あらすじ
「あたし今度、自分で店、開くんだ」。海外出張先への国際電話で娘に告げられ、宍倉勲は絶句した。就職したばかりの大手企業をすぐ辞めてしまったと思ったら、今度は何を言い出すのか――(「マスターと呼ばれた男」)。時に社長として、時にヒラ社員として、誠実に働き続けてきた男。彼と娘との関係、家族の歴史を時をさかのぼりながら描く連作長編。
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Posted by ブクログ
「なんか行き詰ったり、モヤモヤすると、散髪にいくねん」という知り合いを何人か知っている。女性にとって髪は命ともいえるくらい大切なものだと言うが、男にとってもそれなりに大切なものなのである。
といってる俺は、手入れが面倒くさいので、坊主刈りだったりするのだが(笑
本作は、主人公宍戸勲の半生を床屋と家族を通じて描いた連作短編集。最後の2話を除いて、70代の勲の人生を遡る構成が面白い。前の作品に出てきた描写について「あぁ、ここのこれね」って発見できる快感が良い。仕掛けの妙で読ませてくれる。
主人公一家は結構波乱万丈の時を過ごしており、描きようによってはもっとドラマチックに仕立てられなくもないと思う。例えば池井戸潤あたりが描くと、もっとベタベタな展開にもって行くんだろう。でも、そこは山本幸久、ヒョーヒョーと軽さを感じる物語に仕上げている。好みが分かれるところだろうが、俺はこういう仕上げ方も重すぎなくて好きである。
Posted by ブクログ
2016/5/6
おじいさんの人生を遡っていく。
うまいなぁ。
さっきの章で回想していた出来事がこれか。とか、この人と後々結婚したんだね~とかいちいち確認できてなんだか身近に感じられる。
おじいさん死んでしまった後の話も寂しいけど優しい気持ちになる。
うまいなぁ。
やっぱりこの人の本好きだわ。
Posted by ブクログ
社長という役職に縁のある父娘の、
人生の断面毎に起こる些細な出来事を
短編集にしたもの。
話は徐々に過去に遡り、
各話では「床屋さん」が登場する。
表題作まで読み進めたとき、
些細な出来事ばかりであった
これまでの話が素敵なものに見えてくる。
起伏の激しい話ではないけど、良い話。