【感想・ネタバレ】ジャスミンの残り香 ――「アラブの春」が変えたもののレビュー

あらすじ

アラブの春は、宗教勢力の反動を呼び、中東は未曾有の混乱に陥った。“あの「革命」は徒労だったのか?” ムバラク政権崩壊から三年。人気の絶えた広場に再び降り立ち、革命の意味を模索しながら無残な失敗とも思える出来事について考察する。著者の堪能なアラビア語は、人々の本音を次々と引き出す。ジャスミン革命と紫陽花革命の比較等、3.11後の日本を考える上で示唆的な内容も含む。第12回開高健ノンフィクション賞受賞作。

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Posted by ブクログ

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「アラブの春」がもたらしたものはなんだったのか、という問いに対しては、民衆一人一人の変化であり、革命とは必ずしも体制の変化ではなく、自分たちの力でいつでも現状を変えることができる、という自信を持つことができるようになること、ともいえるのではないか…というのは大変興味深かった。
文章がちょっと読みづらかったな…抽象的で長々とした表現が多かった。自分の知識が追い付いていないからというのも大きな理由だけれど、それにしても文章が頭に入って来づらかった。

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2016年02月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ルポとしてはエジプト、シリアへ行った部分はいきいきとして面白い。ただ、モルシ→ムルシー、バーレーン→バハレーン、等、「俺、アラビア語わかるからこれが正確な発音だし」みたいな部分が鼻について、読みづらかった。もと記者なら、日本で一般的な表現にしたほうが、読者としては読みやすい。さらに、原発の話は余分で、この本のタイトルをみて本を手にとった読者にとっては白ける。

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2016年06月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

独裁政権を倒した「革命」後、反革命が蘇って報道に走る。ただ、それだけならよくある平板な悲劇だ。だが、エジプトでのポスト「アラブの春」の展開の特殊性は、反革命の復活劇に民衆が進んで手を貸した点にある。民衆の主観的な意図がどうであれ、それが客観的な流れだ。p60

気がつけば、「春」ははるか後景に退き、人びとの口からは代わりに宗教、そして宗派抗争を案じる言葉がつぶやかれていた。イスラーム主義というこの地域の大命題がエジプトに限らず、「アラブの春」がめぐった先々の国で立ちはだかっていた。p152

そもそも「アラブの春」という一見、美しい命名自体が不吉だったのかもしれない。そこには1956年のハンガリー動乱や、68年のプラハの春のイメージが重ねられていたのではないか。ともに「革命政権」に対しては民衆は血で抗い、そして鎮圧された。p214

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2014年12月31日

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