【感想・ネタバレ】お見世出しのレビュー

あらすじ

お見世出しとは、京都の花街で修業を積んできた少女が舞妓としてデビューする晴れ舞台のこと。お見世出しの日を夢見て稽古に励む綾乃だったが、舞の稽古の時、師匠に「幸恵」という少女と問違われる。三十年前に死んだ舞妓見習いの少女・幸恵と自分が瓜二つだと知り、綾乃は愕然とするが――。千二百年の都・京都を舞台に繰り広げられる、雅びな恐怖譚。第十一回日本ホラー小説大賞短編賞受賞の表題作に二編を加えた珠玉の短編集。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

京都の花街。売れっ子の舞妓、小梅が自らのお見世出し(舞妓デビューを迎える晴れ舞台)にまつわる怪異を語る、第11回日本ホラー大賞(2004)短編賞の表題作他2編を収録した短編集。
京言葉で綴られた雅な世界のどす黒い闇。

◎「お見世出し」
京都の花街で舞妓見習いとして修業の日々を送る綾乃はある日の舞の稽古の折、師匠から"幸恵"という少女と間違えられる。茶屋の女将に問い質し、幸恵とは30年ほど前にお見世出しを前に自ら命を絶った少女で、同じ見習い時代の女将と親しかったこと、綾乃と瓜二つであったことを知って驚く。その後も様々な人から幸恵の面影を重ねられて心穏やかでない綾乃。程なくして綾乃自身のお見世出しの日が8月8日と決まるが、それに際し女将は綾乃にとんでもない頼み事をしてくるのだった―。
導入部とラストは兼業作家である"私"の視点で描かれるが、殆んどが舞妓の語りで話が進む。綾乃が(幸恵と共に)お見世出しを迎える場面は異様ながらしんみりしたトーンで描かれるが、そこから急転回してクライマックスへと突入していく。ラストは「あぁ、やっぱり……」という厭な―ある意味で期待通りの読後感。

◎「お化け」
大学卒業後に花街に飛び込み芸妓となった弥千華が語る、個性の強過ぎる人々に囲まれた茶屋「伝乃家」の奇妙な日常。節分に鬼除けのために行なう"お化け”と呼ぶ仮装行事の準備が進められる中―。
美人で人気がありながら癇の強い春紅、霊感持ちの春雪らの先輩舞妓、異様な姿故屋根裏に住み姿を見せぬ先代女将の娘、何故か春紅に疎まれる見習いの真奈、さらには屋内の封印された井戸等々、主人公を取り巻くキャラや環境はどれもクセが強く、各々のエピソードも挿まれるため物語がどう展開していくのかという予想がどうにもつかない。ほんのり恐ろしくもドタバタな日々の記録と思いきや、ラストで"鬼"がその姿を現す。
鬼は人の心に棲まう、ということか。

◎「呪扇」
吉事や縁起物の表徴として作られる扇と、その吉の裏返しの凶の力を一手に負う“呪扇”。一世紀前の国難に際し、百年に一度だけ作られる大呪扇の作製を命じられた扇職人の運命―。
前2編が花街の女性の話であるのに対し、本編は扇職人の老人が、先々代が手がけた世にも凄惨な呪いの扇とその顛末を語るというゴアな一編。流行りの言い回しなら“特級呪物”でも最悪のもの、というところか。呪扇製作の場面は確かにグロいのだが、大義名分のためとはいえ何の呵責もなく作業を進める職人一三の姿はさらに悍ましい。
日本の近現代史とリンクさせたところも(不謹慎極まりないが)興味深い。読後にラスト1行と執筆時期との繋がりに気付いてまたゾッとさせられる。映像化はさすがに不可能だろうが、駕籠真太郎氏が漫画化したら面白いかも?なんて思ったり。

ちなみに表題作の「お見世出し」は“おみせだし”と読むのだそう。

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2025年03月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

・お見世出し ★★★
現実にありそうなゾクゾクするようなホラーかと思ったら途中から非現実的でちょっと残念。
舞妓さんの言葉が読みにくい。

・お化け ★★★★
芸者さんの言葉に慣れてきたぞ。
前半は小母ちゃんの話で、後半は真奈ちゃんの話。
鬼が出てきて少し置いてけぼり感はあったが、普段読まないジャンルなので少し新鮮。

・呪扇 ★★★★
呪扇を作る過程がいい感じのグロさ!

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2020年03月08日

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