あらすじ
女性や老人だけを狙った通り魔や強盗傷害を繰り返し、自暴自棄な逃避行を続けていた伊豆見翔人は、宮崎県の山深い村で、老婆と出会った。翔人を彼女の孫と勘違いした村人たちは、あれこれと世話を焼き、山仕事や祭りの準備にもかり出すようになった。卑劣な狂犬、翔人の自堕落で猛り狂った心を村人たちは優しく包み込むのだが……。涙なくしては読めない心理サスペンス感動の傑作。
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Posted by ブクログ
小学生の頃に読んだ「西の魔女が死んだ」を思い出した。
村のじーちゃん、ばーちゃんたちがよい。
裏に書いてあるあらすじ、サスペンスではないだろ。
Posted by ブクログ
なかなかハートフルな内容ですごくよかった。朗読の人も上手だった気がする。おばあちゃんのお金見つけておばあちゃんが冷たくなるか瞬間かこわかったけど‥やっぱりこの人も仏様ではなくて人間なんだなと思った瞬間だった。
Posted by ブクログ
とても読みやすく、おもしろく一気読みしました。
翔人はお婆ちゃんと出会えてよかった。
村のみんなとも。
もちろん強盗や怪我を負わせたことは許されることではないし、自分が被害者の立場だとしたら許せないと思う。
やっぱり人の温かさは心を動かすなと思った作品でした。
最後もお婆ちゃん生きてるみたいで本当によかった。
待ってくれてる人がいるというのは幸せなことだなと思いました。
Posted by ブクログ
フィクションゆえの「そんな都合のいいことが…」なところはあるものの、椎葉の人たちとのふれ合いを通じて、翔人が人生に前向きになっていくのは、純粋に嬉しかった
Posted by ブクログ
乃南アサだからなあ。
ハッピーエンドでもバッドエンドでもいけるんだよなあ。
どっちに落とすつもりなのだろう。
三浪して五流大学にやっと入ったものの、そこに居場所はなく、かといって家族はとうの昔に崩壊していて、することもしたいこともない伊豆見翔人は、行き当たりばったりにひったくりやコンビニ強盗をしながら西へ西へと流れていった。
ヒッチハイクしたトラックで運転手を脅しもっと遠くまで乗せてもらおうとしたが、つい居眠りをしてしまい、見知らぬ山道に落とされてしまう。
そこで、怪我をした老婆と出会い、金か物を奪おうと助けたことから翔人の運命が変わる。
父親からは物理的に、母親からは言葉の暴力を浴びせられて育った翔人は、自己肯定感など皆無に等しく、刹那的で利己的で、要は最悪の若者として作品に登場する。
しかし、下心ありとはいえ助けることになった老婆・スマの、ちんまりとした体からは信じがたいくらいのタフな暮らしぶりが愉快。
そこで翔人は、スマばあちゃんの孫と間違われ、世話を焼かれたり仕事を手伝わされたりしながら10日ほどを過ごす。
久しぶりに食べる、ちゃんと食器を使って食べる食事。
初めてかけられる「ぼうは、いいこ」という言葉。
山仕事に連れまわすシゲ爺もまた、仕事に容赦はないが、慣れぬことに悪戦苦闘する翔人を温かく見守ってくれる。
本当に強い人と言うのは、どういう人なのか、道を踏み外してもやり直すためにはどうすればいいのか。
翔人の疑問に、自分の経験と言葉で答えてくれる。
今まで翔人のまわりにはいなかった、こうなりたいと思えるおとな。
スマばあちゃんにも秘密は、あった。
弱い部分もあった。
それを知った日、翔人はスマばあちゃんにすべてを話す。
「――死なねえで、いてくれねえかな。あの――俺が、戻ってくるまで(中略)俺――婆ちゃんの飯、また食いたいんだからさ。絶対」
ここで涙腺崩壊。
「死なねえで」と言われても、婆ちゃんもう90歳だからな。
なんならシゲ爺だって70歳過ぎだ。
それでも、もうしゃぼん玉のような、ふらふらと中身のない人生は嫌だ、と翔人は自分で決心した一歩を踏み出す。
よい小説を読みました。