの若者たちがそこにいる。切なくもさわやかな新選組小説の最高傑作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

志を持った男達の生きざま!すっかり虜になってしまった。

新選組のメンバーが順番に語り手となり、他のメンバーのことや時勢について語る。
同じ時勢のことも語り手が変わると違った印象になるのも面白い。
メンバーそれぞれの個性もよく分かりクスッとなったりニヤリとしたり、切なくなって泣けてきたり悔しくて憤ったり、と様々な感情が次々にわき上がる。
幕末の時代の波に翻弄された若者達。
初めは全員が揃って志を高く持ち、先へ、これよりももっと先へ…と突き進めると信じていたはず。
けれど思惑は人それぞれで、不器用な若者達の野心が手探りで交錯し絡まっていく。

「なにも持っていないということは、実に強い。こうした動乱の時期こそ、なにも持たぬ者からなにかが生まれてゆくのかもしれない」
何も持っていなかった若者達が様々な葛藤を経て何かを掴み新たに生み出し、それにより時代も動く。

「周りから馬鹿だと言われようが、これと思えるもんがあるなら、とことんやり通したほうが面白ぇさ。そうすればきっと、はっきり景色が見えるんじゃねぇか、と思ってさ」
己の全てを新選組に捧げた男・土方。彼にはどんな景色が見えたのだろうか…。

新選組がとても身近な存在に思えた作品だった。

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2018年03月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

新撰組ファンとして読んでよかったと心から思う小説だった。
”よくあそこまでやったという崇敬と、さぞ大変な仕事だったろうという痛みと、きっとあれでよかったのだという願いと。”これは小説の最終章、佐藤彦五郎によって語られる言葉である。『幕末の青嵐』を読み終わったあと、私はまさにこの言葉のように複雑で一言では言い表せない感情に襲われた。
それぞれの視点で描かれるこの小説では、近藤や土方を筆頭に新撰組に関わった人物達がとても色鮮やかに描かれている。視点の主によって人物への印象がことなり、それによって人物に深みを与えている。
始めはどこか心の距離があった試衛館のメンバーの間に、強い情が生まれていくのがよく分かり、それがとても嬉しいと同時に彼らの行く末を思ってとても辛い気持ちになる。油小路以降、ひたすら悲劇的な展開で読むのが辛かったが、それでも止められないのが新撰組の不思議な魅力である。
それは彼らを見ているとこの結末が必ずしも悲劇的なだけだったとは思えないからだろう。特に土方は権力にも時勢にも媚を売らず、自らのやりたいことをやり遂げたのだ。土方のあの最後をただ悲観するのは土方に対する冒涜だろう。
小説の最後に語られる佐藤彦五郎の言葉は新撰組への愛に満ちており、作者がいかに新撰組に愛情を抱いているかがよく分かる。本当に読んでよかった。

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2017年10月17日

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