あらすじ
〈泥沼の家〉と呼ばれるその部署は、英国情報部の最下層だ。不祥事を起こした部員はここに送り込まれ、飼い殺しにされるのだ。若き部員カートライトも訓練中のミスのせいでここに放り込まれ、連日ゴミ漁りのような仕事をさせられていた。もう俺に明日はないのか? ところが英国全土を揺るがす大事件で、状況は一変した。一か八か、返り咲きを賭けて〈泥沼の家〉が動き出す!
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Posted by ブクログ
TVドラマを観て、原作を読みたくなって読みました。
イギリスのスパイ機関MI5の落ちこぼれ(Slow horses)が集まるスラウハウス(泥沼の家)、その面々がいつの間にか世間を揺るがす大事件に巻き込まれる話。落ちこぼれが活躍する話は日本人は大好きだと思う。ドラマではよく分からなかったキャサリンと死んだ男性の関係、リヴァーの昇進試験の裏事情とかが描かれていて何とも怖い世界だなぁ、と。スパイだから日常的に裏切り、裏切られるの世界なのかなぁ。そんな中でも、ボスのジャクソン・ラムのSlow horsesたちに対する、表面上は投げやりで冷たいけど、奥底での深い愛情に救われる。
このシリーズは長編8巻、短編5作出ていて2025年に9巻目が出る予定らしいが、日本語に翻訳されているのは3巻のみ。面白いからみんなもっと本読んで、訳してもらおう!
Posted by ブクログ
英国保安局で「左遷部署の中の左遷部署」という位置付けの“泥沼の家”の面々が巻き込まれる羽目になった妙な誘拐事件…どうなってしまうのかは、是非本作を紐解いてみて頂きたいが…本作を愉しむことを通じて、何か“泥沼の家”の面々に“力”をもらえるような気もした…手近なところでどう視られようが、処遇がどうであろうが「独自な基準で不正や卑劣な振る舞いを許さずに戦う」というのは大切なことのような気がする…
Posted by ブクログ
英国のスパイ組織である英国保安局(MI5)で何かをやらかした職員が閑職に追いやられて、<泥沼の家>(スラウ・ハウス)でどうでもいい仕事についている(「窓際」ってそういう意味だったことに気が付く。窓越しに張り込みをしているのを想像していた)。ところが、ある若者を斬首する予告動画が流れ、その対応をするのだが、そこには泥沼の家の面々と保安局の裏事情というか裏の目的があり、と同時にスパイ物のアクションもあり、いろいろ楽しめる。サスペンスというよりはどこかユーモアを交えた物語であり、時に緊迫し、時に弛緩する緩急も読んでいて楽しめる。
Posted by ブクログ
法を守る側の偽工作
出世を熱望するための偽工作が裏目に殺害ミステリーが展開する。出世の為、金の為に動く人間の貪欲な公的世界がこの小説で暴露される。法を守る側の人間が高評価を得ようと偽工作、政治家と官僚との事件が日本でもあるように裏社会は部下を犠牲にして「汚い」やり方を考えるものだ。
Posted by ブクログ
イギリスの旧MI5は現在は内務省の中の保安局と呼ばれる部門。国内の治安を守るための諜報活動を担当する。
リヴァー・カートライトは保安局の若手エージェント。だが、大きな失敗をしたために、ロンドンの辺鄙な土地にある「泥沼の家」と呼ばれるセクションに左遷される。
「泥沼の家」はリヴァーの様になんらかの失敗をしでかし、免職ができなかった者たちが左遷されてくる溜まり場。そこに属する者たちは「スロー・ホース(のろまな馬)」と呼ばれている。
「泥沼の家」をまとめるのはジャクソン・ラムという男。嘗ては敵国にも潜入していてらしいベテラン・エージェントだったが、今は太鼓腹の中年でデリカシーにも欠けている嫌味な男だ。
そのほかのメンバーもアルコール中毒だった秘書の女性、機密の入ったディスクを電車内に置き忘れてしまった男、他人の左遷理由を調査することに喜びを得ているハッカーまがいなど様々だ。
ロンドンで子息の誘拐事件が起きる。パキスタン出身でロンドン在住の青年が突如拉致され、監禁され、その様子が動画としてインターネットで公開されている。
72時間後には首を刎ねるところを配信するという脅しつきで。
英国内の小さな極右グループが犯人と目されるが、、、。
泥沼の家というグループの特徴的な面々の裏側の顔を紹介しながら、誘拐監禁事件の解決に泥沼の家のメンバーが巻き込まれていく流れのストーリーが引き込まれる。一気読みしてしまう。
シリーズ化されている様なので続きが読みたくなる。
アップルTV +でもドラマ化されているらしいので、そちらも見てみたいけど、、、
Posted by ブクログ
久々の海外の小説。
名前や設定がなかなか頭に入ってこなかったりもするが、なかなかすんなり読めました。
はみ出し者たちの巻き返し、
そりゃあ、スッキリするよね。
Posted by ブクログ
落ちこぼれの個人やグループが千載一遇のチャンスを機に奮闘、大逆転劇を演じて栄光を勝ち取るという設定は、娯楽映画/小説では常套のため、よほどの新機軸を盛り込まないと「またか」という印象になりかねない。本作は〝泥沼の家〟と揶揄されている英国諜報機関の吹きだまりでくすぶるスパイらの物語。スパイスにユーモアを振りかけることで、ひと味違う仕上がりにはしているが、手掛ける事件そのものが組織内部の汚職という地味なもので、展開も抱腹絶倒とはいかないところが物足りない。主人公の薄い存在感と、アクの強いメンバーの描き分けが中途半端で、多数登場する割りには、個性が際立っていない。
ただ、誰にも増して冴えないリーダー格の男が、ここぞという時に男気を発揮するという展開はベタではあるが巧い。落ちぶれた背景がぼかしてあるのは、シリーズを通して明らかにするつもりなのだろう。
上層のエリートらの薄汚れた功名心が組織を危機に陥らせ、それを下層の爪弾き者らが救うというテーマをどこまで掘り下げることができるか。次作に期待だ。